http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/news4viptasu/1414531996/
1 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:33:16.42 ID:9nuPyzhm0.net
まあよかったら聞いてって
書きためてないから遅いけど
2 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:35:49.14 ID:9nuPyzhm0.net
当時私は中3、男の子は恐らく中1くらい
出会いは大雨が降った日、バスの車内が混み混みで大変な日だった。
4 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:39:56.40 ID:9nuPyzhm0.net
男の子は所謂軽度の知的障害者でそれは誰の目から見ても分かるような感じだった。
混雑した車内で男の子は小銭をばらまいてしまった。
私は泥水に濡れた小銭を拾うのを手伝ってあげて、彼は無事ばらまいた小銭をすべて回収することができた。
その日は何事もなかったかのように彼とは別れた。
8 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:45:38.29 ID:9nuPyzhm0.net
男の子の出会いから3日後、その日は快晴なので空席が沢山あり、私を含めて乗客は5人くらいしかいなかった。
2人席に1人で座っていて今日は学校で友達とどんな話をしようかとかくだらない考え事をしていた。
すると男の子が乗車してきた。
普通に空いている席にすわるものだと思っていたら、私の隣に腰かけてきた。
11 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:52:46.33 ID:9nuPyzhm0.net
他に空席が沢山あるのになぜわざわざ私の隣に座るの?!
私の頭ははてなでいっぱいだった。
しかしその子の知的障害は至って軽度のもので車内で騒いだりブツブツ無意味に独り言を呟いたりすることはなく物静かにしているマナーのある子だったので別段不快ということはなく、この席に座ったのは単なる気まぐれかもしれないとあまりその日は深く考えずにいた。
13 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:57:14.24 ID:9nuPyzhm0.net
翌日、昨日と同じバス停でまた彼が乗車してきた。
この頃は4月の半ばあたりで彼も学校にバスで通い始めたのだということをなんとなく理解した。
そしてこの日も天気は普通。車内はほとんどが空席という状態。
私は昨日と同じいつも座るお気に入りの席に座っていたのだが、お察しの通りまたしても彼は私の隣に腰かけてきた。
なぜだ、意味がわからない。
14 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:01:09.45 ID:9nuPyzhm0.net
とりあえず様子を見ようということで特に私は何もせず、そのまま1週間同じ席に座り続けた。
けど やはり彼も私の隣に断固として座り続ける。
彼が知的障害者だからという理由ではなくてただわけもなく隣に座られることが気味悪く感じてきた私はこのことについて原因を考えた。
彼は私の隣に座りたいのではなくて、もともとこの席が好きなだけではないのか、そこにたまたま毎回私が先に腰かけてしまっているから隣になってしまうだけなのではないか。
15 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:04:15.80 ID:9nuPyzhm0.net
そう考えた私は翌日からいつもとは違う席に座ることにした。
私が座っている場所以外いつもと変わらぬ車内とバス停。
彼が乗車してきた。
私はなぜかとても緊張していた。
すると彼は徐ろに私の席めがけて歩いてきた。
嘘だろ?!
16 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:08:34.02 ID:9nuPyzhm0.net
お約束通り、彼は私の隣になに食わぬ顔で座った。
私の手はなぜか震えていて心臓が激しく警告音を鳴らしていた。
いや別にいいんだよ、どこの席に座るかはその人の自由だし。
でもさ、なんでやねん!!なんでやねん!!
なにがしたいんだ君は!
