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ミルウーダ「七つの傷……?」
ジャギ「愛にすべてを」 1
ジャギ「愛にすべてを」 2
ミルウーダ「七つの傷……?」 完結
元スレ SS速報VIP
1:おしらせ:2011/06/17(金) 13:31:44.21:E3aOwZ5g0
VIPで書いていたFFTスレです
物語は終盤ですが、dat落ちの為こちらで完結させたいと思います
1 http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1306937451/
2 http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1307885915/
3 http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1308080765/l50
dat落ち閲覧用↓
http://mirrorhenkan.g.ribbon.to/
再開は夜からになるかと
物語は終盤ですが、dat落ちの為こちらで完結させたいと思います
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再開は夜からになるかと
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【日向坂46】ひなあい、大事件が勃発!?
韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/19(日) 00:39:23.73:MoOxGVSAO
=ゼルテニア 酒場=
カランカラン
マスター「いらっしゃい、ゆっくりしてってくれ」
コツコツコツ…
ギ…
ガフガリオン「……お前さンから呼び出されるとは、思っても見なかったぞ」
「……」
ガフガリオン「どうせ仕事の話だろ? 忙しいンだ、手短に頼む」
「……」
「……ガフガリオン、もう一度、共に戦ってくれ」
ガフガリオン「……どのツラ下げて言ってンだ? オルランドゥ」
オルランドゥ「……」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/19(日) 00:51:45.51:MoOxGVSAO
ガフガリオン「お前らが俺にした事、忘れたとは言わせンぞ……!」
ガフガリオン「お前らから除隊処分を受けて以来、俺はイヴァリース中の騎士団に見放され、傭兵として生きる事を強いられた……!」ギリッ
ガフガリオン「それを今になって手を貸せだ? 虫が好すぎるだろがッ!」パリンッ
『ああ!? お客さん困るよ!』
カチャカチャ…
ガフガリオン「……次はどンな死地に送り込むつもりだ? ベスラ要塞か? それともラーグ公暗殺か?」
オルランドゥ「ガフガリオン、私は確かにお前に死地に赴く事を頼もうとしている……」
オルランドゥ「だが、お前一人を死地に送り込む真似だけは決してしない。必ず私が先陣を切ろう」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/19(日) 00:57:03.05:MoOxGVSAO
ガフガリオン「だからお前は俺の背中を守れってか? その手は食わねえよ」
オルランドゥ「私の背中は守らなくていい」
ガフガリオン「……ン?」
オルランドゥ「私が道を開く、お前はオヴェリア様の盾となれ」
ガフガリオン「オヴェリア王女だ……モガッ」
オルランドゥ「……」
ガフガリオン「……どういう事だ」
オルランドゥ「場所を変えよう……」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/19(日) 01:35:21.43:MoOxGVSAO
バルバネス・ベオルブ
シドルファス・オルランドゥ
五十年戦争時、戦力で優るオルダリーア軍を幾度となく退け、
戦況を覆し続けたイヴァリースの英雄である。
これは、私達が知っている歴史。
では、私達の知らない歴史……史実はどうだろう。
英雄は、本当に二人だったのだろうか……?
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/19(日) 01:44:42.78:MoOxGVSAO
=オルランドゥ家=
オルランドゥ「あちらに居られる方が正真正銘、オヴェリア・アトカーシャ王女その方だ」
オヴェリア「ガフ・ガフガリオン殿ですね、お初にお目にかかります」
ガフガリオン「……」
アグリアス「ガフガリオン殿、王女の御前であるぞ」
オヴェリア「良いのです」スッ
ガフガリオン「オルランドゥ、お前正気か?」
オルランドゥ「……何がだ」
ガフガリオン「俺は傭兵、どこぞの間者とも限らンだろう。それを王女の前にほいほい通すとは……」
チャキッ
ガフガリオン「つくづく甘チャンだぜ!」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/19(日) 01:49:22.30:MoOxGVSAO
オルランドゥ「……」
アグリアス「……」
ガフガリオン「…………脅しは通用しない、か」
ガフガリオン「……いいだろう、要件を聞こう」
オヴェリア「ありがとうございます」ペコッ
ガフガリオン「と、その前に質問に答えてくれンか」
オヴェリア「何でしょうか?」
ガフガリオン「……何故、俺がアンタを斬らないと分かったんだ?」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/19(日) 02:34:40.61:MoOxGVSAO
オヴェリア「それは単純な話です」
オヴェリア「これから、私は貴方の命を預かります。だから、私の命も貴方に預ける事にしたのです」
ガフガリオン「!」
オヴェリア「私達は、これよりイヴァリースを建て直す為に立ち上がります」
オヴェリア「……ガフガリオン殿、共に戦って下さい」
ガフガリオン「……」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/19(日) 03:06:04.27:MoOxGVSAO
オヴェリア王女の話は『絵空事』だった。
ラーグ公の力を借りず、ゴルターナ公にもつかず、
教会の後ろ盾も無しに、イヴァリースの政治を変えると言う絵空事。
夢は美しい程叶わず、現実は憎たらしい程残酷である。
俺は知っている、『世の中の望まない英雄は生まれない』と。
ガフガリオン「アンタ、本当にその絵空事が実現できると思ってンのか……?」
世間知らずのお姫様は微笑んだ。
「貴方が共に戦って下さるなら、必ずイヴァリースは生まれ変わります」
……まったく
ガフガリオン「ガフガリオンだ、呼び捨てでいい」
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/19(日) 22:59:54.36:MoOxGVSAO
=リオファネス城=
バリンテン「……つまり、異端者共の反撃を食らい、逃げ帰ってきたんだな?」
マラーク「……はい」
バリンテン「おまけに兵を一人捕らえられるとは……」
『この大馬鹿者がッ!!』
バチンッ
マラーク「……くッ」
ラファ「兄さん! この……!」キッ
バリンテン「なんだ? その反抗的な目は!」
バリンテン「わしに逆らうというのか!? ええ!?」
ラファ「……ッ」ギリッ
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/20(月) 22:13:58.58:UkiM3gvAO
バリンテン「傭兵は忠誠心など持っておらん! 今頃、命惜しさに洗いざらい吐いておるわ!」
バリンテン「奴らはドラクロワを殺した根っからのテロリスト! 大公であるわしであろうと構う事なく襲いかかってくる!」
マラーク「殿下、私に今一度チャンスを……!」
バリンテン「寝ぼけた事をぬかすな愚か者! 敵前逃亡する者にチャンスなど……」
バリンテン「……」
マラーク「……殿下?」
バリンテン「よかろう、お前達にチャンスをやる」
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/20(月) 22:48:35.74:UkiM3gvAO
マラーク「! 本当ですか!?」
バリンテン「ああ本当だ。奴らを仕留めさえすれば、今回の失敗も全て不問とする」
マラーク「ありがとうございます!」バッ
ラファ「……」
バリンテン「ラファよ、不服か?」
ラファ「……この戦い、必ずや死闘となります。もし生き延びたところで、ただお咎め無しだけでは割に合いません」
マラーク「こら、ラファ!」
バリンテン「……よい」
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/21(火) 20:07:40.28:onAXj+aAO
ツカ…ツカ…
バリンテン「お前は口癖のように言っていたな……私達を解放しろと」
バリンテン「育てた恩も忘れたかと、再教育を試みたりもしたが……」
ラファ「……」ブルッ
『まぁ……よいだろう』
ラファ「……え」
バリンテン「異端者共の撃退に成功した暁には、お前達兄妹がリオファネスを出る事を許そう」
マラーク「殿下!?」
ラファ「それは本当ね!?」
バリンテン「ああ、どこへなり行くがよい」
バリンテン(……ククク)
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/21(火) 20:38:20.69:onAXj+aAO
……
ラファ「……」
『ラファ』
ラファ「……兄さん」
マラーク「隣、座るぞ」
ラファ「うん」
ザッ
マラーク「……」
ラファ「……」
37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/21(火) 20:47:58.83:onAXj+aAO
マラーク「……らしくないな」
ラファ「え……」
マラーク「俺の知ってるラファは、自分可愛さに誰かを殺したりしない」
ラファ「……」
ラファ「もう……限界なの」
ラファ「バリンテンに焼かれた痕が疼く度、私の中のを真っ黒なモノが駆け巡るの」
ラファ「このままじゃ、私……みんなを殺しちゃう」
マラーク「……ラファ」
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/21(火) 21:03:24.24:onAXj+aAO
ラファ「……でも、ミルウーダ達を倒せば私達は自由になれる」
マラーク「殿下は約束を守ってくれるかな……」
ラファ「……」
ラファ「ミルウーダとジャギは、世界中を敵に回す一級テロリスト。狙われて生き延びるのは難しい」
ラファ「多分、バリンテンは私達をぶつけて、その隙に行方を眩ますつもりなのよ」
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/21(火) 21:16:34.15:onAXj+aAO
マラーク「あの殿下が逃げると言うのか?」
ラファ「バリンテンは勝てない戦はしない。必ずリオファネス城を放棄するわ」
ラファ「その隙を突いて私達は自由になるッ! 異端者の首を取って、大公の手のとどかない処へ羽ばたくの!」グッ
ラファ「……くぅ」ズキッ
マラーク「ラファ、火傷が痛むのか?」
ラファ「少し……体を冷やしすぎたみたい」
ギュ…
ラファ「兄さん……」
マラーク「昔……孤児だった頃は、二人こうやって身を寄せ合ったっけな」
ラファ「……うん」
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/21(火) 21:19:54.82:onAXj+aAO
マラーク「あの頃の俺達と、今の俺達……どっちが幸せだっただろう」
ラファ「……」
ラファ「きっと、これからの私達よ」
マラーク「……そうだな」
ギュッ
ラファ「兄さん、暖かい……」
マラーク「……」
ギュ…
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/21(火) 21:28:29.42:onAXj+aAO
ラファ「……」
マラーク「……」
ラファ「今夜は星が綺麗ね」
マラーク「そうだな、本当に綺麗だ」
ラファ「あの星なんか、特に……」
マラーク「北斗七星の傍らの星か?」
ラファ「そう、蒼く強く輝いて……」
マラーク「蒼星よ、我ら兄妹を導きたまえ……」
ラファ「進むべき道を照らしたまえ……」
42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/21(火) 21:31:22.34:5tIzQ0Wio
ガガガガガガガガッッ
ティータ「きゃっ!? なんなんです!? あの銃は!?」
ミルウーダ「弾倉を回転させる事で装填、発射、排莢を連続化させる……考えたわね」
リオファネス機工士「どうだ!! イヴァリースの勢力図さえ変える機関砲の威力はッ!!」
リオファネス砲術士「機関砲が量産されれば、魔術も剣術も無用になる! 兵器と数が戦局を支配する時代が来るのだ!!」
ガガガガガガガガガッッ
ティータ「きゃあ!?」
リオファネス砲術士「ウハハハハ!! バリンテン大公殿下万歳ー!!」グルグル
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/24(金) 00:17:19.04:rF9QJmQAO
『確かにソイツが沢山ありゃあ戦局は傾くかもな』
リオファネス砲術士「あァ?」
ジャギ「だが、ソイツじゃ戦争は終わらない。何故か分かるか?」
リオファネス砲術士「なんだテメェ!」
リオファネス機工士「時代遅れのモンク風情が……死ねぇ!!」グッ
ガガガガガガガガガガガッ
ジャギ「ォォオオ……ッ!!」ゴウッ
アァ タタタタタ
タタタタタ タタタタタタタッッ
タタタタタタタ
49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/24(金) 00:29:35.15:rF9QJmQAO
ジャギ「アタァァッ!!」コツッ
――ィンッ
リオファネス機工士「はぐッ」ビズッ
ジャギ「北斗百裂拳……」
リオファネス砲術士「ぶぺ……」カラカラ…
ドチャッ
