362:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:39:33 :PQ1Q6G.6
………………翌日 駅前
美春 「………………」 ドキドキドキドキ……
―――― 『……はい。俺も、楽しみです』
美春 「うぅ……///」
美春 (私は何をしているのでしょう……)
美春 (アイスショーの演技力を高めるため、そして姉さまの安寧な生活のため、がんばると決めたのに……)
美春 (これから唯我成幸さんと会うと考えるだけで、どこか浮ついた気持ちになります……)
美春 「………………」
グッ
美春 (こんなことではいけません! 私は、アイスショーのため、そして姉さまの未来のため、がんばると決めたのです!)
美春 (こんなことでは……――)
成幸 「――あっ、美春さん。もう来てたんですね」
美春 「……!?」 ズザザザザッ!!!!
………………翌日 駅前
美春 「………………」 ドキドキドキドキ……
―――― 『……はい。俺も、楽しみです』
美春 「うぅ……///」
美春 (私は何をしているのでしょう……)
美春 (アイスショーの演技力を高めるため、そして姉さまの安寧な生活のため、がんばると決めたのに……)
美春 (これから唯我成幸さんと会うと考えるだけで、どこか浮ついた気持ちになります……)
美春 「………………」
グッ
美春 (こんなことではいけません! 私は、アイスショーのため、そして姉さまの未来のため、がんばると決めたのです!)
美春 (こんなことでは……――)
成幸 「――あっ、美春さん。もう来てたんですね」
美春 「……!?」 ズザザザザッ!!!!
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363:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:40:26 :PQ1Q6G.6
成幸 「お待たせしてごめんなさい……って、」
成幸 「……なぜ、受け身を?」
美春 「なっ、なんでもありません。リンクで転倒したときの受け身の練習をしていただけです」
成幸 (往来でスケートリンクの受け身が取れるとは思えないけど……)
成幸 「……えっと、美春さん。かなり早いですね。まだ集合時間の三十分前ですけど」
成幸 (古橋の教えてくれたサイトで勉強して、三十分前には待っていようとがんばったのに……)
美春 「え、ええ。偶然、家を早く出てしまいまして。でも、ついさっき来たところですから」
美春 (……本当は、寮にいると落ち着かなくて、早く出過ぎてしまっただけですけど)
成幸 「………………」
美春 「………………」
ドキドキドキドキ……
美春 (うぅ、さっき決意を新たにしたばかりだというのに、また浮ついた気持ちに……)
成幸 (な、なんだろう。美春さん、昨日とまた少し違う格好で、すごく……)
成幸 (きっ、綺麗だな……)
成幸 「お待たせしてごめんなさい……って、」
成幸 「……なぜ、受け身を?」
美春 「なっ、なんでもありません。リンクで転倒したときの受け身の練習をしていただけです」
成幸 (往来でスケートリンクの受け身が取れるとは思えないけど……)
成幸 「……えっと、美春さん。かなり早いですね。まだ集合時間の三十分前ですけど」
成幸 (古橋の教えてくれたサイトで勉強して、三十分前には待っていようとがんばったのに……)
美春 「え、ええ。偶然、家を早く出てしまいまして。でも、ついさっき来たところですから」
美春 (……本当は、寮にいると落ち着かなくて、早く出過ぎてしまっただけですけど)
成幸 「………………」
美春 「………………」
ドキドキドキドキ……
美春 (うぅ、さっき決意を新たにしたばかりだというのに、また浮ついた気持ちに……)
成幸 (な、なんだろう。美春さん、昨日とまた少し違う格好で、すごく……)
成幸 (きっ、綺麗だな……)
364:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:41:26 :PQ1Q6G.6
成幸 「………………」
―――― 『女心鉄則! 「お出かけ時は必ず服を褒めるべし!!!」』
成幸 (よ、よし。今こそ師匠の今までの教えをフルに活用するとき……!!)
成幸 「み、美春さん!」
美春 「は、はい!」 ビクッ
成幸 「えっと……」
カァアアアア……
成幸 「き、昨日も、すごく素敵でしたけど……今日も、その……」
成幸 「……今日も、その、すごくきれいで、素敵です」
美春 「………………」
成幸 「………………」
成幸 (……し、しまったぁああああああ!! これは外したやつか!? ダメなやつだったか!?)
成幸 (セクハラで訴えられるやつか!?)
成幸 「………………」
―――― 『女心鉄則! 「お出かけ時は必ず服を褒めるべし!!!」』
成幸 (よ、よし。今こそ師匠の今までの教えをフルに活用するとき……!!)
成幸 「み、美春さん!」
美春 「は、はい!」 ビクッ
成幸 「えっと……」
カァアアアア……
成幸 「き、昨日も、すごく素敵でしたけど……今日も、その……」
成幸 「……今日も、その、すごくきれいで、素敵です」
美春 「………………」
成幸 「………………」
成幸 (……し、しまったぁああああああ!! これは外したやつか!? ダメなやつだったか!?)
成幸 (セクハラで訴えられるやつか!?)
365:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:41:59 :PQ1Q6G.6
美春 「………………」
ボフッ
美春 「ひゃっ、ひゃい……あ、ありがとう、ございます、です……///」
美春 (ひゃあああああ……と、殿方に褒められてしまいました!!)
―――― 成幸 『昨日も素敵でしたけど、今日もきれいで素敵だよ、美春さん』(※誇張あり)
美春 (ひゃああああああああああああ……!!!)
成幸 (よ、よかったぁあああああああ……。セーフみたいだ……)
美春 (きれい……きれい、ですか……)
美春 (えへへ……)
成幸 (で、でもなんか、恥ずかしいな、これ……)
成幸 「……ん?」
成幸 「あ、そのぬいぐるみのストラップ……」
美春 「へ……? ああ、これですか? 可愛かったので早速カバンにつけてしまいしまいました」
美春 「ちょっと子供っぽいですかね……」
美春 「………………」
ボフッ
美春 「ひゃっ、ひゃい……あ、ありがとう、ございます、です……///」
美春 (ひゃあああああ……と、殿方に褒められてしまいました!!)
―――― 成幸 『昨日も素敵でしたけど、今日もきれいで素敵だよ、美春さん』(※誇張あり)
美春 (ひゃああああああああああああ……!!!)
成幸 (よ、よかったぁあああああああ……。セーフみたいだ……)
美春 (きれい……きれい、ですか……)
美春 (えへへ……)
成幸 (で、でもなんか、恥ずかしいな、これ……)
成幸 「……ん?」
成幸 「あ、そのぬいぐるみのストラップ……」
美春 「へ……? ああ、これですか? 可愛かったので早速カバンにつけてしまいしまいました」
美春 「ちょっと子供っぽいですかね……」
366:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:42:41 :PQ1Q6G.6
成幸 「あ、いや、全然いいと思います。すごく自然ですし……」
成幸 「えっと……その、一応、恋人役なので、その……俺も、」
スッ
成幸 「ちょっと恥ずかしかったけど、昨日いただいたストラップ、つけて来ちゃいました」
成幸 「……お、おそろい、ですね」
美春 「へっ……///」 カァアアアア…… 「そ、そうですか。それは、その、なんというか……」
美春 「……あっ、ありがとう、ございます……?///」 (な、何故お礼を言っているのですか私は……)
成幸 「あ、いや、全然、そんな……こちらこそ、ありがとうございます……?///」
通行人 (……初々しいバカップル)
通行人 (なにあのカップルめっちゃかわいい……)
通行人 (無自覚純情バカップル……)
男の子 「ママー、カップルー」
お母さん 「こら、指さしちゃダメよ」
成幸&美春 「「っ……///」」
成幸 「あ、いや、全然いいと思います。すごく自然ですし……」
成幸 「えっと……その、一応、恋人役なので、その……俺も、」
スッ
成幸 「ちょっと恥ずかしかったけど、昨日いただいたストラップ、つけて来ちゃいました」
成幸 「……お、おそろい、ですね」
美春 「へっ……///」 カァアアアア…… 「そ、そうですか。それは、その、なんというか……」
美春 「……あっ、ありがとう、ございます……?///」 (な、何故お礼を言っているのですか私は……)
成幸 「あ、いや、全然、そんな……こちらこそ、ありがとうございます……?///」
通行人 (……初々しいバカップル)
通行人 (なにあのカップルめっちゃかわいい……)
通行人 (無自覚純情バカップル……)
男の子 「ママー、カップルー」
お母さん 「こら、指さしちゃダメよ」
成幸&美春 「「っ……///」」
367:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:44:06 :PQ1Q6G.6
………………遊園地入り口
成幸 「そういえば、今日の予定は遊園地でしたね……」 ゴクリ
美春 「? なぜそんなに緊張しているんです?」
成幸 「いや、うちは貧乏なので、あまりこういう場所に来たことがないので……」
成幸 「あの、入園料とかすごく高いですよね。さすがに俺も少しは……」
美春 「結構です。私が頼み込んで、無理を言って来てもらっているんですから」
成幸 「でも……」
美春 「でもも何もありません。そもそも、年下の男子にお金を出させるなんて、女がすたるというものです」
成幸 「……わかりました。じゃあ、チケット、いただきます。ありがとうございます」
美春 (だから、私が頼んで来てもらっているのだから、お礼を言う必要もないというのに……)
美春 (まったく、融通の利かない子ですね。そういうトコロ、きらいではないですが……)
美春 「………………」 ハッ (き、きらいでないだけで、好きというわけではありませんからね!?)
美春 (……って、私は一体誰に言い訳しているのでしょうか? は、恥ずかしい……)
成幸 「……?」 (美春さん、なんかあたふたして、どうかしたのかな……?)
………………遊園地入り口
成幸 「そういえば、今日の予定は遊園地でしたね……」 ゴクリ
美春 「? なぜそんなに緊張しているんです?」
成幸 「いや、うちは貧乏なので、あまりこういう場所に来たことがないので……」
成幸 「あの、入園料とかすごく高いですよね。さすがに俺も少しは……」
美春 「結構です。私が頼み込んで、無理を言って来てもらっているんですから」
成幸 「でも……」
美春 「でもも何もありません。そもそも、年下の男子にお金を出させるなんて、女がすたるというものです」
成幸 「……わかりました。じゃあ、チケット、いただきます。ありがとうございます」
美春 (だから、私が頼んで来てもらっているのだから、お礼を言う必要もないというのに……)
美春 (まったく、融通の利かない子ですね。そういうトコロ、きらいではないですが……)
美春 「………………」 ハッ (き、きらいでないだけで、好きというわけではありませんからね!?)