と心の中で叫び続けた。
彼はいつもように大人しく前を向いて座っていて、その様子があまりにも自然なのがかえって不気味だった。
17 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:12:53.87 ID:9nuPyzhm0.net
彼は何も悪いことはしていないし、注意するのもおかしい。
他に沢山席空いてますよと促したところでちゃんと理解してもらえるかわからないし、今まで物静かにしていたけど声をかけたことで激高されては困る。
というかそもそも声をかける勇気がなかった。
しかしここで私は名案を思いつく。
なぜもっと早くこうしなかったんだ。
2人席に座るからいけないんだ。1人席に座ればいいんだ。
19 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:17:31.01 ID:9nuPyzhm0.net
私は翌日少し気が引けたけど優先席に座った。
この時間はお年寄りや妊婦さんは少ないし、もし乗ってきても譲ればいいやと思って。
彼が乗車してきた。
この時点で私は心の中で勝った・・・と思っていた。
しかしホットするのは早かった。
彼は私の近くまで歩いてきた。
そしてまさかのつり革に掴まって私の真横にスタンディング。
これはある意味隣に座られるよりも悪質である。
21 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:21:33.81 ID:ia70RLXv0.net
ほうほう
22 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:23:49.68 ID:9nuPyzhm0.net
彼は私の想像をいつも超えてくるやばい奴だった。
ここで彼が気まぐれに席を選んでたまたま横が私だった説は完全に消滅した。
彼はなぜ私の隣にそこまでこだわるのか。
私は彼がマジで怖くなってきていた。
しかし私の住んでいる地域は田舎すぎてバスの本数が少なく、このあとの便だと遅刻するし、このまえの便だと早すぎるということで便を変えることはできず、仕方なく私はこのバスに乗るしかなかった。
23 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:27:52.51 ID:9nuPyzhm0.net
スタンディング事件のあとも2人席の空席に荷物を置いてみる作戦等を試みるも やはり彼はスタンディングをかましてくるので 寧ろ私がマナーがなっていないせいで彼が迷惑してこまっている図が出来上がってしまい、無意味だった。
どんなことをしても彼には勝てないということを悟った私は 彼に対抗するのは諦めて彼を受け入れようと生意気なことを考えはじめるようになっていた。
24 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:33:53.06 ID:9nuPyzhm0.net
私は一番最初に座っていたお気に入りの席に毎日座るようになり、当然のように毎回彼はその横に座ってきた。
25 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:35:00.50 ID:9nuPyzhm0.net
バスに乗る時間が嫌すぎて乗車中は寝たり、窓から景色を見ることで気を紛らわせていた。
26 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:36:35.94 ID:9nuPyzhm0.net
母に相談したら母は車で送迎してあげようかと言ってくれたが、そうすると、母は会社に出勤する時刻を変更したり なんやかんやで給料が減ってしまうと聞き、結局はそのまま私は彼と一緒に通学をしていた。
29 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:39:58.68 ID:9nuPyzhm0.net
しかし慣れというのは怖いもので2ヶ月もたつと私は彼に対して不快感を抱かなくなった。
私の横に彼が座るのは当たり前で彼はいつも私よりも先に降りるのだけどバスの車内以外でどうこうということは全くなく、それが自然でそれが私にとって当たり前の日常になっていた。
30 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:43:41.84 ID:9nuPyzhm0.net
特別寝ようとか意識して窓を見ようということもなく普通にそこに座るということをしていた。
ある日 隣に座った彼がいつもなら 大人しくちょこんと座っているのに今日は なにやら鞄から国語の教材をとりだした。
ちなみにこのときの私の心境はお?どうした相棒、今日は随分とキザなことをしてくれるなくらいのものである。
31 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:49:37.42 ID:9nuPyzhm0.net
そこにはあまり上手ではない字で簡単な漢字や平仮名が沢山書いてあり、恐らくそれは彼の勉強の形跡であった。
初めてのアクションに私はなぜかワクワクしていた。
ペラペラとページをめくる彼。
するといきなり音読を始めた。といっても大きな声で元気良くではなくぼそぼそと小さな声であった。
このときの率直な気持ちはえ?君喋れるの?とかいう失礼極まりないことだった。
声を聞いたのが初めてだったのでなんだ君も普通に喋るのねと少し安心していた。
今まで無言の圧力みたいなものを勝手に感じていたためだ。
32 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:53:00.93 ID:9nuPyzhm0.net
恐らく彼にもテスト週間のようなものがあって勉強していたのだろうと思われる。
ただ意外とこの子長く喋る。
せめて黙読くらいにしとこうよ。バスんなかだし。と思っていた矢先、彼がこっちを見た。
?!