ミルウーダ「拳で弾丸を打ち返した……!」
ジャギ「その玩具には魂が無い。魂無き攻撃では人の心を砕く事はできん」
50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/24(金) 00:48:15.74:rF9QJmQAO
……
ジャギ「流石は『武器王』の居城、兵器や罠がわんさか有りやがる」
ティータ「侵入者を惑わす為でしょうか、似たような景色が続きますね……」
ミルウーダ「傭兵を雇ってるだけあって、異大陸の戦士も多いわ。長期戦は危険ね」
『いたぞ! こっちだーッ!!』
ジャギ「ちッ、少しは休ませてくれよ」
ミルウーダ「警備が厳重になってきたわ、バリンテンは近いわよ!」
57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 18:36:08.82:nHZkMMEAO
=イグーロス ベオルブ家=
ザルバッグ「ラーグ公を!?」
ダイスダーグ「静かに、声が大きい」
ザルバッグ「……」
ザルバッグ「何故、閣下を暗殺するなどと言うのです?」
ダイスダーグ「閣下がオリナス王子の即位を急いでいるのは知っているな?」
ザルバッグ「はい。それが何か……」
ダイスダーグ「閣下には摂政という権威しか見えていない。今、王子を即位させれば、ゴルターナ公は必ず宣戦布告してくる」
ザルバッグ「馬鹿な!? 王家を敵に回すというのですか!?」
ダイスダーグ「王家にどれほどの権威が残っている? 摂政を立てる時点で、アトカーシャ家は名ばかりの王家だ」
58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 18:45:41.14:nHZkMMEAO
ダイスダーグ「世は力ある者が支配する時代となったのだ。それは五十年戦争が終わった時から、皆が認めている事実だ」
ザルバッグ「しかし……それでは、ベオルブの正義はどこに……」
ツカ…ツカ…
ダイスダーグ「だからこそ、私達ベオルブが正義を示さねばならん」
ザルバッグ「ですが、兄上」
ダイスダーグ「聴け、ザルバッグッ!」
ザルバッグ「!」ビクッ
59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 18:58:04.47:nHZkMMEAO
ダイスダーグ「摂政の座に就こうとするラーグ公と、それを止めようとするゴルターナ公、両者のどこに正義がある」
ダイスダーグ「戦場で傷付くのは戦士達で、戦争のしわ寄せを食らうのは民百姓だ」
ダイスダーグ「子供の喧嘩とは訳が違う。獅子が争えば、イヴァリース中の民が巻き込まれるのだ」
ザルバッグ「……」
ダイスダーグ「今こそ不正義を正す為、ベオルブが先頭に立つべきではないか……?」
ザルバッグ「……はい!」
60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 19:12:07.25:nHZkMMEAO
……
『実の弟すら謀る……か。恐ろしい男よ』
ダイスダーグ「私を侮辱しに来たのか? ローファル」
スッ
ローファル「褒めたつもりだったのだがな、切れ者の考える事はわからんな」
ダイスダーグ「何用だ、私は忙しい」
ローファル「なに、一つ朗報をな」
ダイスダーグ「朗報だと……?」
ローファル「オルランドゥが謀反を企てているらしい」
ダイスダーグ「何!?」
61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 19:21:17.05:nHZkMMEAO
ダイスダーグ「それは本当なのか!?」
ローファル「動機まではわからないが、ゴルターナに話を通さず兵を集めているようだ」
ダイスダーグ「まさか忠犬から動いてくれるとは……嬉しい誤算だ」
ダイスダーグ「これで王家の政治は終わる……! ベオルブの時代が幕を開けるのだッ!!」
ゴウ…ゴォォ…
ローファル(ククク……流石は稀代の奸臣、凄まじい魔闘気よ……)
62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 19:58:38.27:nHZkMMEAO
=リオファネス城 中層階=
ジャギ「北斗飛衛拳!!」バッ
ガキィンッ
リオファネス竜騎士「たわばっ!?」ゴシャッ
ジャギ「ピョンピョン跳ね回りやがって……」スタッ
――カルラの猛炎、雲壌を埋め尽くす
怨敵調伏、金剛炎を出現させ――
ジャギ「!?」
邪
を
炎の滝となり地を焼かん
き
尽
く
さ
ん
ミルウーダ「詠唱!? 退避ーッ!!」
阿 修 羅
裏 阿 修 羅
63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 20:02:11.22:nHZkMMEAO
グワァァアアンッッ
ミルウーダ「……っく」パラッ
ティータ「うぅ……」
ジャギ「城ごと吹っ飛ばすつもりかよ!?」ガランッ
『黒竜王その哮りを嵐となせ……』
ミルウーダ「連続詠唱!?」
ジャギ「クソがッ!!」ボゴォッ
マラーク「破邪の印! 裏天鼓雷音!!」
カッ――ドォォオンッ
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 22:26:07.00:nHZkMMEAO
パラ…
ジャギ「グ……なんて威力だ……」バラッ
ラファ「異端者ジャギ、ミルウーダ」
マラーク「我ら兄妹の自由の為に……死んでもらうぞ!」
ザッ
ミルウーダ「自由? 私達の首と自由に何の関係があるの?」
マラーク「異端者の首と言えば、将軍の首と同等!」
ラファ「その手柄を持ってルザリアへいけば、バリンテンでも私達を虐げられなくなる!」
マラーク「俺達はお前達を倒して……人間らしく生きるんだッ!!」
『私達を倒して人間らしく……?』
ミルウーダ「その程度の覚悟で私達を倒すなんて、到底無理ね」
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 22:31:30.89:nHZkMMEAO
ラファ「あ、貴方たちに何が分かるの!?」
マラーク「俺達はバリンテン大公に……」
『言い訳なんて聞きたくないわ』
マラーク「!」
チャキッ
ミルウーダ「例えバリンテンから逃れても、貴方たちは一生飼い犬よ」
ラファ「ッッあああああああああ!!」
69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 22:43:52.77:nHZkMMEAO
ティータ「ミルウーダさん!」
スッ
ティータ「……ジャギさん?」
ジャギ「よく見ておけ、あれが哀しみを知る戦士の背中だ」
『悪鬼羅刹、天水をゆるがし』
『天水の龍爪となりて引き裂かん』
ミルウーダ「……」
ティータ「! ミルウーダさんの背中に……」
71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 23:03:53.42:nHZkMMEAO
ラファ「その爪で引き裂かんッ!!」
マラーク「塵なる身を知れッ!!」
水 磨 龍 穴
裏水磨龍穴
―――ッ パァンッッ
ティータ「ミルウーダ……さん?」
ラファ「死んだわね」
マラーク「首どころか跡形もなくなっちまったがな」
ティータ「そんな……ミルウーダさーんッ!!」
72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 23:22:10.78:nHZkMMEAO
ラファ「次は貴方の番よ、ジャギ!」
マラーク「我が一族の秘術、受けるがいい!」
ジャギ「……やはりお前達では俺達に勝てん」
マラーク「何ッ」
『貴方たち兄妹の心は二人でありながら孤独……』
ミルウーダ「でも私には兄さんや骸旅団……皆への想いがある」スウッ
ラファ「!? 虚空から姿が」
夢 想 稲 妻 突 き
ブシャァ――
73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 23:41:13.27:nHZkMMEAO
ラファ「かはぁッ」ガクッ
マラーク「ラファ……ゴフッ!」ベチャッ
ザッ
ミルウーダ「……」
マラーク「ここまで……か」
ギュゥッ
マラーク「無念だ……ッ! こんな……こんなところで死ぬなんて……!」
ラファ「兄さん……」グスッ
ペシッ
マラーク「っつう!?」ビクッ
ミルウーダ「何諦めムードになってんのよ」
74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/27(月) 00:01:52.98:ILqHcWcAO
ラファ「でも、私達は貴方を殺す気で……」
ミルウーダ「そうだったかしら?」
ラファ「……は」
ミルウーダ「もしそうだったとしても、今はどう? 私を殺したい?」
マラーク「それは……」
ミルウーダ「……なら、いいじゃない。人は生きている限り、何度でもやり直せるのよ」
マラーク「……」
ラファ「……」
ジャギ「勝負あったな」
75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/27(月) 00:23:20.32:ILqHcWcAO
……
ラファ「恐らく、バリンテンはこの城を既に脱出しているわ」
ジャギ「何ィ?」
マラーク「バリンテンは大公でありながら、ラーグ・ゴルターナ両公との権力争いを避ける程の慎重な男」
ラファ「エルムドア殺しの貴方たちに狙われるとなれば、居城を捨て行方を眩ますに決まってるわ」
ジャギ「じゃあ今頃は、王都にでも転がり込んでるって寸法か」
ミルウーダ「やられたわね……」
78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/27(月) 21:42:21.22:ILqHcWcAO
ジャギ「バリンテンが居ないなら、こんな所に用はねぇな」
ミルウーダ「そうね、援軍が来る前に退散しましょう」
ティータ「……」
ミルウーダ「……ティータ?」
ティータ「ちょっと引っかかるんです……」
ジャギ「何がだ」
ティータ「そんなに慎重な人が、逃げ隠れするだけなんて、不安要素を残す真似をするでしょうか……?」
ミルウーダ「……とはいえ、バリンテンの傭兵軍団も私達が」
――――ドォンッッ
ティータ「きゃあ!?」ドテッ
ジャギ「爆発音!?」グラッ
79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/27(月) 21:50:11.59:ILqHcWcAO
ドォンッ
グワァァンッッ
ラファ「バリンテンの奴、この城諸共私達を爆破する気だったのね……!」グラグラッ
ミルウーダ「急いで脱出を」
――ドゴォンッッ
ミルウーダ「……!?」
ジャギ「ッ……大丈夫か?」ダラッ
ミルウーダ「ええ……」
グラァ…
マラーク「城が……傾いて!?」
ジャギ「下から爆破するとは、つくづく嫌な奴だぜ……!」
80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/27(月) 22:09:04.32:ILqHcWcAO
ラファ「く……崩れるッ!?」
マラーク「とにかく上だ! 上に逃げるんだッ!!」ダッ
ミルウーダ「ティータ、さあ早く!」ギュ
ティータ「は、はい」タタ
ジャギ「……」
ミルウーダ「ジャギ!! 何してるの!?」
『ミルウーダ……俺はどうやらここまでみてぇだ』
ミルウーダ「……え」
81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/27(月) 22:27:32.45:ILqHcWcAO
ティータ「ジャギさん……何言って」
ジャギ「ティータ、ごめんな。俺……もう」
ティータ「止めて下さいッ!!」
ティータ「私の知ってるジャギさんは、どんな結果になっても最後まで戦う格好いい人です!」
ティータ「私の前では……ヒーローでいて下さい……!」
ジャギ「ティータ……」
『ありがとう…………そして……ごめんな』
82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/27(月) 22:39:23.17:ILqHcWcAO
ジャギ「北斗八悶九断……!」ガパッ
ジャギ「かつて弟に突かれた秘孔により、俺の体は徐々に蝕まれてきた」
ジャギ「そして……今まさに俺の頭上の死兆星が落ちようとしている!!」
ミルウーダ「死兆星……!?」
ジャギ「北斗七星の傍らの蒼星、死兆星。死期が近くなると見える星だ」
――北斗七星の傍らで輝く、一際明るいあの星だ――
ミルウーダ「じゃあジャギは、あの夜から……」
83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/27(月) 22:55:41.30:ILqHcWcAO
ジャギ「俺はバリンテンの仕掛けた火薬を取り除きに行く。お前らは最上階まで駆け上がれ」
ミルウーダ「い、嫌よッ!!」
ティータ「ずっと一緒だったのに、こんな所で別れるなんて……」
ジャギ「ッラぁ!!」バゴォッ
ジャギ「お前らと過ごした一年半、まんざらでもなかったぜ」
ミルウーダ「ジャギッ!! 私を守ってくれるんじゃないのッ!?」
『……生きろよ』
バッ
ミルウーダ「ジャギ――――ッ!!」
84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/27(月) 23:30:02.94:ILqHcWcAO
あァ……
痛てぇ……
左眼の涙腺は決壊しちまったし
アタマが弾けちまいそうだ……
『ジャギ……』
幻聴か……声が聞こえてくる……
『ジャギ、天に帰る時だ』
『愚弟が……死して何を成さんとする』
あれは……兄者達……
ジャギ「……まだ、まだ死ねねぇッ! もう少しだけ時間を……!」
86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/27(月) 23:58:10.69:ILqHcWcAO
ズキ…ズキ…
ジャギ「どこだ……どこに隠しやがったァー!!」
ジャギ(あれだけ爆発したにも関わらず、城が倒壊に至っていない……)
ズキッ ズキッ
ジャギ「痛ぇ……痛えッ!!」
ジャギ(城塞と化したリオファネス城が、バリンテンの想像を超えた強度だったのか……?)