美春 (……って、私は一体誰に言い訳しているのでしょうか? は、恥ずかしい……)
成幸 「……?」 (美春さん、なんかあたふたして、どうかしたのかな……?)
368:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:44:49 :PQ1Q6G.6
………………
成幸 「美春さん、何か乗りたいものとかありますか?」
美春 「えっと……」 カァアアアア…… 「実は私も、恥ずかしながら、あまりこういったところに来たことがなくて……」
成幸 「ああ、そうなんですね。そういえば先生も同じようなこと言ってたしなぁ」
成幸 「じゃあ、俺と同じですね。パンフレットを見ながら、行きたい場所を探してみましょうか」
バサッ……
美春 「色々なところがありますね……うーん……」
成幸 (ふふ、悩んでるなぁ、美春さん。アスリートだから、ジェットコースターとか好きそうだけど……)
美春 「……ああっ!」
成幸 「気になるところがありました?」
美春 「ここ! ここに行きたいです!」 ビシッ
成幸 「……? “キャラクターたちと遊ぼう! ファンシーエリア” ……?」
………………
成幸 「美春さん、何か乗りたいものとかありますか?」
美春 「えっと……」 カァアアアア…… 「実は私も、恥ずかしながら、あまりこういったところに来たことがなくて……」
成幸 「ああ、そうなんですね。そういえば先生も同じようなこと言ってたしなぁ」
成幸 「じゃあ、俺と同じですね。パンフレットを見ながら、行きたい場所を探してみましょうか」
バサッ……
美春 「色々なところがありますね……うーん……」
成幸 (ふふ、悩んでるなぁ、美春さん。アスリートだから、ジェットコースターとか好きそうだけど……)
美春 「……ああっ!」
成幸 「気になるところがありました?」
美春 「ここ! ここに行きたいです!」 ビシッ
成幸 「……? “キャラクターたちと遊ぼう! ファンシーエリア” ……?」
369:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:46:37 :PQ1Q6G.6
………………
美春 「きゃああああああああああああ!!!」 キラキラキラキラ……!!!
美春 「かわいいモフモフがたくさんいますよ、唯我成幸さん!!!」 ブンブンブン
成幸 「あ、はい。大丈夫です。俺にも見えてますから。揺らさなくていいですよ」
美春 「ぎゃんカワです!! これがぎゃんカワというものなのですね唯我成幸さん!!」 ブンブンブン
成幸 「あ、はい。その言葉は知らないですけどたぶんそうです」
成幸 (揺すられすぎてアトラクションに乗ってもいないのに酔いそうだ……) ウップ
美春 「えっ、一緒に写真を撮っていいんですか!?」 キラキラキラ……!!!!
美春 「唯我成幸さん! キャラクターさんたちと写真を撮りたいので、撮影をお願いしてもいいですか?」
成幸 「あ、はい。わかりました」
美春 「だ、抱きついてもいいですか? ……わっ、もふもふです」
成幸 (キャラクターに囲まれて、子どもみたいにはしゃいじゃってまぁ……)
クスッ
成幸 「じゃあ撮りますよ。はい、チーズ」
パシャッ
………………
美春 「きゃああああああああああああ!!!」 キラキラキラキラ……!!!
美春 「かわいいモフモフがたくさんいますよ、唯我成幸さん!!!」 ブンブンブン
成幸 「あ、はい。大丈夫です。俺にも見えてますから。揺らさなくていいですよ」
美春 「ぎゃんカワです!! これがぎゃんカワというものなのですね唯我成幸さん!!」 ブンブンブン
成幸 「あ、はい。その言葉は知らないですけどたぶんそうです」
成幸 (揺すられすぎてアトラクションに乗ってもいないのに酔いそうだ……) ウップ
美春 「えっ、一緒に写真を撮っていいんですか!?」 キラキラキラ……!!!!
美春 「唯我成幸さん! キャラクターさんたちと写真を撮りたいので、撮影をお願いしてもいいですか?」
成幸 「あ、はい。わかりました」
美春 「だ、抱きついてもいいですか? ……わっ、もふもふです」
成幸 (キャラクターに囲まれて、子どもみたいにはしゃいじゃってまぁ……)
クスッ
成幸 「じゃあ撮りますよ。はい、チーズ」
パシャッ
370:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:48:56 :PQ1Q6G.6
………………
美春 「………………」
カァアアアア……
美春 「す、すみません。はしゃいでしまって……」
成幸 「いえいえ、楽しかったなら何よりじゃないですか」
成幸 「写真、たくさん撮ったから送りますね」
美春 「うぅ……。こんな無防備に笑って、はしたないです……」
成幸 「そんなことないですよ。どれも良い笑顔だと思いますよ」
成幸 (……ん、そういえば古橋師匠の教えてくれたサイトに、こんなときのアドバイスもあったな)
成幸 (こういうときは、たしか……)
成幸 「……えっと、その……どの写真も、とっても可愛くて、綺麗です」
美春 「ふぇっ……」 ボフッ 「しょ、しょう、でしゅか……///」 プシューーー
成幸 「あっ……」 (しまったな。やっぱり俺に言われても嬉しくないよな。そっぽ向いちゃった……)
美春 (と、とととと、殿方に、可愛いなどと言われてしまいました。うぅ……///)
………………
美春 「………………」
カァアアアア……
美春 「す、すみません。はしゃいでしまって……」
成幸 「いえいえ、楽しかったなら何よりじゃないですか」
成幸 「写真、たくさん撮ったから送りますね」
美春 「うぅ……。こんな無防備に笑って、はしたないです……」
成幸 「そんなことないですよ。どれも良い笑顔だと思いますよ」
成幸 (……ん、そういえば古橋師匠の教えてくれたサイトに、こんなときのアドバイスもあったな)
成幸 (こういうときは、たしか……)
成幸 「……えっと、その……どの写真も、とっても可愛くて、綺麗です」
美春 「ふぇっ……」 ボフッ 「しょ、しょう、でしゅか……///」 プシューーー
成幸 「あっ……」 (しまったな。やっぱり俺に言われても嬉しくないよな。そっぽ向いちゃった……)
美春 (と、とととと、殿方に、可愛いなどと言われてしまいました。うぅ……///)
371:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:49:48 :PQ1Q6G.6
成幸 (……でも、どの写真も、本当に楽しそうだ)
成幸 (アイスショーのこととか抜きにしても、普通に楽しんでくれているなら、何よりかな)
成幸 「……美春さんは可愛いものがお好きなんですね」
美春 「へ……? え、ええ。昔、犬を飼っていたことがあって。そのときからずっと、モフモフは好きです」
成幸 (……ああ。例の逃げ出してしまったというワンちゃんか)
美春 「こうやってキャラクターに囲まれて写真を撮るなんて初めてで、興奮してしまいました」
―――― 『……全てにおいてフィギュア第一だったから』
―――― 『あんな風に 学校帰りに寄り道して談笑した記憶もほぼないわね』
成幸 (……先生は、友達と一緒に遊んだり、そういったことはほとんどしたことがないと言ってたけど)
成幸 (やっぱり、美春さんもそうなんだろうな……)
成幸 「………………」
成幸 (……よし、それなら!) グッ (アイスショーの助けになるのは元より!!)
成幸 (できるだけ、今みたいに美春さんに楽しんでもらえるように、がんばるぞー!)
成幸 (……でも、どの写真も、本当に楽しそうだ)
成幸 (アイスショーのこととか抜きにしても、普通に楽しんでくれているなら、何よりかな)
成幸 「……美春さんは可愛いものがお好きなんですね」
美春 「へ……? え、ええ。昔、犬を飼っていたことがあって。そのときからずっと、モフモフは好きです」
成幸 (……ああ。例の逃げ出してしまったというワンちゃんか)
美春 「こうやってキャラクターに囲まれて写真を撮るなんて初めてで、興奮してしまいました」
―――― 『……全てにおいてフィギュア第一だったから』
―――― 『あんな風に 学校帰りに寄り道して談笑した記憶もほぼないわね』
成幸 (……先生は、友達と一緒に遊んだり、そういったことはほとんどしたことがないと言ってたけど)
成幸 (やっぱり、美春さんもそうなんだろうな……)
成幸 「………………」
成幸 (……よし、それなら!) グッ (アイスショーの助けになるのは元より!!)
成幸 (できるだけ、今みたいに美春さんに楽しんでもらえるように、がんばるぞー!)
372:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:50:33 :PQ1Q6G.6
成幸 「美春さん、次はどこに……って、あれ? 美春さん?」
美春 「………………」 ジーーーーッ
成幸 (いつの間にか売店にいる……。忙しない人だなぁ……)
美春 「ふわぁあああ……」 キラキラキラ……!!!!
成幸 「美春さん? 何を見てるんですか?」
美春 「あ、すみません。ちょっと、ぬいぐるみを……」
美春 「このぬいぐるみ、昔飼ってた犬にそっくりでかわいくて……」
成幸 「ああ、さっき言ってた子ですね」 (なんか、俺がよく着させられる着ぐるみにも似てるな……)
美春 「………………」 キラキラキラ……!!!!
ハッ
美春 「い、いけません。またぬいぐるみを増やしたら、母さまに怒られてしまいます!」
美春 「実家に置きっぱなしの子たちもいるんだから、我慢しないと……」
美春 「……では、次に行きましょう、唯我成幸さん。次はジェットコースターに乗りたいです!」
成幸 「? いいんですか? もっと見ていっても……」
成幸 「美春さん、次はどこに……って、あれ? 美春さん?」
美春 「………………」 ジーーーーッ
成幸 (いつの間にか売店にいる……。忙しない人だなぁ……)
美春 「ふわぁあああ……」 キラキラキラ……!!!!