33 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:57:37.76 ID:9nuPyzhm0.net
私の視線に気づいてということではないらしい。
なぜなら彼はドヤ顔、そうドヤ顔しているのだ。
ドヤ顔でこちらに振り向いてみせたのである。
我々はすでに一心同体。私は彼の考えていることなど手に取るように分かる。
彼はバスのなかで勉強する俺偉いだろぉドヤぁみたいな心持ちだったのだと思う。私は笑顔で会釈した。
34 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:01:07.69 ID:9nuPyzhm0.net
最初私は彼に対して無言で どこまでも追いかけてくるアンドロイド的な怖さを感じていたが、彼の人間らしさに触れていくにつれて なんだかこの子も憎めないなと思えてきて段々と彼を観察するのが楽しくなってきていた。
36 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:04:13.28 ID:8kPUQTEmO.net
よくそんなこと事細かに覚えてんな…
39 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:07:08.35 ID:9nuPyzhm0.net
>>36
多少の脚色はあるけど大体はこんな感じだったよ
38 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:05:13.72 ID:9nuPyzhm0.net
国語の教材を音読した日を境に彼は乗車中に色んなことをするようになった。
スケッチブックにボールペンで絵を描いたり、国語の教材を音読したり黙読したり・・・
お互いに会話を交わすことはないけど彼が私に見せようとして色んなことをしているというのをわかってきたので私は隣でその様子を黙って見ていた。
41 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:11:10.23 ID:9nuPyzhm0.net
通学の時間はもう完全に嫌なものではなくなっていた。
彼のことは普通に微笑ましく思えてきていたし、隣で彼がなにかしているのを見るとフフッとなるようになっていた。
47 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:14:55.76 ID:9nuPyzhm0.net
そんな調子でかれこれ半年以上、彼は私の隣で座り続け、季節は冬になっていた。
私は軽く風邪を引き、咳き込むようになっていた。
彼が風邪っぽいところは一度も見たことがない。彼は超元気だ。
すげー。
>>次のページへ続く
1 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:33:16.42 ID:9nuPyzhm0.net
まあよかったら聞いてって
書きためてないから遅いけど
2 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:35:49.14 ID:9nuPyzhm0.net
当時私は中3、男の子は恐らく中1くらい
出会いは大雨が降った日、バスの車内が混み混みで大変な日だった。
4 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:39:56.40 ID:9nuPyzhm0.net
男の子は所謂軽度の知的障害者でそれは誰の目から見ても分かるような感じだった。
混雑した車内で男の子は小銭をばらまいてしまった。
私は泥水に濡れた小銭を拾うのを手伝ってあげて、彼は無事ばらまいた小銭をすべて回収することができた。
その日は何事もなかったかのように彼とは別れた。
8 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:45:38.29 ID:9nuPyzhm0.net
男の子の出会いから3日後、その日は快晴なので空席が沢山あり、私を含めて乗客は5人くらいしかいなかった。
2人席に1人で座っていて今日は学校で友達とどんな話をしようかとかくだらない考え事をしていた。
すると男の子が乗車してきた。
普通に空いている席にすわるものだと思っていたら、私の隣に腰かけてきた。
11 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:52:46.33 ID:9nuPyzhm0.net
他に空席が沢山あるのになぜわざわざ私の隣に座るの?!