ジャギ「! これは!?」
87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 00:15:25.22:UpqXrE7AO
ボム「グァァ……!」
ボム「ググゥ……!」
ジャギ「そういう事か……バリンテンッ!!」
ボム「グガァッ!!」
ザシュッ
バシュッ
ブチャッ
『ぐぁぁああああッッ!?』
95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 21:49:24.22:UpqXrE7AO
=リオファネス城 最上階=
ラファ「爆発が止んだ……?」
ティータ「ジャギさんが……止めてくれたのでしょうか」
――ゴゥ……ッ
ミルウーダ「!!」
マラーク「……大きな流れ星だったな」
ミルウーダ「……ジャギに死兆星が落ちた」
ラファ「え……」
ティータ「……ッくぅ」グシッ
96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 22:00:22.03:UpqXrE7AO
…………
バリンテン「おかしい……爆発が止まりおった」
リオファネス兵「残党がボムにやられたのでしょうか?」
バリンテン「何の為にボムを投入したと思っている。奴らの事だ、ストップでも掛けたのだろう」
リオファネス砲撃士「閣下、準備が整いました」
バリンテン「うむ」
リオファネス兵「! まさか、城内にボムを放ったのは……」
バリンテン「フフ……これなら確実に木っ端微塵よ」
97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 22:06:10.43:UpqXrE7AO
リオファネス砲撃士「大砲用意!」
バリンテン「よく狙えよ、着弾と同時に爆発させた者には褒美を遣わす」ニヤリ
リオファネス砲撃士「撃てぇッ!!」
ドンッ ドォンッッ
バゴォッ ドカァッ
ガラガラガラ…
バリンテン「何をしておる! 城に当ててもボム共が爆発せねば意味が無いであろう!」
98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 22:09:33.97:UpqXrE7AO
バリンテン「馬鹿者が……さっさと次を放たんか」
バリンテン「何をモタモタしておる!」
メラメラ…
バリンテン「ん……? 火事か?」
メラメラ…ッ
リオファネス兵「こっちに近づいてきます!」
バリンテン「ボムが逃げ出しおったか!」
リオファネス兵「にしては……炎が大きすぎます!」
99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 22:13:23.45:UpqXrE7AO
ダァーンッ
バリンテン「はぐっ!?」ビズッ
リオファネス兵「閣下!?」
リオファネス砲撃士「敵襲だ! 敵は銃を持っているぞ!」
リオファネス近衛兵「あの炎を狙え!」カチャ
ダーンッ ダーンッ
メラメラ……ッ
リオファネス兵「!? な……なんだあれは!!」
100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 22:21:47.52:UpqXrE7AO
メラメラメラ……
ボム「グギギ……」ガジガジ
ズル…
ズル…
ジャギ「ォ……おれ……の…………名ヲ」ズル…
リオファネス兵「ボ、ボムに纏わりつかれたまま……ここまで来たのか!?」
バリンテン「ひぎっ!? こ、殺せ!!」
リオファネス近衛兵「撃て!! 撃てぇ!!」
ダァーン ダァーン
ジャギ「ッ、ッ」ビズッビズッ
101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 22:38:07.25:UpqXrE7AO
リオファネス近衛兵「ふ、不死身か!?」
ジャギ「……」チャキッ
リオファネス兵「閣下をお守りしろッ」バッ
グワンッ
ジャギ「……」ブシャッ
リオファネス砲撃士「脳漿垂れ流しじゃ飽きたらず、右手までぶっ飛ばすとは……」
リオファネス騎士「その根性は認めるが、今更何もできまい」チャキッ
『……の…………ようニ……』
リオファネス騎士「な、なんだ……」
ジャギ「おれの顔のように醜く焼け爛れろ……!」
ボム「グギャ!?」ベキャッ
リオファネス兵「な!?」
バリンテン「やめ」
ジャギ「さらばだ」
――――ッ グワァァアアアアンッッッ――――
102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 22:51:18.88:UpqXrE7AO
……
マラーク「俺達が願いを掛けた星が、死期を知らせる星だったとは……」
ラファ「……」
マラーク「……ラファ?」
ラファ「……兄さん、バリンテンを倒しましょう」
マラーク「! お前、バリンテンへの恐怖は?」
ラファ「体中に焼き付けられたバリンテンへの恐怖は消えない……」カタカタ
ギュウッ
ラファ「でも、その恐怖に立ち向かわない限り、死兆星は必ず私に落ちる……!」
ラファ「私、もう逃げない。必ず運命を変えてみせるわ!」
103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 23:10:16.89:UpqXrE7AO
ラファ「兄さんは……どうなの?」
マラーク「……」
マラーク「まだ残っているんだ……あの時のぬくもりが」
ラファ「死体の山から救い出された時の?」
マラーク「……ああ」
マラーク「あの時の手は……俺にとって何にも代え難い『親のぬくもり』だった」
マラーク「俺とラファを拾ってくれた事への感謝は、何があっても消えはしないよ……」
ラファ「兄さん……」
ギュウッ
マラーク「だけど、だからこそ、俺は思い出にこの手で別れを告げるッ!」
マラーク「ラファ、遅くなったけど、俺はあの日から前に進むよ」
107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 23:21:22.24:UpqXrE7AO
――ドカァッッ
ティータ「きゃあ!?」
ラファ「爆発!? じゃない!」
ドカァッ
マラーク「ぐうッ! リオファネス城が砲撃を食らっているのか!」
ミルウーダ「バリンテンはルザリアへ逃げたんじゃなく、大砲部隊を率いてどこかに潜んでいたのね……!」
マラーク「くッ」タタタッ
ミルウーダ「マラーク!?」
マラーク「今こそバリンテンを討つまたとないチャンス……! 俺はこの機に賭ける!」
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「私も行くわ。ジャギの分も……私らしく生き抜いてみせる!」
108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 23:33:37.08:UpqXrE7AO
……
タタタタッ
マラーク「はッ! はぁ……ッ」タタタッ
ラファ「砲撃が……ッ」タタッ
ミルウーダ「止んでる……」タタタッ
ミルウーダ「!? この森の中で炎!?」ザッ
マラーク「はぁ、はぁ……新兵器か……?」
グワァァァアアアンッッ
ラファ「きゃッ!?」ビリビリ
ティータ「い、一体何が……」
ミルウーダ「……」
109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 23:47:51.70:UpqXrE7AO
ゴォォ… メラメラ…
ティータ「ケホッ、ケホッ」
マラーク「火薬が手違いで爆発したのか……?」
ミルウーダ「いいえ、さっきの爆発はボムが死に際に見せる爆発よ。そこら中、油に近いボムの体液が飛び散ってるでしょう?」
ラファ「でも、ボムではあれほどの大爆発は……」
ミルウーダ「見た事無いかしら、人の血を啜ったボムが爆発するとどうなるか」
110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 23:53:16.16:UpqXrE7AO
ミルウーダ「血を啜って魔物が力を得るように、ボムの炎もより勢いを増し、より強く炸裂する」
ミルウーダ「それに、さっきの爆発は複数のボムが密集して自爆したせいで、あれほどの大爆発になったみたいね」
マラーク「何故そんな事が分かる?」
ミルウーダ「バリンテンが城の爆破に使ったのが、火薬ではなくボムだからよ」
ミルウーダ「そうでしょ、バリンテン」
バリンテン「ひッ、ひひッ!?」ビクッビクッ
111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/28(火) 23:59:31.51:UpqXrE7AO
マラーク「バリンテン……!?」
バリンテン「ひ……ッ、ひいッ」ガクガク
ミルウーダ「そう、この焼け爛れた死に損ないがバリンテンよ……」
ラファ「ジャギが……」
ラファ「……ジャギがやったのね」
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「う……っ」ザッ
ミルウーダ「うあああああぁぁ……!!」
メラ…メラ…
112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東):2011/06/29(水) 00:01:25.52:MozG7urAO
バリンテンが息絶えると、ラファとマラークの死兆星は、
夜空に消えていったという……
私には、どんなに目を凝らしても、
見る事ができなかった。
貴方が私みたいだと言ってくれた死兆星が、
貴方の北斗七星に寄り添う姿を……
115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/29(水) 00:25:12.96:lwka3z5AO
ドラクロワ枢機卿、エルムドア侯爵、バリンテン大公。
権利者の死が相次ぎ、二頭の獅子の均衡は、
今まさに崩れようとしていた。
だが、猛き獅子達は、己れの身を食い破らんとする
虫の存在に、まだ気付いていなかった……
そして稀代の謀略家ダイスダーグは、『獅子殺し』を実行に移す。
116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/29(水) 00:28:33.76:lwka3z5AO
To be continued
118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/06/29(水) 00:46:24.24:T3y9kpp7o
=ゼルテニア城=
ゴルターナ「何故、兵を出さん!」
オルランドゥ「閣下の為を思えばこそ、兵を動かす事はできませぬ」
ゴルターナ「今動かねば、ラーグの奴が摂政の座に就くのだぞ!? それを黙って見ていろというのか!」
オルランドゥ「お言葉ですが閣下、今挙兵するという事は、北天騎士団だけでなく王家をも敵に回す事になります」
オルランドゥ「そうなれば、ルザリア近衛騎士団はもちろん、神殿騎士団や各地諸侯が王家につく可能性は決して低くありません」
オルランドゥ「最悪の場合、我々の陣営から鞍替えする者も出ましょう」
ゴルターナ「ぐ……」
124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/30(木) 22:38:26.98:u+0uLZUAO
ゴルターナ「雷神の台詞とはとても思えんな……臆したかオルランドゥ」
オルランドゥ「戦は一人ではできませぬ。それに、先の大戦の傷はまだ癒えておりません。民達の為にも、今は力を合わせて」
ゴルターナ「その話は聞き飽きたわ! オルランドゥ、お前には失望した」
ガチャッ
南天騎士団兵「失礼致します」
ゴルターナ「この者を牢に」
南天騎士団兵「ハッ、お断り致します」
ゴルターナ「……なに!?」
125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/30(木) 22:52:41.03:u+0uLZUAO
ゴルターナ「これは命令であるぞ! さっさと連れて行かぬか!」
南天騎士団兵「聞けません。オルランドゥ様を投獄する事は、閣下の命に関わります」
ゴルターナ「なんだと?」
オルランドゥ「お忘れですか? エルムドア候に次いで、バリンテン大公が何者かに殺されたのです」
オルランドゥ「我々の手の者でないのであれば、ラーグ公側の者の可能性は十分にあります」
ゴルターナ「…………次は私、かもしれぬと」
ゴルターナ「……良いだろう、見事護ってみせよ」
オルランドゥ「ハッ!」バッ
ゴルターナ(このままでは終わらぬぞ……)
133:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 00:26:23.51:5Tjv0CtAO
=フォボハム平原=
ミルウーダ「……」
『……生きろよ』
ミルウーダ「……」ギュウッ
ティータ「ミルウーダさん」
ミルウーダ「ティータ……」
ティータ「また……ジャギさんの事を考えてたんですか?」
ミルウーダ「……」
ティータ「私、ジャギさんが死んだなんて、どうしても思えないんです」
ミルウーダ「……ティータ」
134:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 00:40:54.06:5Tjv0CtAO
ティータ「いつも一緒にいるのが当たり前だったからでしょうか、今でも振り返ればジャギさんが居る気がするんです」
ティータ「でも、不思議と振り返ってみようと思わないんです」
ミルウーダ「……」
ティータ「多分、そこには本当にジャギさんが居るんです。私達の傍に……」
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「ティータ、ありがとう。こんな情けない姿、ジャギに見せられないわよねっ」
ティータ「ミルウーダさん……!」
138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 11:19:25.33:5Tjv0CtAO
…
ミルウーダ「ゴルターナはオルランドゥ伯のおかげで、オリナス王子の即位を阻止しに今日まで動いていない。これは分かるわ」
ミルウーダ「でも、ラーグが未だに王子を即位させれていないのは引っかかるわね」
ラファ「ラーグ公も、ゴルターナ公らの攻撃を警戒しているのかしら?」
ミルウーダ「この局面まで来て、それはまず無いわ。一触即発の場面でも、ラーグは王子即位を強行していたもの」
ティータ「ラーグ公側にもオルランドゥ伯のように、戦争を止めようとする人物がいたのでしょうか?」
ミルウーダ「もしくは、ラーグに取って変わろうという獅子身中の虫かもね」
ミルウーダ「急ぎましょう。ティータの友達が危ないわ」
ティータ「アルマ……」
139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 12:23:19.26:5Tjv0CtAO
=イグーロス ベオルブ家=
ラムザ「兄さん達は城にいるんだな?」
使用人「はい」
ディリータ「街の人達の様子を見ると、ラーグ公はまだ無事みたいだ。急ごう」ヒソ
ラムザ「ありがとう、下がってくれ」
使用人「はい、失礼致します」ペコ
ムスタディオ「さ、イグーロス城へ」
『ラムザ兄さーん!』
ラムザ「この声は……」
140:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 12:28:56.32:5Tjv0CtAO
アルマ「ラムザ兄さん!」タタタ
ラムザ「アルマ、久しぶ……おわ!?」
アルマ「突然姿を消して……心配したんだから!」ギュッ
ラムザ「……ごめん」ナデ
アルマ「……」ギュッ
ラムザ「……そろそろ放してくれないか?」
アルマ「……」ギュウッ
ディリータ「いや、お構いなく」
ムスタディオ「なんなら席を外すぜ?」
141:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/07/04(月) 12:40:59.17:S0B3p4PKo
…
アルマ「じゃあ兄さん達は、ダイスダーグ兄さんがラーグ公を……暗殺するかも知れない、と?」
ラムザ「家族として、兄さんを信じたい気持ちは僕にもある。でも、ベオルブの家名を第一に考える兄さんが、この混乱期を見逃すとは思えないんだ」
アルマ「……」
アルマ「ダイスダーグ兄さんは、ラーグ公暗殺をザルバッグ兄さんに命じていたわ」
ラムザ「! ザルバッグ兄さんに!?」
143:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 12:52:54.48:5Tjv0CtAO
ラムザ「それで、ザルバッグ兄さんは何て?」
アルマ「……」
ラムザ「……アルマ」ポン
アルマ「…………暗殺を承諾したわ」
ラムザ「!!」
アルマ「ダイスダーグ兄さんはラーグ公だけでなく、王家すら打倒する野望を持っているわ」
ディリータ「王家を!?」
ムスタディオ「おいおい、そりゃ無茶じゃねぇのか?」
144:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 13:11:28.35:5Tjv0CtAO
ラムザ「……いや、今ならそれも不可能じゃない」
ムスタディオ「おいおい、何言って……」
ディリータ「オルランドゥ伯が、ゴルターナ公の暴走を止めてくれているだろ」
ムスタディオ「王子の即位を妨害する為に、ゴルターナ公が戦争を仕掛けるだろうって話か。それがどうしたんだ?」
ディリータ「ゴルターナ公は動かない。南天騎士団の妨害が無い今、北天騎士団のルザリア攻略を阻む物はなにも無い」
ムスタディオ「待て、いくらなんでも王都の危機となったらゴルターナ公も動くだろ。それに、イグーロスとゼルテニアじゃ距離が…………あ!」
ラムザ「北天騎士団と南天騎士団、どちらがルザリアに早く着くか。答えは北天騎士団の圧勝さ」
145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 13:26:47.91:5Tjv0CtAO
ディリータ「確かに距離だけで言えば、ゼルテニアの方が近い」
ディリータ「だが、その道程は砂漠や山岳地帯ととても険しく、兵の消耗も激しい」
ディリータ「対してイグーロスは多少森があるだけで、ほとんど平野が続く。どちらの進軍が速いかは明白だ」
ラムザ「それに、南天騎士団は北天騎士団出陣の報を受けてから動く。その頃には少なくとも、ユーグォの森を越えている筈だ」
146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 13:56:05.56:5Tjv0CtAO
アルマ「兄さんは、ダイスダーグ兄さん達を止めに行くのね」
ラムザ「ああ、アルマは」
アルマ「私も行く!」
ラムザ「アルマ!?」
ディリータ「駄目に決まってるだろ! 下手すりゃ死ぬんだぞ!」
アルマ「だったらなおのこと引き下がれないわ!」
ラムザ「アルマッ!」
アルマ「!」ビクッ
147:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 14:06:17.94:5Tjv0CtAO
ディリータ「アルマ」
アルマ「ディリータさん……」
ディリータ「お前はティータの事を親友と呼んでくれた。だから、俺はお前を死なせる分けにはいかない」
ディリータ「頼む。俺とティータの為に、ここは退いてくれ」
アルマ「……」
アルマ「……わかりました」
ディリータ「ありがとう、アルマ」
アルマ「そのかわり、三人とも生きて帰ってください」
ラムザ「ああ、約束する」
アルマ「…………」
152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 19:22:55.28:5Tjv0CtAO
――――
……暗い
闇を燃やしたような、光の無い景色
耳に響く魔の者達の慟哭
ここは……どこだ……
ゴウン…ゴウン…
――――
153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 19:41:37.79:5Tjv0CtAO
=イグーロス城=
イグーロス兵士「何故……何故謀反など!」
ザルバッグ「何故? では逆に問うが、己が欲望の為に生まれて間もない王子を即位させようとするラーグ公の、どこに正義があるのだ」
イグーロス兵士「……っ」
ラーグ「ルーヴェリア王妃は政治に私情を持ち込みすぎた! 故に私がイヴァリースの政治を……」
ザルバッグ「ならば、ルーヴェリア王妃や元老院に意見すれば良いだけの事。何故、いち国士として王家を正そうとしないのです」
ラーグ「物事には手順がある! それを踏まなければ、国の秩序が乱れる!」
ラーグ「国を直すには力が必要だ。それも武と政、両方の力が!」
154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 19:54:20.42:5Tjv0CtAO
ザルバッグ「政の力とは何です! 大方、王家に取り入って得た摂政の地位の事でしょう!」
ラーグ「それの何が悪い! 古より政は優秀な王が行ってきた。今、王家に優秀な人間がいないなら、私が代わりに政を取り仕切るまでの事!」
ザルバッグ「それのどこに正義がある! あなたが本気で国を想っているのなら、革命を起こす事だって可能な筈!」
ザルバッグ「そうしないのは現状に甘んじているからだッ!」チャキッ
ラーグ「殺せッ! 国家に対する反逆だ!」
ザルバッグ「ラーグ、覚悟!!」
ザシュッ
『ぐぁぁぁあッ!?』
155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 20:07:19.16:5Tjv0CtAO
……
ディリータ「ちッ、遅かったか!」
ムスタディオ「北天騎士団が寝返ったんだ、衛兵なんかひとたまりもないぜ!」
ラムザ「ラーグ公は! 兄さんより先に見つけないと!」
『誰を探しているって……?』
ラムザ「!? 誰だ!」
ローファル「はじめまして、になるかな? ベオルブの末弟、ラムザよ」
ラムザ「神殿騎士団……! 何故ここに!?」
156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 20:31:56.42:5Tjv0CtAO
ディリータ「これではっきりしたな。オヴェリア王女誘拐の前から、ラーグ公とベオルブ家には教会が関与していたと!」
ローファル「……貴様ら、異端者ミルウーダの仲間か」
ラムザ「敵か味方かなら、味方だ」
ローファル「……フッ」
ローファル「まさか、オヴェリアを匿っていたのが別の人間だったとはな……!」ゴウッ
ムスタディオ「来るぞ!」
157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 20:45:25.98:5Tjv0CtAO
=ベオルブ家=
家政婦「ティータ! 今までどこに行っていたの!」
家政婦「せっかくバルバネス様が、ご好意で貴族学校に入れて下さったのに……」
ティータ「お説教は後でいくらでも聞きます。それより、アルマがどこにいるかしりませんか?」
家政婦「アルマ様? 先程までラムザ様達と話をしてらしたけど……」
ティータ「ラムザさんと?」
使用人「ええ、ディリータと久しぶりに戻ってらして……確かイグーロス城に行くとか」
ティータ(きっとアルマはラムザさん達を追ったんだわ!)