成幸 「美春さん? 何を見てるんですか?」
美春 「あ、すみません。ちょっと、ぬいぐるみを……」
美春 「このぬいぐるみ、昔飼ってた犬にそっくりでかわいくて……」
成幸 「ああ、さっき言ってた子ですね」 (なんか、俺がよく着させられる着ぐるみにも似てるな……)
美春 「………………」 キラキラキラ……!!!!
ハッ
美春 「い、いけません。またぬいぐるみを増やしたら、母さまに怒られてしまいます!」
美春 「実家に置きっぱなしの子たちもいるんだから、我慢しないと……」
美春 「……では、次に行きましょう、唯我成幸さん。次はジェットコースターに乗りたいです!」
成幸 「? いいんですか? もっと見ていっても……」
373:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:51:16 :PQ1Q6G.6
美春 「いいんです。もう大学生なのだから、子どもっぽい趣味も大概にしないといけませんし」
美春 「姉さまみたいな立派な女性になるには、大人にならないといけませんから」
成幸 (言うほどあの人は立派な女性だろうか……。いや、言うとまた怒られそうだからやめておこう)
成幸 (でも……)
美春 「……はぁ、でも本当にかわいいですね」 シューン
成幸 「あ……すみません、ちょっとお手洗いに行って来ます。待っててください」
美春 「? わかりました」
成幸 「………………」
トトトトト……
成幸 (……チケットも何もかも奢ってもらって、悪い気持ちもあるし)
成幸 (少しくらい、いいよな……)
―――― 『いいんです。もう大学生なのだから、子どもっぽい趣味も大概にしないといけませんし』
成幸 「………………」
成幸 (……あんな寂しそうな顔、してほしくないしな)
美春 「いいんです。もう大学生なのだから、子どもっぽい趣味も大概にしないといけませんし」
美春 「姉さまみたいな立派な女性になるには、大人にならないといけませんから」
成幸 (言うほどあの人は立派な女性だろうか……。いや、言うとまた怒られそうだからやめておこう)
成幸 (でも……)
美春 「……はぁ、でも本当にかわいいですね」 シューン
成幸 「あ……すみません、ちょっとお手洗いに行って来ます。待っててください」
美春 「? わかりました」
成幸 「………………」
トトトトト……
成幸 (……チケットも何もかも奢ってもらって、悪い気持ちもあるし)
成幸 (少しくらい、いいよな……)
―――― 『いいんです。もう大学生なのだから、子どもっぽい趣味も大概にしないといけませんし』
成幸 「………………」
成幸 (……あんな寂しそうな顔、してほしくないしな)
374:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:52:36 :PQ1Q6G.6
………………ジェットコースター搭乗後
美春 「ふふっ、楽しかったですね、唯我成幸さん! 加速感がたまりません!」
成幸 「うっぷ……うぅ、そ、そうですね……」 フラフラフラ
成幸 (事前に美春さんに揺すられていたのも相まって、滅茶苦茶酔ってしまった……)
成幸 (加速感とか言っちゃうあたり、この人はやっぱり桐須先生の妹だな……)
美春 「もう一回乗りましょう、唯我成幸さん!」
成幸 「か、勘弁してください……」
………………コーヒーカップ
美春 「ふふふ、回転軸が自分にない回転は新鮮です!!」 グルグルグルグルグル!!!!
成幸 「うぷっ……ち、ちょっと、美春さん、回しすぎ……」
成幸 「っていうかよく酔いませんね……」
美春 「鍛えてますから! これくらいの回転数なら首を回さなくても酔いません!」
美春 「もっと速く回せませんかね、これ!」
成幸 「か、勘弁してください……うぷっ……」
………………ジェットコースター搭乗後
美春 「ふふっ、楽しかったですね、唯我成幸さん! 加速感がたまりません!」
成幸 「うっぷ……うぅ、そ、そうですね……」 フラフラフラ
成幸 (事前に美春さんに揺すられていたのも相まって、滅茶苦茶酔ってしまった……)
成幸 (加速感とか言っちゃうあたり、この人はやっぱり桐須先生の妹だな……)
美春 「もう一回乗りましょう、唯我成幸さん!」
成幸 「か、勘弁してください……」
………………コーヒーカップ
美春 「ふふふ、回転軸が自分にない回転は新鮮です!!」 グルグルグルグルグル!!!!
成幸 「うぷっ……ち、ちょっと、美春さん、回しすぎ……」
成幸 「っていうかよく酔いませんね……」
美春 「鍛えてますから! これくらいの回転数なら首を回さなくても酔いません!」
美春 「もっと速く回せませんかね、これ!」
成幸 「か、勘弁してください……うぷっ……」
375:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:53:10 :PQ1Q6G.6
………………
成幸 「………………」 グタッ……
美春 「唯我成幸さん、大丈夫ですか?」
成幸 「すみません……。少し、休ませてもらえると……」
美春 「もちろんです! ゆっくり休んでください!」
シューーーン
美春 「……すみません。私のせいですね」
美春 「楽しくて、ついハメを外しすぎてしまいました……」
成幸 「あ、いや、全然、美春さんのせいじゃないですよ……うぷっ……」
美春 「ああっ、やっぱりつらそうです。何か飲み物でも買ってきますね!」 ピューン!!!!
成幸 「おかまいなく……って、もう行っちゃったか」
成幸 (うぅ、情けない。がんばるって決めたのに、もうダウンしてしまった……)
成幸 (美春さん、せっかくすごく楽しそうだったのに……――)
「――……えぐっ、ぐすっ……」 「お母さん、どこー……えぐっ……」
成幸 「ん……?」
………………
成幸 「………………」 グタッ……
美春 「唯我成幸さん、大丈夫ですか?」
成幸 「すみません……。少し、休ませてもらえると……」
美春 「もちろんです! ゆっくり休んでください!」
シューーーン
美春 「……すみません。私のせいですね」
美春 「楽しくて、ついハメを外しすぎてしまいました……」
成幸 「あ、いや、全然、美春さんのせいじゃないですよ……うぷっ……」
美春 「ああっ、やっぱりつらそうです。何か飲み物でも買ってきますね!」 ピューン!!!!
成幸 「おかまいなく……って、もう行っちゃったか」
成幸 (うぅ、情けない。がんばるって決めたのに、もうダウンしてしまった……)
成幸 (美春さん、せっかくすごく楽しそうだったのに……――)
「――……えぐっ、ぐすっ……」 「お母さん、どこー……えぐっ……」
成幸 「ん……?」
376:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:53:49 :PQ1Q6G.6
………………
美春 「………………」
ハァ
美春 (私としたことが、後先考えず、唯我成幸さんに迷惑をかけてしまいました)
美春 (年上の女として、色香を振りまいて誘惑するつもりが、何をしているのでしょうか、私は)
美春 (……きっと、唯我成幸さんも呆れているでしょうね)
美春 (これ以上の醜態を晒す前に、今日は早々と勉強タイムにした方がいいでしょうか……)
美春 「……ん?」
成幸 「そうかそうか。お母さんとはぐれちゃったのかー」
みな 「えぐっ……ぐずっ……」 コクコクコク かな 「ぐすっ……」 コクコクコク
成幸 「怖かったなー。でも大丈夫だぞー。お兄ちゃんと一緒に迷子センターに行こうな」 ナデナデ
かな 「ぐすっ……ん……」 ギュッ みな 「……うん」 ギュッ
美春 「……? 唯我成幸さん、その子たちは?」
成幸 「ああ、美春さん。どうも迷子みたいです。お母さんとはぐれてしまったみたいで……」
美春 「迷子さんですか。おやおや、それは困りましたね……」
………………
美春 「………………」
ハァ
美春 (私としたことが、後先考えず、唯我成幸さんに迷惑をかけてしまいました)
美春 (年上の女として、色香を振りまいて誘惑するつもりが、何をしているのでしょうか、私は)
美春 (……きっと、唯我成幸さんも呆れているでしょうね)
美春 (これ以上の醜態を晒す前に、今日は早々と勉強タイムにした方がいいでしょうか……)
美春 「……ん?」
成幸 「そうかそうか。お母さんとはぐれちゃったのかー」
みな 「えぐっ……ぐずっ……」 コクコクコク かな 「ぐすっ……」 コクコクコク
成幸 「怖かったなー。でも大丈夫だぞー。お兄ちゃんと一緒に迷子センターに行こうな」 ナデナデ
かな 「ぐすっ……ん……」 ギュッ みな 「……うん」 ギュッ
美春 「……? 唯我成幸さん、その子たちは?」
成幸 「ああ、美春さん。どうも迷子みたいです。お母さんとはぐれてしまったみたいで……」
美春 「迷子さんですか。おやおや、それは困りましたね……」
377:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:54:28 :PQ1Q6G.6
成幸 「……すみません。あの、恋人役をやっている最中で、恐縮なのですが」
成幸 「この子たちを迷子センターに届けてもいいでしょうか」
美春 「当然です! 小さな子供の庇護は何をおいても優先されるべきです!」
美春 「お嬢さんたち、この桐須美春が来たからにはもう安心ですよ!」
かな&みな 「「………………」」
スススススッ……
成幸 「あっ……」 (俺の後に隠れてしまった……)
美春 「なっ……」 ガーーーーン
美春 「………………」
美春 「……では、行きましょうか、唯我成幸さん。お嬢さん方」 ズーーーン
成幸 (迷子に振られて少し暗くなってしまった。分かりやすい人だ……)
成幸 「……すみません。あの、恋人役をやっている最中で、恐縮なのですが」
成幸 「この子たちを迷子センターに届けてもいいでしょうか」
美春 「当然です! 小さな子供の庇護は何をおいても優先されるべきです!」
美春 「お嬢さんたち、この桐須美春が来たからにはもう安心ですよ!」
かな&みな 「「………………」」
スススススッ……
成幸 「あっ……」 (俺の後に隠れてしまった……)
美春 「なっ……」 ガーーーーン
美春 「………………」
美春 「……では、行きましょうか、唯我成幸さん。お嬢さん方」 ズーーーン
成幸 (迷子に振られて少し暗くなってしまった。分かりやすい人だ……)
378:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:55:22 :PQ1Q6G.6
………………迷子センター
成幸 「放送もしてもらいましたし、じきにお母さんも来るでしょう」
成幸 「あとは係員さんに任せて大丈夫だと思います。すみません、お時間を取らせました」
成幸 「遊園地デートの続きに戻りましょう」
美春 「……いえ、まだ無理だと思いますよ」
成幸 「へ?」 ギュッギュッ 「あっ……」
かな&みな 「「………………」」 ジーーーーーーッ
成幸 (俺の服の裾を掴んで離しそうにない。目線は無言で何かを訴えている……)
成幸 「……あー、えっと、その、美春さん。大変申し上げにくいのですが……」
美春 「皆まで言う必要はありません。先ほども申し上げた通り、子供の庇護が最優先です」
美春 「唯我成幸さんがいた方がその子たちの精神が安定するのなら、一緒にいてあげてください」
成幸 「あ、何なら美春さんだけ遊園地を回っていていただいても……」
美春 「は? 私に一人で遊園地ではしゃぎ回る浮かれた成人女になれと?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!