私の頭ははてなでいっぱいだった。
しかしその子の知的障害は至って軽度のもので車内で騒いだりブツブツ無意味に独り言を呟いたりすることはなく物静かにしているマナーのある子だったので別段不快ということはなく、この席に座ったのは単なる気まぐれかもしれないとあまりその日は深く考えずにいた。
13 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 06:57:14.24 ID:9nuPyzhm0.net
翌日、昨日と同じバス停でまた彼が乗車してきた。
この頃は4月の半ばあたりで彼も学校にバスで通い始めたのだということをなんとなく理解した。
そしてこの日も天気は普通。車内はほとんどが空席という状態。
私は昨日と同じいつも座るお気に入りの席に座っていたのだが、お察しの通りまたしても彼は私の隣に腰かけてきた。
なぜだ、意味がわからない。
14 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:01:09.45 ID:9nuPyzhm0.net
とりあえず様子を見ようということで特に私は何もせず、そのまま1週間同じ席に座り続けた。
けど やはり彼も私の隣に断固として座り続ける。
彼が知的障害者だからという理由ではなくてただわけもなく隣に座られることが気味悪く感じてきた私はこのことについて原因を考えた。
彼は私の隣に座りたいのではなくて、もともとこの席が好きなだけではないのか、そこにたまたま毎回私が先に腰かけてしまっているから隣になってしまうだけなのではないか。
15 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:04:15.80 ID:9nuPyzhm0.net
そう考えた私は翌日からいつもとは違う席に座ることにした。
私が座っている場所以外いつもと変わらぬ車内とバス停。
彼が乗車してきた。
私はなぜかとても緊張していた。
すると彼は徐ろに私の席めがけて歩いてきた。
嘘だろ?!
16 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:08:34.02 ID:9nuPyzhm0.net
お約束通り、彼は私の隣になに食わぬ顔で座った。
私の手はなぜか震えていて心臓が激しく警告音を鳴らしていた。
いや別にいいんだよ、どこの席に座るかはその人の自由だし。
でもさ、なんでやねん!!なんでやねん!!
なにがしたいんだ君は!
と心の中で叫び続けた。
彼はいつもように大人しく前を向いて座っていて、その様子があまりにも自然なのがかえって不気味だった。
17 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:12:53.87 ID:9nuPyzhm0.net
彼は何も悪いことはしていないし、注意するのもおかしい。
他に沢山席空いてますよと促したところでちゃんと理解してもらえるかわからないし、今まで物静かにしていたけど声をかけたことで激高されては困る。
というかそもそも声をかける勇気がなかった。
しかしここで私は名案を思いつく。
なぜもっと早くこうしなかったんだ。
2人席に座るからいけないんだ。1人席に座ればいいんだ。
19 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:17:31.01 ID:9nuPyzhm0.net
私は翌日少し気が引けたけど優先席に座った。
この時間はお年寄りや妊婦さんは少ないし、もし乗ってきても譲ればいいやと思って。
彼が乗車してきた。
この時点で私は心の中で勝った・・・と思っていた。
しかしホットするのは早かった。
彼は私の近くまで歩いてきた。
そしてまさかのつり革に掴まって私の真横にスタンディング。
これはある意味隣に座られるよりも悪質である。
21 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:21:33.81 ID:ia70RLXv0.net
ほうほう
22 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:23:49.68 ID:9nuPyzhm0.net
彼は私の想像をいつも超えてくるやばい奴だった。
ここで彼が気まぐれに席を選んでたまたま横が私だった説は完全に消滅した。
彼はなぜ私の隣にそこまでこだわるのか。
私は彼がマジで怖くなってきていた。
しかし私の住んでいる地域は田舎すぎてバスの本数が少なく、このあとの便だと遅刻するし、このまえの便だと早すぎるということで便を変えることはできず、仕方なく私はこのバスに乗るしかなかった。
23 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:27:52.51 ID:9nuPyzhm0.net
スタンディング事件のあとも2人席の空席に荷物を置いてみる作戦等を試みるも やはり彼はスタンディングをかましてくるので 寧ろ私がマナーがなっていないせいで彼が迷惑してこまっている図が出来上がってしまい、無意味だった。
どんなことをしても彼には勝てないということを悟った私は 彼に対抗するのは諦めて彼を受け入れようと生意気なことを考えはじめるようになっていた。
24 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:33:53.06 ID:9nuPyzhm0.net
私は一番最初に座っていたお気に入りの席に毎日座るようになり、当然のように毎回彼はその横に座ってきた。
25 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:35:00.50 ID:9nuPyzhm0.net