ティータ「ありがとう!」タタタ
家政婦「しばらく見ない間にいい顔になって……」
使用人「きっと、いい巡り合わせがあったんですよ」
162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 22:39:46.14:5Tjv0CtAO
…………
ムスタディオ「くそ……弾切れだッ」
ディリータ「はぁ……はぁ……」ジリッ
ローファル「クク……もう終わりか?」
ラムザ「まだだ! 僕達はダイスダーグ兄さんを止めなきゃならない!」チャキッ
ローファル「ラーグ公なら助からん。貴様らが来る前に、ザルバッグ率いる北天騎士団が、ラーグ公の執務室を包囲していた」
ローファル「それより自分達の心配をしたらどうだ? たった三人で我ら神殿騎士団を突破できるとでも?」
ローファル「命が惜しくば、オヴェリア王女の居場所を教えろ。断れば殺す。聖石を奪うだけでも、我々には十分な成果だからな」
164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 22:48:25.10:5Tjv0CtAO
ディリータ「ラムザ、言うなよ」
ムスタディオ「奴らはどちらにせよ、俺達を殺すつもりだ」
ラムザ「ああ、もちろんだ」
ローファル「……あくまでも逆らうか、いいだろう」
ローファル「望み通り殺してやれッ!」
神殿騎士団剣士「かかれッ!」
『オオオォォー!!』
ラムザ「くッ!?」
165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 23:01:53.77:5Tjv0CtAO
――大気満ち、翻る森羅万象
ムスタディオ「!」
ディリータ「この声は!?」
神殿騎士団兵「ひ、光が!?」
ローファル「聖魔法だと……!」
アルマ「小さき命を守りたまえ! マバリア!」
166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 23:08:19.45:5Tjv0CtAO
神殿騎士団剣士「怯むな! 数は我々が圧倒的」
ラムザ「やぁぁあッ!」
ガキィンッ
神殿騎士団剣士「は、速いッ」ギギッ
ザシュッッ
神殿騎士団剣士「がはっ……!?」ドサッ
ラムザ「ナイスディリータ!」ダッ
ディリータ「突っ込むぞラムザ!」ダッ
167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 23:25:41.33:5Tjv0CtAO
神殿騎士団兵「つ、強い!」
神殿騎士団戦士「魔法一つでここまで強化されるものなのか!?」
ラムザ「アルマ! あれほど待っていろと……」
アルマ「でも、私がいなかったら死んでたわ!」
ディリータ「ラムザ、アルマの言う通りだ。今はアルマの力を借りるほか、俺達に道はない」
ラムザ「…………僕から離れるなよ!」
アルマ「うん!」
168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 23:59:54.41:5Tjv0CtAO
――――
ゴウン…ゴウン…
深淵に響く無機質な音
緩慢に、しかし止まる事なく鳴り続ける
そうか……
あれはきっと回っているんだ……
ゴウン…ゴウン…
――――
169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/05(火) 00:11:34.31:pBZdT7lAO
……
ティータ「アルマー!!」
ラファ「ティータ、あまり大声を出さないの」
ティータ「でも、アルマを探しに来たんですから、何はともあれ見つけないと仕方ないですよ」
ラファ「それはそうだけど……」
マラーク「だが、兵士に見つかって戦闘になると面倒なのも事実だ」
マラーク「もっとも、イグーロス城は今まさに戦闘の真っ最中みたいだからな。兵士に出くわさないってのは無理な話か」
171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/05(火) 00:21:43.14:pBZdT7lAO
ミルウーダ「……」
ラファ「どうかした?」
ミルウーダ「……ちょっと、ライオネル城の事を思い出していたの」
ラファ「ライオネルというと、ドラクロワの居城?」
ミルウーダ「ええ。あの時、私達ははじめてルカヴィに遭遇したの」
マラーク「ルカヴィって、あの伝説の悪魔か?」
ティータ「はい。ドラクロワ枢機卿は聖石の力でルカヴィに転生し、私達に襲いかかってきました」
ラファ「でも、どうして急にそんな話を?」
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「この城に漂う空気がそっくりなの。恐らく、私達の進む先にルカヴィがいる……!」
182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/05(火) 23:41:19.38:pBZdT7lAO
……
アルマ「デスペナ!」パァァ
ディリータ「いいぞアルマ!」
ラムザ「お前の魔法は既に無力だ! 大人しく投降しろ!」
ローファル「……ふむ」
ローファル「やはりあの者が鍵のようです」
ムスタディオ「鍵……?」
『聖天使を倒した一族に転生するとは……見つからぬ訳だ』
ラムザ「誰だ!?」
184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/05(火) 23:55:49.50:pBZdT7lAO
ヌゥ…
ヴォルマルフ「ヴァルゴとの共鳴……間違いないようだな」
ディリータ「暗闇から現れた!?」
ムスタディオ「なんて濁った目をしているんだ……!」
ラムザ(この感覚……ドラクロワの時と同じだ)
ラムザ「気を付けろ! 奴は聖石の力に飲まれている!」
ヴォルマルフ「力に飲まれる? それは違うな」バチッ
ビリビリビリッッ
――――ッドォォォォオンッッ
ハシュマリム「私は聖石の力で蘇ったのさ、ククク!」
ラムザ「これが……ルカヴィ!」
185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/06(水) 00:10:03.60:fS6b+wcAO
ドォォォンッ
ティータ「!」ゾクッ
ラファ「どうしたの?」
ティータ「……きた」
ラファ「え……?」
ミルウーダ「ルカヴィ……!」タタッ
マラーク「お、おい! 一人で動くのは危険だ!」
タタタタタ…ッ
ミルウーダ「ここかッ!!」バンッ
ミルウーダ「……!」
187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/06(水) 00:21:28.75:fS6b+wcAO
『ミルウーダ・フォルズ……』
メリアドール「イズルードの仇……ッ」ギリッ
ミルウーダ「神殿騎士団……!?」チャキッ
マラーク「ミルウーダ!」タタタッ
ラファ「! 神殿騎士団が何故ここに!?」
ミルウーダ「大方、ダイスダーグの謀反がうまく行くよう、暗躍してたんでしょう」
ミルウーダ「今回は何? ラムザ・ベオルブや私達の介入の妨害?」
メリアドール「妨害……それは口実に過ぎない」
メリアドール「ミルウーダ・フォルズ! 貴女に決闘を申し込む!!」ビッ
188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/06(水) 00:23:20.58:tK43B+uTo
マラーク「馬鹿な!? 数の利を捨てて決闘だと!」
メリアドール「私が望むのはただ一つ、弟イズルードの仇討ちのみッ!」
メリアドール「さあ、舞台に上がるがいい! ミルウーダ・フォルズ!」
ミルウーダ「……貴女、それでいいの?」
メリアドール「……何がだ」
ミルウーダ「貴女が死んだら、そっちに控えている兵達も死ぬのよ。貴女の下らないエゴの所為で」
190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/06(水) 00:46:41.11:fS6b+wcAO
メリアドール「下らないだと……!」
メリアドール「肉親の仇を討つのが下らない事だと!? 貴様それでも人間かッ!」
ミルウーダ「仇討ちなんて、遺された人間が感情を整理する為の行為に過ぎないわ! その為に巻き込まれる人達の事も考えなさい!!」
メリアドール「綺麗事を……ッ」
メリアドール「……これを聞いてもまだそんな事が言えるかしら?」
ミルウーダ「……え」
メリアドール「貴女の兄を……ウィーグラフ・フォルズを殺したのは……」
『この私だ……!』
192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/06(水) 01:01:19.02:fS6b+wcAO
ミルウーダ「!!!」
メリアドール「わかったら剣を抜け! ミルウーダ・フォルズ! 兄の仇は目の前にいる!」
ミルウーダ「…………い」スラッ
メリアドール「ようやくその気に……」
チャキッ
ミルウーダ「仇討ちなんて誰も望んでいないッ!!」
北 斗 天 帰 掌
メリアドール「……!」ゾクッ
193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/06(水) 01:12:02.11:fS6b+wcAO
ミルウーダ「我が兄、ウィーグラフはオヴェリア王女と聖石の守護を立派に果たし、天に帰っていった……」
ミルウーダ「貴女に敗れようとも、男として誇り在る死を遂げた!」
ミルウーダ「志を貫いた生涯に、一片でも悔いが残るかッッ!!」
ティータ「……ミルウーダさん」
メリアドール「……では」
メリアドール「何故、貴女は泣いているの……?」
ミルウーダ「……ッ」グシッ
199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 22:00:36.37:iOR/MzbAO
ティータ「ミルウーダさん」
ミルウーダ「……ティータ」
ティータ「それ以上、哀しみを背負わないで」
ミルウーダ「……」
――ミルウーダ
ミルウーダ「ティータ、ありがとう……」
ミルウーダ「でも、私は『この』哀しみも背負っていくわ……!」
ミルウーダ「それが……未来を託してくれた人達への手向けだから」
200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 22:11:53.81:iOR/MzbAO
ツカ…ツカ…
メリアドール「……ようやく死合う気になったのね」
メリアドール「イズルードの為、そして私が先に進む為……貴女を討つッ!!」チャキッ
ツカ…ツカ…
ミルウーダ「……これ以上、貴女にかける言葉はないわ」ツカ…
ザッ
ミルウーダ「伝えるべき事は、この剣に込める!」チャキッ
201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 22:16:53.20:iOR/MzbAO
メリアドール「ハァァァァ……」ゴゴゴ…
ミルウーダ「ァァァアアア……」ゴゴゴ…
ティータ「ミルウーダさ」
――ガキィッッン
ラファ「なッ!?」ビリビリッ
メリアドール「でやァッ!!」
ミルウーダ「はぁッッ」
――バキィィンッッ
202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 22:22:51.27:iOR/MzbAO
ギィッッ ガキンッッ
メリアドール「ふッ! はッ! どうした! 防戦一方じゃないッ!」ギッ ガキッ
ミルウーダ「せッ! てッ!」ギンッ カシッ
メリアドール「我が剣の真髄は装備破壊! この剛剣……いつまで受けられるかしらッッ!!」
グオッッ――
――――ガキィンッ
203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 22:28:20.81:iOR/MzbAO
マラーク「剛剣を……」
メリアドール「…………くっ!?」ギギッ
ミルウーダ「ふ……ッ」ギギッ
ティータ「受け止めた……!!」
ミルウーダ「ォォォォオオオオッッ!!」グァッ
カシィンッ
ミルウーダ「てやぁぁぁッッ!!」バッ
無 双 稲 妻 突 き
204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 22:34:00.31:iOR/MzbAO
メリアドール「ぐぅぅ……!! この閃光は!?」ガキィィンッ
メリアドール「う……ウィーグラフ……!」
メリアドール「ハッ!?」バッ
――ゥゥウウウ ズドォォォンッッ――
メリアドール「これは……」
ミルウーダ「……」チャキッ
メリアドール「イズルードの急降下……!!」
205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 22:50:02.39:iOR/MzbAO
メリアドール「く……っ!? イズルードの影が重なる……!」
ミルウーダ「……」ザッ
メリアドール「っ!」ジリッ
ラファ「剛剣のメリアドールが退いてる……!」
ティータ「ミルウーダさん……!」
メリアドール「私は……私は……ッ」
――姉さん
メリアドール「私はお前の分まで生き抜いてみせるッ!!」グォァッ
206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 23:02:21.18:iOR/MzbAO
メリアドール「うああああああぁぁぁあああッッ!!」グォッッ
ミルウーダ「……」
マラーク「危ない! 避けろッ!」
――ザシュッ
207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 23:20:07.05:iOR/MzbAO
――姉さん
なに、イズルード
姉さんは、なんで神殿騎士団になったんだい
……
前にも言ったでしょ――
メリアドール「……かはっ」ブシャッ
――貴方と同じで、大切な人達を守りたいから――
208:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 23:48:53.03:iOR/MzbAO
メリアドール「……私の……負けよっ、さぁ……とどめをっ」ガクッ
ミルウーダ「……」
メリアドール「はぁッ、情けを……かけ……るの?」
ミルウーダ「……ひとつ答えて」
メリアドール「……」
ミルウーダ「最後の一撃、何故加減をしたの?」
メリアドール「…………」
209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/07(木) 23:55:52.55:iOR/MzbAO