成幸 「……すみません。一緒にいていただけると、すごく頼もしいので一緒にいてください」
………………迷子センター
成幸 「放送もしてもらいましたし、じきにお母さんも来るでしょう」
成幸 「あとは係員さんに任せて大丈夫だと思います。すみません、お時間を取らせました」
成幸 「遊園地デートの続きに戻りましょう」
美春 「……いえ、まだ無理だと思いますよ」
成幸 「へ?」 ギュッギュッ 「あっ……」
かな&みな 「「………………」」 ジーーーーーーッ
成幸 (俺の服の裾を掴んで離しそうにない。目線は無言で何かを訴えている……)
成幸 「……あー、えっと、その、美春さん。大変申し上げにくいのですが……」
美春 「皆まで言う必要はありません。先ほども申し上げた通り、子供の庇護が最優先です」
美春 「唯我成幸さんがいた方がその子たちの精神が安定するのなら、一緒にいてあげてください」
成幸 「あ、何なら美春さんだけ遊園地を回っていていただいても……」
美春 「は? 私に一人で遊園地ではしゃぎ回る浮かれた成人女になれと?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!
成幸 「……すみません。一緒にいていただけると、すごく頼もしいので一緒にいてください」
379:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:55:53 :PQ1Q6G.6
………………
美春 (……とは言ったものの)
かな 「おにいちゃん、まえにどこかであったことある?」
成幸 「え? ……んー、そういえば、見たことがあるような……」
みな 「かな、おにいちゃんなんぱしちゃだめよ」
かな 「なんぱじゃないよぉ。ほんとにどこかであったことあるのー」
美春 (ふたりとも随分と落ち着いて来たようですね。いいことではありますが……)
みな 「かな、むこうのおねえちゃんがしっとしちゃうわ」
美春 (……随分とませたことを言うものですね)
美春 (まぁ、私のことは少し怖いようですし、このまま少し離れたところにいれば……――)
かな 「……? あ、くまちゃん!」
美春 「……?」 (こっちを見て、一体何を……)
美春 (……ん、ひょっとして、昨日ゲームセンターで取ったこのぬいぐるみのストラップですか)
かな 「くまちゃん……」 キラキラキラ……!!!!
………………
美春 (……とは言ったものの)
かな 「おにいちゃん、まえにどこかであったことある?」
成幸 「え? ……んー、そういえば、見たことがあるような……」
みな 「かな、おにいちゃんなんぱしちゃだめよ」
かな 「なんぱじゃないよぉ。ほんとにどこかであったことあるのー」
美春 (ふたりとも随分と落ち着いて来たようですね。いいことではありますが……)
みな 「かな、むこうのおねえちゃんがしっとしちゃうわ」
美春 (……随分とませたことを言うものですね)
美春 (まぁ、私のことは少し怖いようですし、このまま少し離れたところにいれば……――)
かな 「……? あ、くまちゃん!」
美春 「……?」 (こっちを見て、一体何を……)
美春 (……ん、ひょっとして、昨日ゲームセンターで取ったこのぬいぐるみのストラップですか)
かな 「くまちゃん……」 キラキラキラ……!!!!
380:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:56:55 :PQ1Q6G.6
美春 「………………」
美春 『や、やぁ。ぼくはくまきち! こんにちは!』
成幸 「!?」
かな&みな 「「……!」」 パァアアアアアア……!!!
かな 「おねえちゃん、くまちゃんしゃべったよ!」
みな 「そうね、かな。かわいいわね」
美春 (口元に当てて喋っただけですが、想像以上に喜んでくれている……)
美春 (す、少し嬉しいですね……)
成幸 「………………」 クスッ (美春さん、嬉しそうだな。じゃあ……)
成幸 「ふたりとも、くまきちくんを呼んだら、きっとこっちに来てくれるよ?」
かな&みな 「「!!」」
かな 「くまきちー! おいでー!」
美春 「あっ……」
美春 『い、いま行くよー!』
トトトトト……
美春 「………………」
美春 『や、やぁ。ぼくはくまきち! こんにちは!』
成幸 「!?」
かな&みな 「「……!」」 パァアアアアアア……!!!
かな 「おねえちゃん、くまちゃんしゃべったよ!」
みな 「そうね、かな。かわいいわね」
美春 (口元に当てて喋っただけですが、想像以上に喜んでくれている……)
美春 (す、少し嬉しいですね……)
成幸 「………………」 クスッ (美春さん、嬉しそうだな。じゃあ……)
成幸 「ふたりとも、くまきちくんを呼んだら、きっとこっちに来てくれるよ?」
かな&みな 「「!!」」
かな 「くまきちー! おいでー!」
美春 「あっ……」
美春 『い、いま行くよー!』
トトトトト……
381:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:57:35 :PQ1Q6G.6
………………
成幸 『こ、こんにちは! わたしはくまこ!』
かな 「くまこちゃん! こんにちは!」
みな 「くまこちゃんはおんなのこなのね!」
成幸 (気づいたら成り行きで俺までごっこ遊びに巻き込まれていた……)
成幸 (でも懐かしいな。昔、よく水希、葉月、和樹にせがまれてごっこ遊びをしたなぁ)
みな 「くまこちゃんとくまきちくんはどんなかんけいなの?」 ワクワク
成幸 「えっ、関係……?」 (なんでこの子たちはこんなにませているんだろう……)
成幸 『えっと、わたしとくまきちくんは、仲良しのお友達よ』
美春 『そう、ぼくたちは仲良しのお友達!』
みな 「ほんとに~? そんなこといって、ないしょでおつきあいしてたりしない?」
美春 「な、内緒でお付き合いって……」 (本当におませな子たちですね……)
かな 「ちゅーするかな。ちゅーするかな」 ワクワク
みな 「きっとするわよ、かな」 ワクワク
成幸 (本当におませだな!)
………………
成幸 『こ、こんにちは! わたしはくまこ!』
かな 「くまこちゃん! こんにちは!」
みな 「くまこちゃんはおんなのこなのね!」
成幸 (気づいたら成り行きで俺までごっこ遊びに巻き込まれていた……)
成幸 (でも懐かしいな。昔、よく水希、葉月、和樹にせがまれてごっこ遊びをしたなぁ)
みな 「くまこちゃんとくまきちくんはどんなかんけいなの?」 ワクワク
成幸 「えっ、関係……?」 (なんでこの子たちはこんなにませているんだろう……)
成幸 『えっと、わたしとくまきちくんは、仲良しのお友達よ』
美春 『そう、ぼくたちは仲良しのお友達!』
みな 「ほんとに~? そんなこといって、ないしょでおつきあいしてたりしない?」
美春 「な、内緒でお付き合いって……」 (本当におませな子たちですね……)
かな 「ちゅーするかな。ちゅーするかな」 ワクワク
みな 「きっとするわよ、かな」 ワクワク
成幸 (本当におませだな!)
382:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:58:08 :PQ1Q6G.6
………………
かな 『くまこちゃん。ただいまー』
みな 『くまきちくん、おかえりなさい』
かな 『ただいまのちゅー……』
みな 『もうっ、くまきちくんったら……ちゅっ』
美春 (っ……私と唯我成幸さんの、おそろいのストラップが、キスを……///)
成幸 (気づけばストラップも取られてしまいましたね) コソッ
美春 (!?) ビクッ (そ、そうですね! でも楽しそうに遊んでいるようで何よりです) コソッ
成幸 (? 元気に遊んでる間にお母さんが来てくれるといいんですが……――)
「――かなー! みなー!」 バーーーン!!
かな 「! おかあさん!」
みな 「おかあさーん!」
ギュッギュッ
お母さん 「ふたりとも、遅くなってごめんね! 無事で良かった……!」
………………
かな 『くまこちゃん。ただいまー』
みな 『くまきちくん、おかえりなさい』
かな 『ただいまのちゅー……』
みな 『もうっ、くまきちくんったら……ちゅっ』
美春 (っ……私と唯我成幸さんの、おそろいのストラップが、キスを……///)
成幸 (気づけばストラップも取られてしまいましたね) コソッ
美春 (!?) ビクッ (そ、そうですね! でも楽しそうに遊んでいるようで何よりです) コソッ
成幸 (? 元気に遊んでる間にお母さんが来てくれるといいんですが……――)
「――かなー! みなー!」 バーーーン!!