バスに乗る時間が嫌すぎて乗車中は寝たり、窓から景色を見ることで気を紛らわせていた。
26 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:36:35.94 ID:9nuPyzhm0.net
母に相談したら母は車で送迎してあげようかと言ってくれたが、そうすると、母は会社に出勤する時刻を変更したり なんやかんやで給料が減ってしまうと聞き、結局はそのまま私は彼と一緒に通学をしていた。
29 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:39:58.68 ID:9nuPyzhm0.net
しかし慣れというのは怖いもので2ヶ月もたつと私は彼に対して不快感を抱かなくなった。
私の横に彼が座るのは当たり前で彼はいつも私よりも先に降りるのだけどバスの車内以外でどうこうということは全くなく、それが自然でそれが私にとって当たり前の日常になっていた。
30 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:43:41.84 ID:9nuPyzhm0.net
特別寝ようとか意識して窓を見ようということもなく普通にそこに座るということをしていた。
ある日 隣に座った彼がいつもなら 大人しくちょこんと座っているのに今日は なにやら鞄から国語の教材をとりだした。
ちなみにこのときの私の心境はお?どうした相棒、今日は随分とキザなことをしてくれるなくらいのものである。
31 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:49:37.42 ID:9nuPyzhm0.net
そこにはあまり上手ではない字で簡単な漢字や平仮名が沢山書いてあり、恐らくそれは彼の勉強の形跡であった。
初めてのアクションに私はなぜかワクワクしていた。
ペラペラとページをめくる彼。
するといきなり音読を始めた。といっても大きな声で元気良くではなくぼそぼそと小さな声であった。
このときの率直な気持ちはえ?君喋れるの?とかいう失礼極まりないことだった。
声を聞いたのが初めてだったのでなんだ君も普通に喋るのねと少し安心していた。
今まで無言の圧力みたいなものを勝手に感じていたためだ。
32 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:53:00.93 ID:9nuPyzhm0.net
恐らく彼にもテスト週間のようなものがあって勉強していたのだろうと思われる。
ただ意外とこの子長く喋る。
せめて黙読くらいにしとこうよ。バスんなかだし。と思っていた矢先、彼がこっちを見た。
?!
33 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 07:57:37.76 ID:9nuPyzhm0.net
私の視線に気づいてということではないらしい。
なぜなら彼はドヤ顔、そうドヤ顔しているのだ。
ドヤ顔でこちらに振り向いてみせたのである。
我々はすでに一心同体。私は彼の考えていることなど手に取るように分かる。
彼はバスのなかで勉強する俺偉いだろぉドヤぁみたいな心持ちだったのだと思う。私は笑顔で会釈した。
34 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:01:07.69 ID:9nuPyzhm0.net
最初私は彼に対して無言で どこまでも追いかけてくるアンドロイド的な怖さを感じていたが、彼の人間らしさに触れていくにつれて なんだかこの子も憎めないなと思えてきて段々と彼を観察するのが楽しくなってきていた。
36 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:04:13.28 ID:8kPUQTEmO.net
よくそんなこと事細かに覚えてんな…
39 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:07:08.35 ID:9nuPyzhm0.net
>>36
多少の脚色はあるけど大体はこんな感じだったよ
38 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:05:13.72 ID:9nuPyzhm0.net
国語の教材を音読した日を境に彼は乗車中に色んなことをするようになった。
スケッチブックにボールペンで絵を描いたり、国語の教材を音読したり黙読したり・・・
お互いに会話を交わすことはないけど彼が私に見せようとして色んなことをしているというのをわかってきたので私は隣でその様子を黙って見ていた。
41 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:11:10.23 ID:9nuPyzhm0.net
通学の時間はもう完全に嫌なものではなくなっていた。
彼のことは普通に微笑ましく思えてきていたし、隣で彼がなにかしているのを見るとフフッとなるようになっていた。
47 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/10/29(水) 08:14:55.76 ID:9nuPyzhm0.net
そんな調子でかれこれ半年以上、彼は私の隣で座り続け、季節は冬になっていた。
私は軽く風邪を引き、咳き込むようになっていた。
彼が風邪っぽいところは一度も見たことがない。彼は超元気だ。
すげー。
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