メリアドール「……」
メリアドール「で……できなかったのよ……」グッ
メリアドール「イズルードの姿が浮かんで……斬る事ができなかった……ッ!」ボロボロ
スッ
ミルウーダ「それは、貴女の中にイズルードが息づいていたから……」
ミルウーダ「決別しようとしていた哀しみを、貴女はちゃんと背負う事ができたのよ」
メリアドール「ぁぁぁああああああ……っ!」
214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/12(火) 00:18:25.52:J/hmvlOAO
――――
ゴウン…ゴウン…
粘着質な大気を掻き分けて進む。
確かな事など何一つ無い中、
深く、より深い闇に溺れるように……
そうして、どこまでが自分なのかわからなくなった頃、
俺はそいつに出逢った……
ゴウン…ゴウン…
――――
216:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/12(火) 00:36:18.96:J/hmvlOAO
……
ハシュマリム「地に眠る者達、大地の激震となれ! クエイク!!」ゴウッ
――ガゴォォォオオォォオッッ――
ディリータ「城がっ!?」グラッ
ムスタディオ「うわぁぁぁぁ!!」ガコッ
ヒュウ…
ラムザ「ディリータ! ムスタディオ!」
アルマ「そんな……!」
ハシュマリム「クク……レビテトも掛けておくべきだったな」
ラムザ「貴様……ッ!」
217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/12(火) 00:45:48.33:J/hmvlOAO
ローファル「ククク……仲間を失って、尚戦うつもりか?」
ラムザ「アルマ、逃げるんだ……」
アルマ「ダメ! 兄さんも逃げるのよ!」
ラムザ「言う事を聞くんだ! 早くッ!」
アルマ「……っ」
ハシュマリム「フン、家族愛……か」
ハシュマリム「それが人間の弱さ……命取りとなるのだッ!」
メ ル ト ン
ラムザ「マバリアが……!?」ピキッ
――――パリンッ
アルマ「兄さーんッ!!」
『あああああぁぁぁ…………』
ジュァァァ―――
218:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/12(火) 00:51:31.43:J/hmvlOAO
アルマ「に……兄さん……」ガクッ
シュウゥゥ…
ハシュマリム「ククク……やはり人間は弱い、脆い」
アルマ「…………っ」グスッ
ローファル「さて、その聖石を渡してもらおう」
アルマ「う……ッ」ギュッ
ローファル「強情なのは兄弟そっくりだな。まだ心が折れぬか」
219:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/12(火) 00:56:27.19:J/hmvlOAO
アルマ「こ、これは渡さない……!」ググッ
ローファル「腰が抜けているというのに、まだそんな口を利くか」
パァァ
アルマ「え……っ」キラッ
ハシュマリム「聖石との共鳴が強くなってきているな。やはり器だったか」
アルマ「う、器?」
ローファル「クク、一緒に来てもらうぞ!」グイッ
アルマ「きゃあ!? 兄さん! 兄さーん!!」
224:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 18:31:12.18:eoB59JlAO
……
ミルウーダ「……邪悪な気配が消えた」
ラファ「誰かがルカヴィを倒したって事?」
ミルウーダ「いえ、消滅したというより、どこか遠くに……」
マラーク「! 誰かいるぞ!」
ティータ「! 兄さん!!」タタッ
ティータ「兄さん! 大丈夫!?」
ディリータ「う……俺は……」
225:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 18:38:03.09:eoB59JlAO
ラムザ「うう……ここは?」
ミルウーダ「気が付いた? ラムザ・ベオルブ」
ラムザ「ミルウーダ…………ルカヴィは!?」バッ
ミルウーダ「部屋が滅茶苦茶なのはやはりルカヴィの仕業だったのね。一体何があったの?」
ラムザ「アルマ……そうだ! 妹のアルマが神殿騎士団に攫われたんだ!」
ティータ「アルマが!? 一体なんの為に?」
ラムザ「わからない……聖石と関係があるらしいけど……」
226:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 18:48:33.39:eoB59JlAO
ムスタディオ「イテテ……あれ、俺は地割れに落ちたんじゃ」
ラムザ「僕もヴォルマルフに焼かれて死んだ筈だったんだけど……」
ラファ「まさか、聖石の力で転生したんじゃ……」
ディリータ「ルカヴィになったつもりは無いが、奇跡が起きたとしか考えられないな」
ラムザ(……アルマ)
ミルウーダ「妹が心配なのはわかるけど、貴方には目の前のやるべき事があるんじゃない?」
ディリータ「ラムザ、ミルウーダの言う通りだ」
ラムザ「ああ……兄さん達を止めよう!」
228:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 21:48:45.33:eoB59JlAO
ヴォルマルフ達に敗れ死んだ筈の僕達は、
気が付くと、戦いの爪痕の残る部屋に倒れていた。
ルカヴィは死者を眷属として復活させる事ができると
ミルウーダ達は言っていた。
だとすれば、僕達を蘇らせた奇跡も
聖石の持つ力の一面なのだろうか……
229:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 21:59:57.23:eoB59JlAO
ラーグ「」
ラムザ「遅かったか……」
ラファ「ラーグ公を手に掛けるなんて……」
マラーク「ザルバッグも本気でダイスダーグの野望を成就させる気なんだろう」
ガチャ
ムスタディオ「駄目だ、ダイスダーグもザルバッグも見つからない」
ミルウーダ「既にルザリアを目指して出陣したという事?」
ムスタディオ「そうとしか考えられない。奴ら、本気で王家を潰す気だ!」
230:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 22:11:26.28:eoB59JlAO
ラムザ「行こう! 近衛騎士団が崩れる前に兄さん達を止めなきゃ!」
ムスタディオ「ああ!」
ミルウーダ「じゃあ、ここでお別れね」
ティータ「ミルウーダさん!?」
マラーク「……それはどういう事だ?」
ミルウーダ「ヴォルマルフ達の行動……アルマを攫った事に、何か重大な意味がある気がするの」
ラムザ「重大な意味?」
ミルウーダ「ヴォルマルフ達の真の目的は、ルカヴィの完全復活」
ミルウーダ「ルカヴィの復活には聖石と、適合する身体が必要。だとすれば……」
ティータ「もしかして、アルマがルカヴィの適合者……?」
231:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 22:20:41.31:eoB59JlAO
ディリータ「なるほど……アルマが聖石の力で俺達を復活させたとすれば、合点がいく」
ラムザ「ヴォルマルフを止めよう! アルマをルカヴィになんてさせないッ!」
ミルウーダ「落ち着きなさい。貴方には成すべき事があると言った筈よ」
ラムザ「く……でも」
ミルウーダ「安心して。私がヴォルマルフを追うわ」
ラムザ「……信じていいんだな?」
ミルウーダ「ルカヴィの野望を阻止してアルマを救い出す。北斗七星に誓うわ」
232:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 22:28:08.23:eoB59JlAO
ミルウーダ「ラファ、マラーク、あなた達はラムザ達とルザリアへ」
マラーク「なに?」
ラファ「私達も行くわ! 一人なんて危険よ!」
ミルウーダ「ルザリア攻防戦は熾烈を極める筈よ。必ずあなた達の力が必要になる」
ラファ「……でも」
ミルウーダ「ラファ! マラーク!」
ラファ「!」 マラーク「!」
ミルウーダ「骸騎士団長ミルウーダが命ずる! 王都ルザリアを堅守せよ!」
ラファ「は、はい……!」 マラーク「了解っ!」
ミルウーダ「……それと、決して死なないでね」
233:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 22:34:34.20:eoB59JlAO
ミルウーダ「マラークとラファの二人が繰り出す魔術は広範囲にして強力、必ず力になるわ」
ラムザ「よろしく、マラーク、ラファ」
ラファ「こちらこそ、よろしく」
マラーク「俺達が行くからには勝つのは当然、さっさと片付けてヴォルマルフを追うぞ!」
ムスタディオ「ミルウーダ、恩に着るぜ」
ミルウーダ「……そろそろ行くわ」ザッ
ティータ「待って下さい!」タタッ
ミルウーダ「……」
234:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 22:43:48.39:eoB59JlAO
ミルウーダ「ティータ、ジャギの言葉を覚えてる?」
ティータ「はい、しっかりと」
ミルウーダ「だったらディリータと一緒に行って、この戦いの結末をしっかり見届けなさい」
ミルウーダ「この国の夜明けには、貴女が必ず必要になるから……」
『だったら尚更、ミルウーダさんと行かなきゃなりませんね』
ミルウーダ「なっ、ティータ!」
235:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 22:55:47.68:eoB59JlAO
ディリータ「ミルウーダ、俺からも頼む」
ミルウーダ「ディリータまで……」
ディリータ「最初、ティータがアンタについて行くと言った時は、正直反対しようと思ったよ」
ディリータ「でも、今は送り出して良かったと思っている。オーボンヌで見た時も思ったが……再会する度にティータは強くなっている」
ディリータ「でもそれは、この戦いの中に身を置いているからじゃなく、アンタと……ジャギの生き様を目に焼き付けているからじゃないのか?」
ミルウーダ「……!」
236:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 23:00:52.92:eoB59JlAO
ティータ「兄さん……」
ディリータ「行ってこい、妹よ」
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「いくわよ、ティータ」
ティータ「はい!」
タタタッ
ラムザ「……いいのかい?」
ディリータ「ティータは俺から離れた。自分の意志で生き、自分の意志で死んでいくだろう」
ラムザ「自分の……意志」グッ
237:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/19(火) 23:47:05.43:eoB59JlAO
=ゼルテニア オルランドゥ家=
オルランドゥ「オーランよ、王女を……この国を頼んだぞ」
オーラン「お任せ下さい。必ずや吉報を持ち帰ります」
アグリアス「オルランドゥ殿、どうしても残られるのですか?」
オルランドゥ「これでも私は閣下に剣を捧げた身。主の盾として傍に控えていたいこの心、アグリアス殿ならばわかる筈」
アグリアス「オルランドゥ殿……」
オルランドゥ「オヴェリア様、私は同行できませんが、南天騎士団より有志1100余名、貴女様の剣となり盾となりましょう」
有志騎士「オルランドゥ様の意志は、我々とオーラン殿が継ぎました。この剣で明日への道を拓きましょう」
238:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/20(水) 00:04:59.63:VgED/2VAO
オヴェリア「オルランドゥ伯、有志の皆さん、ありがとうございます。私の目指す新しい国の為に、力を貸してください」
『ハッ!』ザッ
アグリアス「では、そろそろ行きましょう」
オルランドゥ「待って下され」
オーラン「義父上?」
オルランドゥ「私の代わりと言ってはなんだが、頼りになる男を連れてきている」
『お前さンの代わりなンて言われると、やりづらくて仕方ないンだが?』
オーラン「が、ガフガリオン!?」
ガフガリオン「目上に対して呼び捨てとは……礼儀がなっとらンな!」
オルランドゥ「元・東天騎士団分隊長、ガフ・ガフガリオンだ。皆、力を合わせて勝利を掴んでくれ」
239:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/20(水) 00:12:31.73:VgED/2VAO
ザッザッザ…
オルランドゥ「……御武運を」
オルランドゥ「ゴホッ! ゴホッ!」
オルランドゥ「雷神シドが病気とは……年はとりたくないものだな」
オルランドゥ「……時は流れ、時代は新たな若い力を必要としている、という事か」
オルランドゥ「頼んだぞ……」
242:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/07/20(水) 00:38:23.86:YbyXfRjI0
=王都ルザリア=
北天騎士団斥候「只今偵察より戻りました」ザッ
ザルバッグ「近衛騎士団の様子は」
北天騎士団斥候「はっ、我々の動きに気付いた様子もなく、城門は開け放たれ、見張りが数名いるだけです」
ザルバッグ「部隊を割ったとはいえ、かなりの規模の兵が動いたのだが……」
『王家の危機意識など、そんなものだ』
ザルバッグ「兄上……」
ダイスダーグ「よいか、此度の戦は腐りきったアカトーシャ王家との決別の戦いだ。今こそ、王家に私物化された政治を正す時!」
北天騎士団兵士「ザルバッグ様、夜明けです!」
ザルバッグ「……」
ザルバッグ「イヴァリースの夜明けだ! 進めッ!」
『オオオォォォオ――!!』
247:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 00:23:27.10:2OhvDczAO
……
ルザリア近衛騎士団衛兵「……ん?」
ルザリア近衛騎士団兵士「どうした?」
ドドド…
ルザリア近衛騎士団衛兵「なんだか……地面が……」
ドドドドドド
ルザリア近衛騎士団兵士「地鳴り? いや、これは!」
ドドドドドドド――
北天騎士団騎兵「突撃だ!! 門の中に突っ込めッ!!」
ルザリア近衛騎士団衛兵「て、敵襲――!!」
248:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 00:42:29.93:2OhvDczAO