かな 「! おかあさん!」
みな 「おかあさーん!」
ギュッギュッ
お母さん 「ふたりとも、遅くなってごめんね! 無事で良かった……!」
383:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:58:55 :PQ1Q6G.6
………………
お母さん 「本当に、なんとお礼を申し上げていいか……」
成幸 「気にしないでください。一緒に遊んでいただけですから」
かな 「おにいちゃん、おねえちゃん、ありがとー!」
みな 「くまきちくんとくまこちゃんも、ありがとね」
かな 「くまきち……くまこ……」
みな 「ほら、かな。おにいちゃんとおねえちゃんにかえしてあげないと」
かな 「うん……」
美春 「………………」
クスッ
美春 「くまきちもくまこも、ふたりと一緒に行きたいって言ってますよ」
かな 「へ……?」
美春 「だから、もしよければ連れて行ってあげてくれませんか?」
みな 「……いいの?」
美春 「はいっ! ふたりとも、かなちゃんとみなちゃんと遊ぶのが楽しかったみたいですから!」
………………
お母さん 「本当に、なんとお礼を申し上げていいか……」
成幸 「気にしないでください。一緒に遊んでいただけですから」
かな 「おにいちゃん、おねえちゃん、ありがとー!」
みな 「くまきちくんとくまこちゃんも、ありがとね」
かな 「くまきち……くまこ……」
みな 「ほら、かな。おにいちゃんとおねえちゃんにかえしてあげないと」
かな 「うん……」
美春 「………………」
クスッ
美春 「くまきちもくまこも、ふたりと一緒に行きたいって言ってますよ」
かな 「へ……?」
美春 「だから、もしよければ連れて行ってあげてくれませんか?」
みな 「……いいの?」
美春 「はいっ! ふたりとも、かなちゃんとみなちゃんと遊ぶのが楽しかったみたいですから!」
384:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/05(木) 23:59:44 :PQ1Q6G.6
………………
成幸 「ふー。やっと解放されましたね。ませた子たちでしたね」
美春 「………………」
成幸 「……美春さん? どうかしました?」
美春 「すみません、唯我成幸さん。あなたのストラップまであげてしまいました」
成幸 「へ?」
美春 「あれは、私があなたに差し上げたものなのに、勝手をしました。ごめんなさい」
成幸 「い、いやいや! 謝らないでください。あの子たち喜んでたじゃないですか」
成幸 「俺は気にしてないですから、大丈夫ですよ」
美春 「……はい」
―――― 『……お、おそろい、ですね』
美春 (……せっかく、おそろいだったのに)
美春 「……ん?」
美春 (“せっかく” ……?)
………………
成幸 「ふー。やっと解放されましたね。ませた子たちでしたね」
美春 「………………」
成幸 「……美春さん? どうかしました?」
美春 「すみません、唯我成幸さん。あなたのストラップまであげてしまいました」
成幸 「へ?」
美春 「あれは、私があなたに差し上げたものなのに、勝手をしました。ごめんなさい」
成幸 「い、いやいや! 謝らないでください。あの子たち喜んでたじゃないですか」
成幸 「俺は気にしてないですから、大丈夫ですよ」
美春 「……はい」
―――― 『……お、おそろい、ですね』
美春 (……せっかく、おそろいだったのに)
美春 「……ん?」
美春 (“せっかく” ……?)
385:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:00:19 :ho235Jjg
美春 「………………」
ハッ
美春 (わ、私は、何を考えているのでしょう……/// こ、これではまるで……)
美春 (私が、唯我成幸さんとおそろいの物がなくなったことを残念がっているようではありませんか……///)
成幸 「………………」
成幸 「……あ、あの、美春さん」
美春 「!? ひ、ひゃい!? な、なんでしょうか、唯我成幸さん!」
成幸 「えっと……その、ストラップの代わりというわけではないのですが……」
成幸 「こ、これを……」
スッ
美春 「へ……? この遊園地の包装紙……? これは何ですか?」
成幸 「さっき買ったんです。あの……お気に召すか分からないですけど、開けてみてください」
美春 「は、はい……」
ガサゴソガサガサ……
美春 「あっ……」
美春 「………………」
ハッ
美春 (わ、私は、何を考えているのでしょう……/// こ、これではまるで……)
美春 (私が、唯我成幸さんとおそろいの物がなくなったことを残念がっているようではありませんか……///)
成幸 「………………」
成幸 「……あ、あの、美春さん」
美春 「!? ひ、ひゃい!? な、なんでしょうか、唯我成幸さん!」
成幸 「えっと……その、ストラップの代わりというわけではないのですが……」
成幸 「こ、これを……」
スッ
美春 「へ……? この遊園地の包装紙……? これは何ですか?」
成幸 「さっき買ったんです。あの……お気に召すか分からないですけど、開けてみてください」
美春 「は、はい……」
ガサゴソガサガサ……
美春 「あっ……」
386:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:00:56 :ho235Jjg
美春 「……ふぁぁあああああああああああああ!!」 パァアアアアアア……!!!
―――― 『このぬいぐるみ、昔飼ってた犬にそっくりでかわいくて……』
美春 「さ、さっきのペロ似のぬいぐるみ! なんで……?」
成幸 「さっきトイレに行くフリをして、こっそり買ってたんです」
美春 「そ、そうではなくて! どうして買ったのかを聞いているんです」
成幸 「いや、それは、だって……」
―――― 『いいんです。もう大学生なのだから、子どもっぽい趣味も大概にしないといけませんし』
成幸 「……美春さんに、あんな顔、してほしくなかったので」
美春 「へ……?」
カァアアアア……
美春 「は、はうっ……///」
美春 「……えっと、あの……その……」 ギュッ
美春 「あ、ありがとうございますっ! すごく嬉しいです……」
美春 「……ふぁぁあああああああああああああ!!」 パァアアアアアア……!!!
―――― 『このぬいぐるみ、昔飼ってた犬にそっくりでかわいくて……』
美春 「さ、さっきのペロ似のぬいぐるみ! なんで……?」
成幸 「さっきトイレに行くフリをして、こっそり買ってたんです」
美春 「そ、そうではなくて! どうして買ったのかを聞いているんです」
成幸 「いや、それは、だって……」
―――― 『いいんです。もう大学生なのだから、子どもっぽい趣味も大概にしないといけませんし』
成幸 「……美春さんに、あんな顔、してほしくなかったので」
美春 「へ……?」
カァアアアア……
美春 「は、はうっ……///」
美春 「……えっと、あの……その……」 ギュッ
美春 「あ、ありがとうございますっ! すごく嬉しいです……」
387:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:02:07 :ho235Jjg
成幸 「あっ……///」 カァアアアア…… 「そ、それなら良かったです」
美春 「……あ、あの、大切にします。大切に……///」
成幸 「は、はい……///」
美春 (……摩訶不思議。少し寂しい気持ちだったのがウソのようです)
美春 (今は、とても満ち足りた気持ちです……) ドキドキドキドキ……
成幸 「……? 美春さん?」
美春 (落ち着いているのに、胸は高鳴っている……)
―――― 『恋をすると、回りが見えなくなるの。相手しか見えなくなるの』
―――― 『それなのに、周囲すべてが輝いて見えるわ。もちろん、恋する相手もね』
―――― 『一緒にいると、ドキドキして落ち着かなくなる』
―――― 『でもそれと同時に、どこか落ち着く。ずっと一緒にいたいと思う』
―――― 『……そんな恋を、あなたに知ってもらいたいのよ』
美春 (……私は) ドキドキドキ
美春 (ああ、そうか。私は、この人のことを……) ドキドキドキドキ……
成幸 「あっ……///」 カァアアアア…… 「そ、それなら良かったです」
美春 「……あ、あの、大切にします。大切に……///」
成幸 「は、はい……///」
美春 (……摩訶不思議。少し寂しい気持ちだったのがウソのようです)
美春 (今は、とても満ち足りた気持ちです……) ドキドキドキドキ……
成幸 「……? 美春さん?」
美春 (落ち着いているのに、胸は高鳴っている……)
―――― 『恋をすると、回りが見えなくなるの。相手しか見えなくなるの』
―――― 『それなのに、周囲すべてが輝いて見えるわ。もちろん、恋する相手もね』
―――― 『一緒にいると、ドキドキして落ち着かなくなる』
―――― 『でもそれと同時に、どこか落ち着く。ずっと一緒にいたいと思う』
―――― 『……そんな恋を、あなたに知ってもらいたいのよ』
美春 (……私は) ドキドキドキ
美春 (ああ、そうか。私は、この人のことを……) ドキドキドキドキ……
388:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:02:45 :ho235Jjg
成幸 (……? 美春さん、急にボーッとしちゃったけど、どうしたんだろ)
美春 「………………」
美春 「……何かをつかめた気がします」
成幸 「へ?」
美春 「感謝します、唯我成幸さん。そして、ごめんなさい」
美春 「この感覚を忘れないうちに、練習に戻りたいんです。なので……」
成幸 「………………」 ニコッ 「何か分かったんですね! すごいじゃないですか!」
成幸 「俺のことは気にせず、練習に戻ってください!」
美春 「あっ……ありがとうございます!」
美春 「すみません。勝手を言って、勝手に振り回して……ご迷惑をおかけしました」
美春 「結局勉強も見て差し上げられませんでした。本当にごめんなさい」
美春 「この埋め合わせは必ずします! それでは、また!」
トトトトト……
成幸 「あっ……」 グッ 「が、がんばってくださいねー! 応援してますからー!」
美春 「はいっ! がんばりますー!」
成幸 (……? 美春さん、急にボーッとしちゃったけど、どうしたんだろ)
美春 「………………」
美春 「……何かをつかめた気がします」
成幸 「へ?」
美春 「感謝します、唯我成幸さん。そして、ごめんなさい」
美春 「この感覚を忘れないうちに、練習に戻りたいんです。なので……」
成幸 「………………」 ニコッ 「何か分かったんですね! すごいじゃないですか!」
成幸 「俺のことは気にせず、練習に戻ってください!」
美春 「あっ……ありがとうございます!」
美春 「すみません。勝手を言って、勝手に振り回して……ご迷惑をおかけしました」
美春 「結局勉強も見て差し上げられませんでした。本当にごめんなさい」
美春 「この埋め合わせは必ずします! それでは、また!」
トトトトト……
成幸 「あっ……」 グッ 「が、がんばってくださいねー! 応援してますからー!」
美春 「はいっ! がんばりますー!」
389:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:03:17 :ho235Jjg
………………スケートリンク
プロデューサー 「………………」
プロデューサー (……さて、美春ちゃんは今ごろ何をやっているかしらね)
プロデューサー (まじめなあの子のことだから、古今東西あらゆるラブストーリーを観ているかしら)
プロデューサー (それとも、本当の恋愛に挑戦していたりして……)
クスッ
プロデューサー (……なんて、まさかそんなことは……――)
――――バーーーーン!!