ゴウンッッ
北天騎士団騎兵「閉門はされましたが、西門と北門より、多くの騎兵隊が突入に成功!」
北天騎士団騎兵隊長「まずは城壁を占拠だ! ルザリアの兵力などたかが知れて」
――ドチャァッッ
北天騎士団兵士「な、なんだ!?」
北天騎士団剣士「ペッ! なんだこれ!?」
『攻城戦の心構えがなっとらンな。それじゃあベヒーモスの口に飛び込むのと同じだぜ』
北天騎士団騎兵隊長「ま、まさか!?」
ガフガリオン「ここがお前さン達の墓場だ! まとめて焼けちまいな!」シュッ
北天騎士団騎兵隊長「東天の悪魔がなぜここにィ」
ボッ
『ギャァァァアアアアアァ……』
メラメラメラ……
ガフガリオン「今は悪魔が微笑む時代なンだよ」
250:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 00:55:21.46:2OhvDczAO
=ドグーラ峠=
ガチャガチャ…
アグリアス「ペースが落ちているぞ! 何をしている!」
オーラン「連日の強行軍に皆疲弊している。ここまで脱落者が出ていないのが奇跡なぐらいだ」
アグリアス「王家の一大事なのだぞ! これぐらい」
オヴェリア「よしなさい、アグリアス」
アグリアス「ヴェリア様、しかし……」
252:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 01:05:05.55:2OhvDczAO
オヴェリア「兵の皆さんは、イヴァリースの希望そのもの。ここでいたずらに消耗するわけにはいきません」
アグリアス「しかし、先行したガフガリオン殿がいつまで持ちこたえられるかわかりません。一刻も早く加勢を!」
オーラン「オヴェリア様のお心遣いは有り難いのですが、やはり間に合わなくてはすべてが無駄になります」
有志騎士「我らはオヴェリア様に命を預けた身。足手まといになるようならば、切り捨てて先に進んで下さい」
オヴェリア「なりません」
有志騎士「オヴェリア様!」
『くどい! 二度も言わせないで!』
アグリアス「!」
オヴェリア「そのような諦めの言葉……私は聞きたくありません」
253:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 01:12:24.00:2OhvDczAO
オヴェリア「私は、有志1100余名の命を預かる身。誰一人として脱落はさせません」
有志騎士「オヴェリア様……」
オヴェリア「……大きな声を出してごめんなさい」
オーラン「……いえ、オヴェリア様のお考え、よくわかりました」
オヴェリア「ドグーラの中腹に開いた場所があると、オルランドゥ伯が仰ってました。今日はそこで早めの休息としましょう」
オーラン「わかりました。すぐに伝令を」ザッ
254:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 01:19:01.58:2OhvDczAO
オヴェリア「……」
アグリアス「……オヴェリア様」
オヴェリア「アグリアスは、先を急いだ方がいいと思う?」
アグリアス「いえ、私も重責に気が焦って、冷静ではありませんでした。オヴェリア様の判断が的確でした」
オヴェリア「……間に合うと思う?」
アグリアス「オヴェリア様がそう信じるなら」
オヴェリア「……そうねっ」ザッ
アグリアス(オヴェリア様は変わられた。人の上に立つ者としての素質が輝き始めた!)
255:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 01:27:31.78:2OhvDczAO
=ゼルテニア城=
カラーンッ
オルランドゥ「閣下……お逃げ下さい」ゼェゼェ
ゴルターナ「何故……何故貴様らが……」
ヴォルマルフ「何故? 簡単な事、貴様を生かしておくメリットがなくなったからだ」
ローファル「だが、オルランドゥの返答如何ではメリットが生まれるかもな」
オルランドゥ「私の返答だと……?」ゼェゼェ
256:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 01:57:58.45:2OhvDczAO
ローファル「そうだ。ゴルターナの命が惜しくばゲルモニーク聖典を渡せ」
オルランドゥ「!」
ヴォルマルフ「やはり持っていたか。断れば……」クイッ
ゴルターナ「はっ!? はぐっ、ぐるじい!」フワッ
ヴォルマルフ「ククク……」グイッ
ゴルターナ「あが……っ」ミシミシッ
オルランドゥ「…………」チャキッ
『名も光も捨て、自分の意志で動くと!』
オルランドゥ「さらば公爵閣下!! 今約束を果たそうッ!!」グアッ
ゴルターナ「オルランドゥ……!?」
ヴォルマルフ「逆らうか! モスフングスの毒に蝕まれたその身体では、己の剣に耐えられまい!」
257:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 02:14:35.37:2OhvDczAO
ローファル「まさか貴様、ゴルターナごと貫く気じゃ!」
ゴルターナ「やめて……くれぇ!」ググッ
オルランドゥ「時代は子供らに託しましょう閣下。私もすぐに逝きます……!」ゴゴゴ…
ゴルターナ「オルランドゥー!」
オルランドゥ「受けるがいい……我が全霊の剣を……!!」クアッ
259:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/07/21(木) 02:39:22.94:DGLwv8wdo
オルランドゥ「 乱 命 割 殺 打 !! 」
――ドゴォォッッ
オルランドゥ「…………ゴフッ!!」ベチャッ
オルランドゥ「は……はぁ……これで」
『これで雷神シドも終わりだな』
オルランドゥ「!? 馬鹿な! 我が剣を受けて立っていられるはずが」
ゴーレム「 グ ガ ァ ァ ァ ア ァ !!」ガラガラガラッ
オルランドゥ「!」
――ドシャァァアッ
262:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 22:39:48.59:2OhvDczAO
オルランドゥ「か、変わり身だと……」ガクッ
ローファル「戦いは常に最悪の事態を想定するものだ。つまり、お前が死ぬまで絶対に油断をしないという事よ」スッ
神殿騎士団弓兵「……」ギリッ
神殿騎士団黒魔「……」ブツブツ
神殿騎士団召喚士「……」ザッ
神殿騎士団機工士「……」チャキッ
オルランドゥ「伏兵……か!」
ローファル「ククク……貴様は主人に毒を盛られ、ルカヴィ復活の要である聖典を奪われ、抵抗虚しく死んでゆくのだ!!」スラッ
オルランドゥ(い……今一度!!)
オルランドゥ「神よ一瞬の命を――!!」グゥッ
ローファル「死ねえ!!」バッ
ズバァッ――
263:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 22:53:48.14:2OhvDczAO
カシーン
オルランドゥ「が……ぁ」ゴバッ
ドシャッ
ゴルターナ「あ……ああ!」ガクガク
ローファル「一人では寂しかろう。すぐに公爵閣下もそちらに送ろう」チャキッ
ゴルターナ「ひ、ひい!」
ヴォルマルフ「ローファル」
ローファル「はッ」
ヴォルマルフ「お前は一つしくじった」
ローファル「な、何がでございますか!?」
オルランドゥ「でやあああああ――――ッッ!!」
――ズシャァァッッ
ローファル「ごふぁ!?」ブシャァッ
ヴォルマルフ「その手の人間相手には、死んでも油断しない事だ」
264:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 23:00:07.63:2OhvDczAO
ドサッ
オルランドゥ「る……カヴィ……」ブルブル
ヴォルマルフ「人間よ、何故抗う」
オルランドゥ「……ミ、らい……っ」ググ…
ドシャァ…
ヴォルマルフ「……」
ヴォルマルフ「ゴルターナを殺せ、オルランドゥの謀反だ」
神殿騎士団兵「……ハッ」
265:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 23:53:00.38:2OhvDczAO
……
オーラン「!! 義父上の星が……」
オーラン「く……ッ、義父上……」グッ
『わかっている。閣下が私に毒を盛っている事は、承知の上。それでも私は閣下の騎士なのだ』
『例えどんな仕打ちを受けようと、その忠義は変わらない』
『だが……だがもし、死ぬ間際……最後の一太刀となったら……』
『私は……己の為にその剣を振るやも知れん』
オーラン「さぞ……苦しかったでしょう」
オーラン「安らかにお眠り下さい。義父上の魂は我らの心の中で生き続けます……!」
266:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/22(金) 00:23:58.16:m1H8GnOAO
=王都ルザリア=
ガフガリオン「橋を落とせぇ!! 奴らの奇襲は失敗だ! 持久戦に持ち込むぞ!」
ガフガリオン「援軍が来るまでの辛抱だ! 何としても耐えるンだ!!」
『オオオォォォー!!』
ダイスダーグ「なにを苦戦している! 敵は寡兵だろう!」
北天騎士団騎士「し、しかし、騎兵隊への焼き討ち、堀への毒の散布、相次ぐ偽報と、前線の士気はがた落ちでして」
北天騎士団参謀「大将はガフガリオンとの情報もあります。強攻は危険かと」
ダイスダーグ「奴の狙いはこちらの戦意を失わせ、硬直状態に持ち込む事だ! 手を緩めては思うつぼだ! 愚か者!」
北天騎士団騎士「は、はいっ」
ダイスダーグ「騎士崩れが……ッ!」
267:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/22(金) 00:49:03.08:m1H8GnOAO
ラーグ公が死に、ダイスダーグ卿率いる北天騎士団が、
突如として、王都ルザリアを攻撃した。
それは、王家の衰退が起こした人為的現象であり、
誰もが、ベオルブ家による国政が始まると思っていた。
だが、寡兵ながら驚異的な粘りを見せる王家軍に対し、
精鋭揃いの北天騎士団は激しく消耗していく。
それは正に『骸戦争』の再来であり、
人々に、戦うという事の意味を問う事となった……
268:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/22(金) 01:07:14.50:m1H8GnOAO
=オーボンヌ修道院=
アルマ「……」
ヴォルマルフ「時は来た。今こそ我らが悲願、『血塗られた聖天使』復活の時!!」
バンッ
ドタドタ ザシュッ
ヴォルマルフ「……どこまでも邪魔をする。行け、ここへ通すな」
眷属騎士「アァ……!」ドタドタ
ヴォルマルフ「クク……」
269:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/22(金) 01:38:38.70:m1H8GnOAO
――――
ゴウンゴウン…
繰り返し、繰り返し聞こえるプロペラの回る音
響き渡る亡霊共の叫び、嘆き、慟哭
死んだ世界……終わりの地
ここで俺は奴に出会った
聖天使アルテマ「血塗ラレタ扉ガ開ク……復活ノ時、世界ニ終末ヲモタラサン!!」
『ファルオス・ケオス・デ・バンダ! ゾーダ・ラムド・フェリオ……』
「……そうか、俺が天に帰らなかったのは、お前と会う為だったのか」
『我は時の神ゾマーラと契約せし者、悠久の時を経てここに時空を超えよ……』
ジャギ「終末をもたらすのは貴様ではない。俺が貴様に終末をもたらすのだ……!」
我 に そ の 扉 を 開 け
デ ジ ョ ン
271:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/07/22(金) 02:08:55.24:k8JXYab2o
バンッ
ミルウーダ「ヴォルマル……くっ!?」
――――ゴォォォォオウンッ
ヴォルマルフ「ククク……感じる、感じるぞ! 我が肉体に流れ込む強大な力を! 闇に蠢く同胞の声を!」
ティータ「アルマ! アルマを返しなさい!」
ヴォルマルフ「この小娘が欲しいか? ならば、力ずくで手に入れる事だな!!」パァァ
ヂチチ…
ドォォオオォンッッ――
ハシュマリム「死都への門は開かれた! この地よりルカヴィ恐怖の伝説は始まるのだ!!」
282:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 18:48:25.73:bLTud1OAO
ゴウンゴウン…ッ
アルテマ「感ジル……水底ノ如キ深キ哀シミ……」
アルテマ「哀レナ魂ノ残滓ヨ、我ガ眷属トナレ。共ニ世界ニ光ヲモタラサン」
ジャギ「誰に命令してんだ! 貴様の力なんざ無くってもな、世界には光が溢れてんだよ!」
アルテマ「……オマエモマタ、穢レタ種ニ違イナカッタカ。」
バサァッ
アルテマ「我ガ名ハ聖天使アルテマ。地上ヘ降リ立チ、穢レタ種ヲ駆逐セン!」パァァ
ジャギ「貴様を地上になんざ行かせん! ここが貴様の墓場だッ!」バッ
283:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/23(土) 18:50:28.05:TuieSrgxo
アルテマ「滅ビヨ……グランドクロス!!」ピッ
――――パァッ
ズバァァァァァァアッッ――――
パラッ…
アルテマ「人間ノ何ト脆ク儚キ事……」
ブシャッ
アルテマ「ッ!?」
『どれだけ強大な力を持っていようと、殺しにおいては素人同然だな』
スゥ……
ジャギ「そんなスローでは俺は殺せん!!」ザッ
285:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 19:24:25.48:bLTud1OAO
アルテマ「人間ガ……ワタシニ傷ヲ……?」
ジャギ「次は貴様のツラを八ツ裂きにしてやる」スッ
アルテマ「クク……」
ジャギ「何が可笑しい」
アルテマ「神ニ感謝セネバナルマイ。コレダケノ贄ヲ授ケテクダサッタノダカラナ!」
アルテマ「人間ヨ、我ニ血ヲ捧ゲヨ! ソノ煮エタギル灼熱ノ血ヲ……!!」ゴゴゴ
286:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 19:43:29.45:bLTud1OAO
『渦ナス生命ノ色、七ツノ扉開キ、力ノ塔ノ天ニ至ラン』
ジャギ「南斗邪狼撃!!」
アルテマ「究極魔法……アルテマ!!」
イイィ…… ゴァァァアアァァアッッッ――――
ジャギ「ぐぁっ!?」ガシャァッ
アルテマ「クク……良イゾ、オマエノ血デ力ガ湧イテクル」
ジャギ「く……」ジャリッ
ジャギ(あのアマ、南斗邪狼撃を食らって、尚笑ってやがる……!)
アルテマ「心地ヨキ痛ミダ。続ケヨウゾ、人間!」パァッ
287:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 20:02:18.24:bLTud1OAO
=ルザリア 城内=
王妃ルーヴェリア「い、嫌ぁ……死にたくない……」ガタガタ
ウァァァン ウワァァァン
ルーヴェリア「…………こ、この子だけでも……神様……」ギュウ
ドカンッ
ルーヴェリア「ひいっ!?」ビクッ
ルーヴェリア「はぁ……はぁ……」カタカタ
ルーヴェリア「誰か……」ブルブル
288:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 20:08:16.65:bLTud1OAO
…………
ルザリア近衛騎士団剣士「兵糧も尽き、残ったのは我ら勇士二十余名……」
ルザリア近衛騎士団白魔「明朝には北天騎士団の連中が雪崩込むだろう」
ルザリア近衛騎士団闘士「援軍は……まだなのか」
ガフガリオン「……」
ザッ
ルザリア近衛騎士団弓兵「ガフガリオン殿、どこへ行かれる?」
289:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 20:19:27.47:bLTud1OAO
バタンッ
ルザリア近衛騎士団拳士「ガフガリオン殿、何を……」
ガフガリオン「恐らく、援軍は決戦に備えて兵力を温存しつつルザリアへ向かっている」
ガフガリオン「ゼルテニアからの道程を考えれば、最低でもあと1日かかる!」
ルザリア近衛騎士団衛生兵「そ、そんな……」ガクッ
ルザリア近衛騎士団剣士「ここまで来て……ッ」ギリッ
ガフガリオン「……」
ガフガリオン「心配すンな。あと1日ぐらい、俺が時間を稼ぐ」
290:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 20:24:31.01:bLTud1OAO
ルザリア近衛騎士団拳士「な、何を適当な事を!」
ルザリア近衛騎士団風水士「そんな事言って、その板を渡って逃げる気なんでしょ!」
『静まれ』
ルザリア近衛騎士団拳士・風水士「!」ビクッ
ガフガリオン「俺はこれから、ザルバッグの首を取りに行く……!」
291:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 20:38:03.76:bLTud1OAO
ルザリア近衛騎士団剣士「なっ!?」
ルザリア近衛騎士団衛生兵「敵の大将首を!?」
ガフガリオン「最早、並大抵の事では戦局は動かン! 戦局が動かないという事は、俺達の敗北を意味する!」
ガフガリオン「俺達に明日の夜は無い! 行くなら……今夜しか無いンだ!」
ルザリア近衛騎士団白魔「ガフガリオンさん……!」
ギシッギシッギシッ… スタッ
ガフガリオン「この夜襲が成功しようと失敗しようと生還は無い。その上でお前達に命令する」
ガフガリオン「渡れッ! そして共に死ンでくれ!」
292:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 20:46:14.02:bLTud1OAO
……
カサッ
北天騎士団見張り「ん……? 何」
ズギャッ
北天騎士団見張り「はがっ!?」
ルザリア近衛騎士団拳士「……ファーラム」
――ゴキリッ
北天騎士団見張り「」ビクッ
ドサッ
ルザリア近衛騎士団拳士「クリアーだ」
ガフガリオン「よし、服を奪って着替えろ。まずは灯りを落とすンだ」
『了解』
293:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 20:59:50.88:bLTud1OAO
…………
ドカァッ
ミルウーダ「くぁっ!?」ドサッ
ハシュマリム「ククク……そうだ、この感覚……死などとは無縁のこの身体!」
ハシュマリム「主の復活を待つまでも無い! 私自ら地上に恐怖をもたらしてやるッ!」ゴウッ
ミルウーダ「!」
ハシュマリム「死ねぇッ!!」グァッ
――――フッ
ハシュマリム「むっ!? 消えた――」
夢 想
ミルウーダ「稲妻突きィッッ!!」ズガッッ
294:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 21:03:02.09:bLTud1OAO
ティータ「やった! ミルウーダさ」
キチチ…
ミルウーダ「……っ」ググッ
ハシュマリム「無駄だ」
ドカァッ
ミルウーダ「かはぁッ!?」ガシャァッ
ティータ「ミルウーダさん!?」
ハシュマリム「そんなやわな剣では、この身体に傷ひとつ付ける事はできんッ!」ゴウッ
301:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 22:51:12.90:bLTud1OAO
ミルウーダ「つ、強い……!」
ハシュマリム「この娘に反応して聖天使の魂が目覚めたのだ。聖天使さえ復活すれば、我らは本来の力を行使する事ができる」
ハシュマリム「もっとも、貴様程度なら今の状態で十分だがな。ククク……」
ミルウーダ「その言葉、すぐに後悔」グッ
ズキッ
ミルウーダ「あうっ!?」カラーンッ
ハシュマリム「ククク……」
ハシュマリム「ハーッハッハッ! 手首を負傷しては最早まともに戦えぬなあ!」
ハシュマリム「たっぷり痛めつけて殺してやる! 貴様には散々煮え湯を呑まされたからな!」ニィッ
302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 22:56:38.08:bLTud1OAO
ティータ「ミルウーダさん! 今手当てを」
ハシュマリム「ぬんッ」カッ
ドカァッ
ティータ「きゃああ!?」ドサァッ
ハシュマリム「ムシケラは引っ込んでいろ! 自分の仲間が死ぬ様を見ているがいい」ググッ
ボキッ
ミルウーダ「ぐあぁぁッ!?」
ティータ「み、ミルウーダさん……」
ハシュマリム「まずは右腕ぇ」ニヤッ
303:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 23:04:38.10:bLTud1OAO
ハシュマリム「次は左腕ッ」グッ
ベキンッ
ミルウーダ「あああああああッッ!?」ガクガクッ
ハシュマリム「ククククク! 泣け! 喚け! もっと苦しんで見せろ!」
ティータ「やめなさいッ!!」タタタタッ
ボフッ
ティータ「ミルウーダさんをッ! 放しなさいッ!」ボフッボフッ
ハシュマリム「……」
ハシュマリム「……邪魔をするでないわッ!!」
バキィィッッ
ミルウーダ「ティータぁッ!!」
304:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 23:13:45.89:bLTud1OAO
ティータ「……ぅ」ズルッ
ハシュマリム「興醒めだ。二人まとめて殺してやる」グイッ
ミルウーダ「あぐ……っ!?」
ブンッ ドサッ
ミルウーダ「っあぁ……!!」ガクガクッ
ティータ「み、ミル……」
ミルウーダ「ティータ……あなただけでも……」ゼェゼェ
ハシュマリム「……他人の心配をしている場合か? 不愉快な」
ググッ
ハシュマリム「……む」ピクッ
ティータ「ミルウーダさんは……私が守る!」
305:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 23:26:44.37:bLTud1OAO
ハシュマリム「魔法も使えぬ屑が……鞄で私を倒せると思っているのかッ!!」クワッ
ティータ「……ッ」ビリビリビリッ
ミルウーダ「ティータ……逃げて」
ティータ「……兄さんがくれたエリクサーです。飲んで下さい」スッ
ミルウーダ「ティータ! んグッ!?」ゴクッ
ティータ「ジャギさんが帰ってくるその日まで、ミルウーダさんを死なせたりしません」
チャキッ
ティータ「ミルウーダさんは、私の大好きなジャギさんが愛したひとなんだから!」
306:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 23:34:31.13:bLTud1OAO
ハシュマリム「そんな細腕では、まともに剣を振る事などできぬだろう」
ティータ「……っ」グッ
ミルウーダ「ティータ……くっ、エリクサーが効いて……」クラッ
ティータ「やああっ!」タタッ
ブウンッ
ハシュマリム「……遅い」
ティータ「くっ」ヨロッ
ガシィッ
ティータ「あぐッ!?」
ハシュマリム「駄目だな、愉しくない」
307:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 23:40:58.43:bLTud1OAO
ミルウーダ「ティ……タ…………」ドクンドクン
ティータ「あ……頭がッ」ギリギリッ
ハシュマリム「最期ぐらい良い声で泣いてみせろッ」ググッ
ティータ「ああ……ッ!?」ミシミシッ
ティータ(ジャギ……さん…………)
309:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 23:58:03.48:bLTud1OAO
バキィッッ
ジャギ「ぐあっ!?」ドガッ
アルテマ「ククク……ドウシタ、スローナノデハナイノカ?」
ジャギ(あいつ……段々力を増してきている!)