プロデューサー 「!? み、美春ちゃん!?」
美春 「………………」 ゼェゼェゼェ……
プロデューサー 「そ、そんなに息を切らしてどうしたの!? ゲネプロは三日後よ?」
美春 「わっ……わかり、そうなんです……」
プロデューサー 「へ……?」
美春 「わかり、かけているんです。恋心、というものが、きっと……」
………………スケートリンク
プロデューサー 「………………」
プロデューサー (……さて、美春ちゃんは今ごろ何をやっているかしらね)
プロデューサー (まじめなあの子のことだから、古今東西あらゆるラブストーリーを観ているかしら)
プロデューサー (それとも、本当の恋愛に挑戦していたりして……)
クスッ
プロデューサー (……なんて、まさかそんなことは……――)
――――バーーーーン!!
プロデューサー 「!? み、美春ちゃん!?」
美春 「………………」 ゼェゼェゼェ……
プロデューサー 「そ、そんなに息を切らしてどうしたの!? ゲネプロは三日後よ?」
美春 「わっ……わかり、そうなんです……」
プロデューサー 「へ……?」
美春 「わかり、かけているんです。恋心、というものが、きっと……」
390:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:04:19 :ho235Jjg
美春 「その人と一緒にいるとドキドキして、でもどこか心地よくて……」
カァアアアア……
美春 「だから……」 キッ 「私を練習に戻してください! 私が、この気持ちに慣れてしまう前に!」
プロデューサー 「………………」
美春 「………………」
プロデューサー 「……わかったわ。美春ちゃん。何かをつかめたようね」
プロデューサー 「練習に戻る事を許可します。早速着替えてらっしゃい」
美春 「は……はい!」 パァアアアアアア……!!!
トトトトト……
プロデューサー 「……驚いた。二日で随分と変わったものだわ」
ドキドキドキドキ……
プロデューサー 「この私がドキドキさせられてしまうなんて、相当ね……」
プロデューサー (……さすがだわ、桐須美春。まったく、将来有望ね)
プロデューサー (それにしても……) クスッ
プロデューサー (一体どこの素敵な殿方かしら。あの美春ちゃんに、あんな顔をさせるなんて)
美春 「その人と一緒にいるとドキドキして、でもどこか心地よくて……」
カァアアアア……
美春 「だから……」 キッ 「私を練習に戻してください! 私が、この気持ちに慣れてしまう前に!」
プロデューサー 「………………」
美春 「………………」
プロデューサー 「……わかったわ。美春ちゃん。何かをつかめたようね」
プロデューサー 「練習に戻る事を許可します。早速着替えてらっしゃい」
美春 「は……はい!」 パァアアアアアア……!!!
トトトトト……
プロデューサー 「……驚いた。二日で随分と変わったものだわ」
ドキドキドキドキ……
プロデューサー 「この私がドキドキさせられてしまうなんて、相当ね……」
プロデューサー (……さすがだわ、桐須美春。まったく、将来有望ね)
プロデューサー (それにしても……) クスッ
プロデューサー (一体どこの素敵な殿方かしら。あの美春ちゃんに、あんな顔をさせるなんて)
391:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:05:00 :ho235Jjg
………………週末
成幸 「………………」
カリカリカリ……
成幸 「……ふぅ。少し休憩しようかな。だいぶ進んだし」
―――― 『へ……? こ、この広辞苑もビックリな分厚さの冊子が、デートプラン……?』
成幸 (……結局、あれから美春さんから連絡はない)
成幸 (きっと、俺とのデートで何かが掴めたんだろう。今も練習しているに違いない)
成幸 (それは純粋に嬉しいし、俺も役に立てたなら少し、誇らしい気持ちもある)
成幸 (でも、不思議だ。本当だったら今日もあの人とデートをしていたと思うと……)
クスッ
成幸 (……少し、寂しい、なんて思ってしまうのだから)
成幸 (まだ、冊子の半分も終わってなかったんだけどな……――)
――――ピンポーーン
成幸 「……? 誰だろ?」
………………週末
成幸 「………………」
カリカリカリ……
成幸 「……ふぅ。少し休憩しようかな。だいぶ進んだし」
―――― 『へ……? こ、この広辞苑もビックリな分厚さの冊子が、デートプラン……?』
成幸 (……結局、あれから美春さんから連絡はない)
成幸 (きっと、俺とのデートで何かが掴めたんだろう。今も練習しているに違いない)
成幸 (それは純粋に嬉しいし、俺も役に立てたなら少し、誇らしい気持ちもある)
成幸 (でも、不思議だ。本当だったら今日もあの人とデートをしていたと思うと……)
クスッ
成幸 (……少し、寂しい、なんて思ってしまうのだから)
成幸 (まだ、冊子の半分も終わってなかったんだけどな……――)
――――ピンポーーン
成幸 「……? 誰だろ?」
392:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:05:33 :ho235Jjg
ガラッ……
美春 「あっ……」
成幸 「へ……? 美春さん?」
美春 「ど、どうも、唯我成幸さん。こんにちは」
成幸 「こんにちは。一体どうしたんですか? 俺の家、よく分かりましたね」
美春 「姉さまに教えてもらったんです。生徒の個人情報だからと渋られましたが……」
成幸 「あ、お茶でもいれますよ。どうぞ上がってください。今は家族も誰もいませんし」
美春 「!? い、いえ! すぐに練習に戻らないといけないので、結構です!」
美春 (とっ、殿方一人のお宅にお邪魔するなんて、さすがにできません!)
美春 「あの、今日はこれをお渡しするためだけに来たんです」
成幸 「……? 何です、これ? チケット?」
美春 「は、はい。明日、私が出演するアイスショーのチケットです」
美春 「も……もしよろしければですが! 観に来ていただけませんか……?」
成幸 「えっ……あっ、えっと……」
成幸 「……わ、わかりました。わりがとうございます。観に行きます。絶対」
ガラッ……
美春 「あっ……」
成幸 「へ……? 美春さん?」
美春 「ど、どうも、唯我成幸さん。こんにちは」
成幸 「こんにちは。一体どうしたんですか? 俺の家、よく分かりましたね」
美春 「姉さまに教えてもらったんです。生徒の個人情報だからと渋られましたが……」
成幸 「あ、お茶でもいれますよ。どうぞ上がってください。今は家族も誰もいませんし」
美春 「!? い、いえ! すぐに練習に戻らないといけないので、結構です!」
美春 (とっ、殿方一人のお宅にお邪魔するなんて、さすがにできません!)
美春 「あの、今日はこれをお渡しするためだけに来たんです」
成幸 「……? 何です、これ? チケット?」
美春 「は、はい。明日、私が出演するアイスショーのチケットです」
美春 「も……もしよろしければですが! 観に来ていただけませんか……?」
成幸 「えっ……あっ、えっと……」
成幸 「……わ、わかりました。わりがとうございます。観に行きます。絶対」
393:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:06:08 :ho235Jjg
美春 「は、はい! ありがとうございます! 嬉しいです!」
成幸 「う、嬉しいって、そんな、大げさな……」
美春 「……いえ、嬉しいです。本当に」 クスッ 「正真正銘。本当の本当ですからね」
成幸 「は、はい……」
美春 「……すみません。関係者席のチケットがなくなってしまったので、一般席ですが」
成幸 「いえいえ! チケットがもらえるだけで嬉しいです!」
美春 「………………」
成幸 「………………」
美春 「……では、そろそろ、私は練習に戻ります」
成幸 「あ、はい! わざわざ来ていただいて、ありがとうございました」
美春 「いえいえ、お勉強の邪魔をしてしまいましたね。それでは、また」
成幸 「……は、はい。また……」
成幸 「………………」
成幸 「……あっ、あのっ」
美春 「……? 何でしょうか?」
美春 「は、はい! ありがとうございます! 嬉しいです!」
成幸 「う、嬉しいって、そんな、大げさな……」
美春 「……いえ、嬉しいです。本当に」 クスッ 「正真正銘。本当の本当ですからね」
成幸 「は、はい……」
美春 「……すみません。関係者席のチケットがなくなってしまったので、一般席ですが」
成幸 「いえいえ! チケットがもらえるだけで嬉しいです!」
美春 「………………」
成幸 「………………」
美春 「……では、そろそろ、私は練習に戻ります」
成幸 「あ、はい! わざわざ来ていただいて、ありがとうございました」
美春 「いえいえ、お勉強の邪魔をしてしまいましたね。それでは、また」
成幸 「……は、はい。また……」
成幸 「………………」
成幸 「……あっ、あのっ」
美春 「……? 何でしょうか?」
394:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:06:43 :ho235Jjg
成幸 「……この前のデート、とても楽しかったです」
美春 「えっ……」 ドキッ
成幸 「だ、だから、その……」
カァアアアア……
成幸 「じ、自家撞着、です。まだあのデートプランの半分も終わってないですよ」
―――― 『では、これが今日から週末までのデートプランになります! 目を通しておいてくださいね!』
成幸 「み、美春さん的にも、一度自分が言った事を曲げるのは、納得いかないんじゃないですか?」
美春 「えっ……ええと……」 ドキドキドキドキ……
成幸 「だから、その……俺は、楽しかったので、もし美春さんさえよければ……」
成幸 「……また今度、あのデートの続きをしませんか? 俺の受験が終わった頃にでも」
美春 「ふぁっ……」 カァアアアア…… 「そっ、そそそ、そう、ですね……」
美春 「一度言った事を曲げるのは、やっぱり、だ、ダメですよね……」
成幸 「も、もちろんそのときは、ちゃんとバイトしてお金を貯めておきますから!」
美春 「………………」 クスッ 「……ふふ。なんですか、それ。そんなこと気にしていませんよ」
成幸 「……この前のデート、とても楽しかったです」
美春 「えっ……」 ドキッ
成幸 「だ、だから、その……」
カァアアアア……
成幸 「じ、自家撞着、です。まだあのデートプランの半分も終わってないですよ」
―――― 『では、これが今日から週末までのデートプランになります! 目を通しておいてくださいね!』
成幸 「み、美春さん的にも、一度自分が言った事を曲げるのは、納得いかないんじゃないですか?」
美春 「えっ……ええと……」 ドキドキドキドキ……
成幸 「だから、その……俺は、楽しかったので、もし美春さんさえよければ……」
成幸 「……また今度、あのデートの続きをしませんか? 俺の受験が終わった頃にでも」
美春 「ふぁっ……」 カァアアアア…… 「そっ、そそそ、そう、ですね……」
美春 「一度言った事を曲げるのは、やっぱり、だ、ダメですよね……」
成幸 「も、もちろんそのときは、ちゃんとバイトしてお金を貯めておきますから!」
美春 「………………」 クスッ 「……ふふ。なんですか、それ。そんなこと気にしていませんよ」
395:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:07:56 :ho235Jjg
美春 「………………」
成幸 「………………」
美春 「……では、そろそろ失礼しますね」
成幸 「はい。引き留めてしまってすみません。練習、がんばってくださいね」
成幸 「アイスショー、楽しみにしていますから!」
美春 「ありがとうございます。がんばりますっ!」
―――― 『その人と一緒にいるとドキドキして、でもどこか心地よくて……』
―――― 『私を練習に戻してください! 私が、この気持ちに慣れてしまう前に!』
美春 (プロデューサーにあんな啖呵を切ってしまいましたけど、杞憂でした……)
ドキドキドキドキドキドキドキドキ……
美春 (な、慣れるはずありません。ますますドキドキが大きくなった気がします……)
―――― 『……また今度、あのデートの続きをしませんか?』
美春 「っ……///」
美春 「………………」
成幸 「………………」
美春 「……では、そろそろ失礼しますね」
成幸 「はい。引き留めてしまってすみません。練習、がんばってくださいね」
成幸 「アイスショー、楽しみにしていますから!」
美春 「ありがとうございます。がんばりますっ!」
―――― 『その人と一緒にいるとドキドキして、でもどこか心地よくて……』
―――― 『私を練習に戻してください! 私が、この気持ちに慣れてしまう前に!』
美春 (プロデューサーにあんな啖呵を切ってしまいましたけど、杞憂でした……)
ドキドキドキドキドキドキドキドキ……
美春 (な、慣れるはずありません。ますますドキドキが大きくなった気がします……)
―――― 『……また今度、あのデートの続きをしませんか?』
美春 「っ……///」
396:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:08:35 :ho235Jjg
トコトコトコトコ……ピタッ
美春 「……うそ、ついてしまいました」
―――― 『あ、そうだ、姉さま。関係者席のチケット、もう一枚余っているのですが……』
―――― 『……すみません。関係者席のチケットがなくなってしまったので、一般席ですが』
美春 「………………」
ピラッ
美春 「……結局、余らせてしまいました、関係者席。これは、プロデューサーにお返しした方がいいですね」
美春 (……だって、仕方ないじゃないですか。関係者席のチケットを渡したら、彼は――唯我成幸さんは、)
美春 (きっと、姉さまと一緒にアイスショーを観ることになる。仲睦まじく。お似合いの様相で)
ズキッ
美春 (……私はなんて浅ましいのでしょう。それが耐えられないと思ってしまう)
美春 (悲しいって、辛いって、苦しいって……そう、思ってしまう)
美春 (この気持ちはなんでしょう。まさか本当に、恋というものなのでしょうか)
美春 (私は、唯我成幸さんのことを好きだと……そう、思ってしまっているのでしょうか)
トコトコトコトコ……ピタッ
美春 「……うそ、ついてしまいました」
―――― 『あ、そうだ、姉さま。関係者席のチケット、もう一枚余っているのですが……』
―――― 『……すみません。関係者席のチケットがなくなってしまったので、一般席ですが』
美春 「………………」
ピラッ
美春 「……結局、余らせてしまいました、関係者席。これは、プロデューサーにお返しした方がいいですね」
美春 (……だって、仕方ないじゃないですか。関係者席のチケットを渡したら、彼は――唯我成幸さんは、)
美春 (きっと、姉さまと一緒にアイスショーを観ることになる。仲睦まじく。お似合いの様相で)
ズキッ
美春 (……私はなんて浅ましいのでしょう。それが耐えられないと思ってしまう)
美春 (悲しいって、辛いって、苦しいって……そう、思ってしまう)
美春 (この気持ちはなんでしょう。まさか本当に、恋というものなのでしょうか)
美春 (私は、唯我成幸さんのことを好きだと……そう、思ってしまっているのでしょうか)
397:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:09:32 :ho235Jjg
美春 「………………」
フルフルフル
美春 (夏炉冬扇。今は考えても詮無いことですね。本番に向けて、集中しなければ……)
美春 (私の気持ちがどうであれ、この気持ちが私の演技のプラスになるのなら)
美春 (それだって利用するだけです。私はスケーターなのですから)
―――― 『……美春さんに、あんな顔、してほしくなかったので』
美春 (……嬉しい気持ち)
―――― 『……また今度、あのデートの続きをしませんか?』
美春 (ドキドキする気持ち……)
―――― ((悲しいって、辛いって、苦しいって……そう、思ってしまう))
美春 (胸が張り裂けそうな気持ち)
美春 (その全部……全部全部、スケートのために使うだけです!)
美春 「………………」
フルフルフル
美春 (夏炉冬扇。今は考えても詮無いことですね。本番に向けて、集中しなければ……)
美春 (私の気持ちがどうであれ、この気持ちが私の演技のプラスになるのなら)
美春 (それだって利用するだけです。私はスケーターなのですから)
―――― 『……美春さんに、あんな顔、してほしくなかったので』
美春 (……嬉しい気持ち)
―――― 『……また今度、あのデートの続きをしませんか?』
美春 (ドキドキする気持ち……)
―――― ((悲しいって、辛いって、苦しいって……そう、思ってしまう))
美春 (胸が張り裂けそうな気持ち)
美春 (その全部……全部全部、スケートのために使うだけです!)
398:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:10:26 :ho235Jjg
………………アイスショー当日
成幸 「うわぁ、すごい人だなぁ……」
ザワザワザワザワ……
「桐須美春、初演劇アイスショーで初主役だって! すごいよね!」
「まだエリジブルなのに普通のショーにもたくさん出てるよな」
「スケートめっちゃうまいのにめっちゃ美人で、憧れるよね~!」
成幸 (それにしても、すごい人気だな、美春さん)
成幸 (改めて、今さらながら本当にすごい人なんだな、あの人……)
成幸 (ん、もらったチケットの席はあそこか。混んでるし、座って待ってよう)
成幸 (……目が合ったりしたら手でも振ろうと思ってたけど、こりゃ気づいてもらえないな)
成幸 (これだけ回りにたくさん人がいたら分かるはずないよな)
成幸 「………………」 ドキドキドキドキ…… (……三十分後くらいに開演か。はぁ、なんか緊張するな)
ハッ
成幸 「……ん?」 (……何で俺が緊張してるんだ?)
………………アイスショー当日
成幸 「うわぁ、すごい人だなぁ……」
ザワザワザワザワ……
「桐須美春、初演劇アイスショーで初主役だって! すごいよね!」
「まだエリジブルなのに普通のショーにもたくさん出てるよな」
「スケートめっちゃうまいのにめっちゃ美人で、憧れるよね~!」
成幸 (それにしても、すごい人気だな、美春さん)
成幸 (改めて、今さらながら本当にすごい人なんだな、あの人……)
成幸 (ん、もらったチケットの席はあそこか。混んでるし、座って待ってよう)
成幸 (……目が合ったりしたら手でも振ろうと思ってたけど、こりゃ気づいてもらえないな)
成幸 (これだけ回りにたくさん人がいたら分かるはずないよな)
成幸 「………………」 ドキドキドキドキ…… (……三十分後くらいに開演か。はぁ、なんか緊張するな)
ハッ
成幸 「……ん?」 (……何で俺が緊張してるんだ?)
399:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:11:09 :ho235Jjg
………………開演
~~~♪
成幸 (……演目は “白鳥の湖”)
成幸 (正直、台詞も何もない、スケートリンク上で演技をするだけのショーで何が分かるんだって思っていたけど、)
ゴクッ
成幸 (すごい……!)
成幸 (遠目でしか見えないから、細かい表情もよく分からない。でも……)
成幸 (美春さんの動きすべてから、まるで感情が流れ込んでくるみたいだ……)
成幸 (それに……) カァアアアア……
成幸 (すごく、きれいだ。デートしていたときと違うきれいさで……) ドキドキドキドキ……
成幸 (あの人が、本当に……)
―――― 『かわいいモフモフがたくさんいますよ、唯我成幸さん!!!』
―――― 『ぎゃんカワです!! これがぎゃんカワというものなのですね唯我成幸さん!!』
成幸 (あの桐須美春さんと同一人物なんだなぁ……) ドキドキドキドキ……
………………開演
~~~♪
成幸 (……演目は “白鳥の湖”)
成幸 (正直、台詞も何もない、スケートリンク上で演技をするだけのショーで何が分かるんだって思っていたけど、)
ゴクッ
成幸 (すごい……!)
成幸 (遠目でしか見えないから、細かい表情もよく分からない。でも……)
成幸 (美春さんの動きすべてから、まるで感情が流れ込んでくるみたいだ……)
成幸 (それに……) カァアアアア……
成幸 (すごく、きれいだ。デートしていたときと違うきれいさで……) ドキドキドキドキ……
成幸 (あの人が、本当に……)
―――― 『かわいいモフモフがたくさんいますよ、唯我成幸さん!!!』
―――― 『ぎゃんカワです!! これがぎゃんカワというものなのですね唯我成幸さん!!』
成幸 (あの桐須美春さんと同一人物なんだなぁ……) ドキドキドキドキ……
400:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:13:43 :ho235Jjg
………………
美春 (好き……好き……)
美春 (だから、悲しい。好きだからこそ、裏切りが、つらい)
美春 (いまは少しだけ、気持ちが分かる……)
美春 (気持ちを重ねて、姫の心をなぞって……)
美春 (わたしは……)
―――― 『美春』
―――― 『美春さん』
美春 (……姉さまのことが好き。唯我成幸さんのことも、きっと……)
美春 (でも、だからこそこれはきっと、本物じゃない)
美春 (恋に恋しているだけ。そうでなければ、私はこんな風に、この気持ちを利用したりはできない)
………………
美春 (好き……好き……)
美春 (だから、悲しい。好きだからこそ、裏切りが、つらい)
美春 (いまは少しだけ、気持ちが分かる……)
美春 (気持ちを重ねて、姫の心をなぞって……)
美春 (わたしは……)
―――― 『美春』
―――― 『美春さん』
美春 (……姉さまのことが好き。唯我成幸さんのことも、きっと……)
美春 (でも、だからこそこれはきっと、本物じゃない)
美春 (恋に恋しているだけ。そうでなければ、私はこんな風に、この気持ちを利用したりはできない)
401:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:14:16 :ho235Jjg
美春 (だから……)
―――― 『……美春さんに、あんな顔、してほしくなかったので』
―――― 『……また今度、あのデートの続きをしませんか?』
美春 (嬉しかった言葉も、戸惑う気持ちも、悲しい想いも、すべて……)
美春 「………………」
美春 (もう演目の終わりも近い。姉さまも見てくれている。この気持ちを、そのまま曲に乗せて)
美春 (きっと唯我成幸さんも見てくれている)
美春 (どうですか、唯我成幸さん。私の演技、見てくれていますか?)
美春 (しっかりと舞えていますか? 滑れていますか? 私は、魅力的ですか?)
美春 (……なんて、一般席のどこにいるかも分からないあなたに問いかけても、どうしようも……――)
パッ……パァッ……!!!
美春 (へ……?)
美春 (ど、どうして……?)
美春 (どうして、あなたを見つけてしまえるのでしょう……唯我成幸さん……!)
美春 (だから……)
―――― 『……美春さんに、あんな顔、してほしくなかったので』
―――― 『……また今度、あのデートの続きをしませんか?』
美春 (嬉しかった言葉も、戸惑う気持ちも、悲しい想いも、すべて……)
美春 「………………」
美春 (もう演目の終わりも近い。姉さまも見てくれている。この気持ちを、そのまま曲に乗せて)
美春 (きっと唯我成幸さんも見てくれている)
美春 (どうですか、唯我成幸さん。私の演技、見てくれていますか?)
美春 (しっかりと舞えていますか? 滑れていますか? 私は、魅力的ですか?)
美春 (……なんて、一般席のどこにいるかも分からないあなたに問いかけても、どうしようも……――)
パッ……パァッ……!!!
美春 (へ……?)
美春 (ど、どうして……?)
美春 (どうして、あなたを見つけてしまえるのでしょう……唯我成幸さん……!)
402:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:15:01 :ho235Jjg
………………リンク脇
プロデューサー 「………………」
ブルブルブルブル!!!!
プロデューサー (素晴らしいわぁ! 素晴らしい演技よ美春ちゃん!!!!)
プロデューサー (つい先日まで、恋のこの字も表現できていなかったあの子が……!)
プロデューサー (今は本物の悲劇のお姫様のように、優雅に、可憐に舞っている……)
プロデューサー (ああ、次回公演の発想がどんどん湧いてくるわぁ!!)
プロデューサー (予定さえ合えば、また美春ちゃんを主役に……)
プロデューサー 「……ノン! 美春ちゃんの予定に合わせて次回公演を組むわぁ!!」
………………リンク脇
プロデューサー 「………………」
ブルブルブルブル!!!!
プロデューサー (素晴らしいわぁ! 素晴らしい演技よ美春ちゃん!!!!)
プロデューサー (つい先日まで、恋のこの字も表現できていなかったあの子が……!)
プロデューサー (今は本物の悲劇のお姫様のように、優雅に、可憐に舞っている……)
プロデューサー (ああ、次回公演の発想がどんどん湧いてくるわぁ!!)
プロデューサー (予定さえ合えば、また美春ちゃんを主役に……)
プロデューサー 「……ノン! 美春ちゃんの予定に合わせて次回公演を組むわぁ!!」
403:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:15:52 :ho235Jjg
………………
美春 (こんなに多くの観客がいる中で、どうして……)
美春 (唯我成幸さん、どうしてあなたはそんなにも光り輝いて見えるのでしょう)
―――― 『恋をすると、回りが見えなくなるの。相手しか見えなくなるの』
―――― 『それなのに、周囲すべてが輝いて見えるわ。もちろん、恋する相手もね』
美春 (ああ、もうこんなの、自分を誤魔化すことすらできないではないですか……)
美春 (私は……ええ、そうです。私は……!!)
美春 (私はあなたのことが好きです。唯我成幸さん)
美春 (……届いてほしい)
美春 (この気持ちを、唯我成幸さんに届けたい……!)
美春 (好き! 好き……!! あなたのことを……)
美春 (お慕い申し上げております、唯我成幸さん!!)
………………
美春 (こんなに多くの観客がいる中で、どうして……)
美春 (唯我成幸さん、どうしてあなたはそんなにも光り輝いて見えるのでしょう)
―――― 『恋をすると、回りが見えなくなるの。相手しか見えなくなるの』
―――― 『それなのに、周囲すべてが輝いて見えるわ。もちろん、恋する相手もね』
美春 (ああ、もうこんなの、自分を誤魔化すことすらできないではないですか……)
美春 (私は……ええ、そうです。私は……!!)
美春 (私はあなたのことが好きです。唯我成幸さん)
美春 (……届いてほしい)
美春 (この気持ちを、唯我成幸さんに届けたい……!)
美春 (好き! 好き……!! あなたのことを……)
美春 (お慕い申し上げております、唯我成幸さん!!)
404:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:16:22 :ho235Jjg
パチパチパチ……パチパチパチパチパチパチパチパチ……!!!!!
美春 (へ……?)
美春 (あっ、い、いつの間にか、演目が終わっていました……)
美春 (こんなに演劇に没頭できるなんて思っていませんでした……)
美春 (でも、すごく……)
美春 (満ち足りた、やりきった気持ちです……)
美春 「………………」
美春 (……ねぇ、唯我成幸さん。私の気持ち、届きましたか?)
美春 (私の想い、感じてくれましたか? ドキドキ、してくれましたか?)
―――― 『……また今度、あのデートの続きをしませんか?』
美春 (……そのときに、お返事聞かせてもらいますからね)
ニコッ
美春 (そのときこそ、私の魅力で、あなたをトリコにしてみせますから!)
パチパチパチ……パチパチパチパチパチパチパチパチ……!!!!!
美春 (へ……?)
美春 (あっ、い、いつの間にか、演目が終わっていました……)
美春 (こんなに演劇に没頭できるなんて思っていませんでした……)
美春 (でも、すごく……)
美春 (満ち足りた、やりきった気持ちです……)
美春 「………………」
美春 (……ねぇ、唯我成幸さん。私の気持ち、届きましたか?)
美春 (私の想い、感じてくれましたか? ドキドキ、してくれましたか?)
―――― 『……また今度、あのデートの続きをしませんか?』
美春 (……そのときに、お返事聞かせてもらいますからね)
ニコッ
美春 (そのときこそ、私の魅力で、あなたをトリコにしてみせますから!)
405:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:16:54 :ho235Jjg
………………観客席
成幸 「………………」
ドキドキドキドキ……
成幸 (す、すごかった。後半、ずっとドキドキしっぱなしだった……)
成幸 (最後の最後まで見入ってしまった。すごい……)
美春 「……」 ニコッ
成幸 (へ……?)
成幸 (いま、俺の方を見た……?)
成幸 「………………」
成幸 (い、いやいや、こんなに人がたくさんいて、俺のことを見分けられるわけないよな……)
成幸 「………………」
成幸 (……ない、よな?)
おわり
………………観客席
成幸 「………………」
ドキドキドキドキ……
成幸 (す、すごかった。後半、ずっとドキドキしっぱなしだった……)
成幸 (最後の最後まで見入ってしまった。すごい……)
美春 「……」 ニコッ
成幸 (へ……?)
成幸 (いま、俺の方を見た……?)
成幸 「………………」
成幸 (い、いやいや、こんなに人がたくさんいて、俺のことを見分けられるわけないよな……)
成幸 「………………」
成幸 (……ない、よな?)
おわり
406:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:17:39 :ho235Jjg
………………幕間1 「配置」
美春 (唯我成幸さんから頂いたペロはどこに置きましょうかね)
美春 (んー、配置で考えるなら姉さま人形の隣がベストでしょうか……)
ポン
美春 「………………」
モヤモヤモヤモヤ……
美春 (……姉さまとペロがくっついていると、少しモヤモヤしますね)
ススススッ……
美春 (少し離して……これでよしっ、と)
………………幕間1 「配置」
美春 (唯我成幸さんから頂いたペロはどこに置きましょうかね)
美春 (んー、配置で考えるなら姉さま人形の隣がベストでしょうか……)
ポン
美春 「………………」
モヤモヤモヤモヤ……
美春 (……姉さまとペロがくっついていると、少しモヤモヤしますね)
ススススッ……
美春 (少し離して……これでよしっ、と)
407:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/06(金) 00:18:22 :ho235Jjg
………………幕間2 「ねぞう」
美春 「左に姉さま人形、右に唯我成幸さんからいただいたペロを寝かせて、と」
美春 「ふふ……ふふふふ。まさに両手に花状態ですね」
美春 「これはきっと良い夢が見られるはず! おやすみなさーい!」
………………翌朝
美春 「……むにゃ、もう朝ですか……」 ムクリ
美春 「あれ? ペロと姉さまは……」
ハッ
美春 「ぺ、ペロが姉さまに覆い被さってますー! ハレンチです!」
美春 「私の隣で寝ていたはずなのにー! そんなに姉さまがいいんですかー!」
美春 「唯我成幸さんのばかー! 浮気者ー!」
おわり
………………幕間2 「ねぞう」
美春 「左に姉さま人形、右に唯我成幸さんからいただいたペロを寝かせて、と」
美春 「ふふ……ふふふふ。まさに両手に花状態ですね」
美春 「これはきっと良い夢が見られるはず! おやすみなさーい!」
………………翌朝
美春 「……むにゃ、もう朝ですか……」 ムクリ
美春 「あれ? ペロと姉さまは……」
ハッ
美春 「ぺ、ペロが姉さまに覆い被さってますー! ハレンチです!」
美春 「私の隣で寝ていたはずなのにー! そんなに姉さまがいいんですかー!」
美春 「唯我成幸さんのばかー! 浮気者ー!」
おわり
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