ジャギ「くッ、北斗千手殺ッ!!」ババッ
ドガガガガガッッ
アルテマ「今ノハ何ダ? 攻撃ノツモリカ?」
ジャギ「バカな!? 俺の拳をまともに食らって」
ゴキャ……ッッ
ジャギ「ギャッ!?」ドサッ
アルテマ「攻撃トハコウスルノダ」
313:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/24(日) 00:17:00.52:v/RXV4mAO
ジャギ「ぬぅううあッ!!」グアッ
アルテマ「クク、ソウデナクテハ」
ジャギ「てめぇの攻撃なんぞ! ラオウ兄者に比べたら赤子同然だッッ!!」ブシッ
アルテマ「愉快!! 実ニ愉快ダ!!」
ジャギ「北斗羅漢撃――ッッ!!」ブォッ
アルテマ「コイ、人間ッ!」
ジャギ「ゴァァアアアぁぁぁああッッ!!」ババババッ
ガガガガガガガガガ――――ッッ
アルテマ「グキッ!? ギァッ!!」ベゴッ
314:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/24(日) 00:23:08.44:v/RXV4mAO
ジャギ「ああああああああッ!!」バババッ
アルテマ「グッ!? ――ッシャア!!」ピッ
ジャギ「!」
――――ズバァァァアアァァッッ
ジャギ「ゴボァ――っ!?」ブシャァッ
アルテマ「クキキ……ククカカカ!!」ボタボタ
アルテマ「ガハッ!?」ブシャッ
316:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/24(日) 00:30:57.97:v/RXV4mAO
ハシュマリム「!? ぐ……っ」グラッ
ティータ「っ!」ドサッ
ハシュマリム「か、身体が……聖天使の身に何がッ!?」ブルブル
ティータ「ルカヴィが弱ってる……!?」
ミルウーダ「……」ゼェゼェ
ティータ「私が……私がやらなきゃ!」グッ
ティータ「ミルウーダさんを……みんなの想いを守るんだッ!」チャキッ
――――カッ
ティータ「!? な、なに!?」
317:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/24(日) 00:34:57.28:v/RXV4mAO
ハシュマリム「ぐっ!? 眩しい!」
ティータ「剣から光が……溢れて!?」
ミルウーダ「んっ、な、何が……」
『ミルウーダ』
ミルウーダ「え……?」
『ミルウーダさん』
ミルウーダ「その声は……」
『ミルウーダ』『ミルウーダ様』『ミルウーダさん』
『……妹よ』
ミルウーダ「みんな……!」
319:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/24(日) 00:40:21.75:v/RXV4mAO
ティータ「これは……骸旅団の人達の声……」
『君のおかげだぜ』
ティータ「……え」
『剣に宿った私達の想いを、君が「引き出した」んだ』
『あたし達は、いつも傍にいる』
『どんなに離れていても、例え死に別れても』
『私達は骸騎士団だ。そうだろ? ミルウーダ』
ミルウーダ「兄さん……ッ」ポロポロ
321:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/07/24(日) 00:41:52.34:fDaqBmcX0
ハシュマリム「想いを……引き出すだと!?」
『ティータ君、さあ、号令を』
ティータ「は、はい!」
ティータ「全軍、抜剣ッッ! 敵を殲滅せよッ!」
ハシュマリム「ぐうぅ……! 小娘がぁぁあッ!!」グォォッ
ティータ「骸騎士団、突撃――ッ!!」
『オオオォォォ――――ッ!!』
ハシュマリム「ぬぐぁぁぁぁあッ」グァッ
ドゴォ―――――ッッン
325:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/24(日) 00:53:07.31:v/RXV4mAO
ハシュマリム「ば、馬鹿な……」ビッ…ジジッ
ティータ「私達の勝ちです……!」
ハシュマリム「み、認めぬぞォォー!」ジジジ…
ッドゴォォォォォォンッッ――
ティータ「……ふう」クタ
ミルウーダ「ティータ」
ティータ「ミルウーダさん……」
ミルウーダ「……ありがとう」ギュッ
ティータ「……」ギュッ
326:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/24(日) 01:26:53.28:v/RXV4mAO
ギィンッ カシィンッ
『ぎゃああッ!?』
北天騎士団剣士「て、敵襲ッ!」
北天騎士団黒魔「敵は何人なんだよ!?」
ザルバッグ「チィッ! 灯りを落とされたか……」
『ぐぁあああ!!』『ぎぎゃっ!?』
ザルバッグ「敵の狙いは相討ちだ! 皆、静まれ! 灯りを点けるのだ!」
北天騎士団闘士「ザルバッグ様、お一人は危険です!」
北天騎士団騎士「我らがお守り致します!」
『まんまと尻尾を出したな。ザルバッグ、そいつらが敵兵だ!』
北天→近衛騎士団闘士「くッ!?」
北天→近衛騎士団騎士「その声はダイスダーグ!」
ダイスダーグ「貴様らが満身創痍なのは筒抜けだ。今日夜襲を仕掛けてくる事も、予想の範疇よ!」
331:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 12:52:23.89:sVhoZX+AO
ルザリア近衛騎士団闘士「囲まれたか……」ザッ
ルザリア近衛騎士団拳士「全員倒すつもりだったから、丁度良かったぜ」ポキポキ
ルザリア近衛騎士団弓兵「フ……そうだな」キリキリ…
ザルバッグ「あくまで抵抗するか……王妃は良い兵を持ったな」
ルザリア近衛騎士団騎士「我々だけなら1日も保たずに落城していた。いや、貴殿らが攻めてきた時、既に逃げ出していただろう」
ルザリア近衛騎士団白魔「私達はガフガリオン殿のおかげで、最期まで戦う決心がついた。この戦い……勝たせてもらいます!」チャキッ
ダイスダーグ「小癪な! 奇襲にも失敗し、どこに勝算があると言うのだ!」
『俺の奇襲作戦がいつ失敗したってンだ?』
ザルバッグ「! 兄上を守れぇッ!!」
333:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 13:07:00.85:sVhoZX+AO
『神に背きし剣の極意……その目で見るがいい……』
ザルバッグ「兄上――ッ!!」
――――ザシュッッ
ガフガリオン「総大将が面見せンじゃねぇ!」
ダイスダーグ「ぐぐ……ぅ」ブシュッ
ガフガリオン「チェックメイトだ! 大人しく投降してもらおう!」
ルザリア近衛騎士団闘士「ダイスダーグは我らの手に落ちた! 我々の勝ち」
ザグッ
ルザリア近衛騎士団闘士「だ……あ?」グラッ
ドサッ
ガフガリオン「な!? 何してンだてめぇ!」
334:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 13:14:10.83:sVhoZX+AO
ザッ
ダイスダーグ「ガフガリオン、お前程の者が影武者なぞに引っ掛かるとは……ヤキが回ったな」
ガフガリオン「!!」
ルザリア近衛騎士団騎士「か、影武者だと……」
ルザリア近衛騎士団衛生兵「じ、じゃあ、私達の捨て身の作戦は……」
ダイスダーグ「お前達は、私の掌で踊っていたに過ぎない」
ガフガリオン「ダイスダーグ――」
ダイスダーグ「やれ」
『ぐぁぁああ――ッ!?』
335:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 13:26:46.56:sVhoZX+AO
ザシュッ――――
ルザリア近衛騎士団剣士「――――え」
アグリアス「ルザリア近衛騎士団、アグリアス・オークス推参!」
ザルバッグ「新手だと!?」
ガフガリオン「な、何故ここに!?」
アグリアス「友軍の奮闘を黙って見ているのは、やはり性に合わくてな。無理を言って先行してきた」
ガフガリオン「……フン、遅ぇンだよ」
アグリアス「アリシア、ラヴィアン、遅れずについて来い! 今こそ正義を示す時だッ!!」
339:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/25(月) 14:20:54.97:3mZt2ACuo
グォングォン…ッ
アルテマ「ウオオオォォォォ――――ッ!!」
ジャギ「!」
アルテマ「ハシュマリムゥ……オマエモ逝ッテシマウノカ!?」
ジャギ「ヴォルマルフが死んだか……これで貴様らの野望も」
ゴゴゴゴゴゴ…………ッッ
アルテマ「感ジルゾ! オマエノ無念、怒リ、溢レ出ル哀シミヲ……!!」ジジッ
ジャギ「な、光が……!!」
ドゴォォォオオ――――ンッ
聖大天使アルテマ「殺ス……生キトシ生ケル穢レ共……全テッッ!!」バチチッ
340:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/25(月) 15:02:52.14:okRHu/LIO
ジャギ「哀れな……力を求めるあまり、俺より醜くなるとは」
アルテマ「力ダ……モット、モット力ヲ!!」ゴゴゴ…
ジャギ「! 空間が縮んでいく!?」
アルテマ「貴様ヲ殺シ、冥界ト地上ヲ繋グツモリダッタガ……モウヨイ!!」
アルテマ「冥界ノ全テヲ取リ込ミ、我ガ血肉トシテクレルッ!!」クワッ
ジャギ「……フ」
アルテマ「……ナニガ可笑シイ」
ジャギ「……なに、貴様を見ていると、昔の俺を見ている気分になってな」
スス……ピタッ
ジャギ「力とは己が内に眠っているもの! それを呼び覚まさずして強くなる事はできん!」カッ
344:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 21:11:28.54:sVhoZX+AO
アルテマ「己ノ内ニダト? 人間ノ力ナドタカガシレテイル!」
アルテマ「故ニ奴ラハ人間ヲヤメタ! アジョラトカイウ人間モナ!!」
ジャギ「ああ、その通りだ。貴様の言う通り人間は弱い! そうやって、俺も一度は魂を悪魔に売った!」
ジャギ「だがな、そういう弱い面も含めて人間なんだ! 強くなくったっていい!」
ジャギ「人間は独りじゃねぇ! 支えあえるんだ!」
アルテマ「ナニヲ戯ケタ事ヲ……貴様ハ独リデハナイカ!」
ジャギ「貴様にはそう見えるか?」ユラッ
アルテマ「ム!? コ、コレハ!?」
346:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 21:33:12.68:sVhoZX+AO
ジャギ「はぁぁぁ……!」スゥゥ…
アルテマ「奴ガ何人ニモ見エル……! 幻覚魔法カ!? ソノヨウナ虚仮威シッ!」グワッ
スゥ――ッ
ベキャァッ
アルテマ「!? グァァッ!?」
『激流を制するは静水……』
ジャギ「これはトキ兄者の拳」スゥッ
アルテマ「ググ……ッ! ナラバコレハ受ケキレルカッッ!!」カッ
ドゴォォォォ――――ッッ
ジャギ「ぬうぅぅぅんッッ!!」ゴアッッ
北 斗 剛 掌 波
347:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 21:46:31.45:sVhoZX+AO
シュウウ…………
アルテマ「バ、馬鹿ナ!?」
ジャギ「これがかつて目指した兄ラオウの拳だ」シュゥゥ…
ジャギ「俺は独りではない。この胸に兄弟への、仲間への……ミルウーダへの想いがある」
アルテマ「想イガ何ニナルトイウノダ!! 力ガ無ケレバ、想イナド何ノ役ニモ立タン!!」
ジャギ「まだわからないのか!! 心こそが力を生むという事が!!」
アルテマ「燃エヨ我ガ憎悪!! 力ノ噴流トナリテ全テヲ喰ライ尽セェ――ッ!!」ゴガガガ
348:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 22:56:25.69:sVhoZX+AO
……
ミルウーダ「……ん」パチ
ティータ「気がつきましたか?」
ミルウーダ「あれ……ここは?」
ティータ「オーボンヌ修道院です。ミルウーダさんはエリクサーが効いて眠っていたんです」
ティータ「アルマも無事です。が、まだ目が覚めなくて……」
ミルウーダ「そっか……」
ミルウーダ「! 魔法陣が!?」
ティータ「はい、時と共に輝きを増しているんです……」
ミルウーダ「なんて禍々しい光……」
ティータ「魔法陣を破壊する方法はないんでしょうか?」
ミルウーダ「わからない。わからない以上、私達にできるのは、ルカヴィの親玉を倒しに行く事ぐらいね……」
349:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 23:10:30.58:sVhoZX+AO
ドドドドドド……ッッ
アグリアス「道を開けよ! 聖光爆裂破ッ!!」カッ
『ぐあああぁ!?』
ルザリア近衛騎士団闘士「……うッ、ぐ!?」
アグリアス「衛生兵と白魔法使いは負傷者を連れて後退せよ! ラヴィアン、援護せよ!」バッ
ラヴィアン「お任せを!」タタッ
アグリアス「ハッハッ!! もっとだ! もっと迅くッ!」
チョコボ「グェーッッ!!」ダダダダ
350:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 23:19:49.18:sVhoZX+AO
ガシィンッ
ガフガリオン「ぐく……」ギリッ
北天騎士団重騎士「ぬううぁ……ッ!」ググッ
『滅びゆく肉体に暗黒神の名を刻め……』
ガフガリオン「! ッだあ!!」バッ
北天騎士団黒魔「始原の炎甦らん! フレア!」カッ
――ボゴァアッッ
ガフガリオン「ぐっはぁッ!?」ドサァッ
ダイスダーグ「追い詰めたぞ!! かかれッ!」
ガフガリオン「クソ――」
『ガフガリオン殿ォ――ッ!!』
ガフガリオン「!!」
アグリアス「掴まれぇ――――ッ!!」ダダダダ
ガフガリオン「あの馬鹿ッ!」バッ
352:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 23:29:18.35:sVhoZX+AO
――ガシッ
アグリアス「ぐぅ!?」ビキッ
ガフガリオン「ッあぁ!?」ビキッ
ダイスダーグ「愚かな! 鎧兜を装備した人間を、引っ張り上げれると思ったか!!」
北天騎士団兵長「バランスを崩したぞ! 撃て! 撃てぇ!」
ラッド「一人が駄目なら二人だぁぁあッッ!!」ドドドド
ガシィッ――
ガフガリオン「ら、ラッド!」
ラッド「迎えにきましたよ、団長!」ギュウッ
353:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県):2011/07/25(月) 23:38:10.46:b7XMdkR1o
ルザリアの夜が明けた。
アグリアスら先行隊によって、九死に一生を得た防衛軍だったが、
ザルバッグとダイスダーグを仕留め損なった事により、
苦境を打破できないまま、最後の籠城戦を迎える事となる。
勝敗は紙一重。
北天騎士団が攻めきるのが先か、オヴェリアの到着が先か、
最早勝負の行方は、誰にも予測できなかった……
355:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 23:52:22.52:sVhoZX+AO
……
ガフガリオン「何故俺を助けた」
アグリアス「……質問の意味がわからないな、何が言いたい」
ガフガリオン「何故ダイスダーグを殺しに行かなかった! あのタイミングで、アンタの腕なら、十分殺れたハズだ!」
アグリアス「それが助けてもらった人間の言葉かッ」
ガフガリオン「誰も頼んじゃいねぇ! 俺もアンタも利き腕をやっちまって最悪だ!!」
アグリアス「こ、このッ」
アリシア「アグリアス様、落ち着いて!」グイッ
ラッド「団長もです! 最悪なんて後ろ向きな言葉、団長らしくない」
ガフガリオン「俺は奇跡や偶然を信じない主義なンだ! 現実的に、今攻められたら凌ぎきれン……!」
アグリアス「……クッ」ギリッ
357:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 00:12:00.58:UDUSWVRAO
ラヴィアン「……でも」
ガフガリオン「……ン?」
ラヴィアン「でも、生きたいからアグリアス様の手を掴んだんでしょ?」
ガフガリオン「!」
アリシア「ラヴィアン、いいこと言った!」
ラヴィアン「ガフガリオン殿は自分の意志で生を選んだのです。それをひとの所為にするのは、お門違いでは?」
ガフガリオン「く……」
ラッド「団長」
ガフガリオン「なンだ!」
ラッド「俺は団長がいればこそ、この戦いに勝てると思って救援しました。団長なら、差し違えずとも勝てる方法を編み出せる筈です」
ガフガリオン「簡単に言うな! こんな状況、『死神』でも味方せン限りひっくり返せン!」
ガフガリオン「…………愚痴はこれぐらいにしとくか。死んだ連中の為にも、絶対に負けられンからな」
ラッド「団長……!」
358:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 00:40:41.33:UDUSWVRAO
……
ザルバッグ「よもや、これほど苦戦するとは思いませんでした」
ダイスダーグ「私もだ。かつて、ここまで読みが外れた事はない」
ダイスダーグ「……長かった戦いも今日で最後だ」サッ
ザルバッグ「……」コク
ザルバッグ「全軍に告ぐッ! これが最後の命令だ! 何としても城を落とせッ!!」
ザルバッグ「全軍ッ! 突撃ィッ!!」バッ
『オオオオオオォォォオッッ!!』
359:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 00:49:01.40:UDUSWVRAO
ドドドドド…
ガフガリオン「来たぞ……!」
アグリアス「覚悟を決めろ、後がないのは敵も同じだ」
ガフガリオン「……女のクセに、肝が座ってやがる」
アグリアス「褒め言葉として受けとろう」
北天騎士団騎士「見えた! ……二人だと!?」
北天騎士団戦士「がら空きじゃねぇか!! 一番乗りはもらったァ!!」
アグリアス「我らの守るこの城門――」
ガフガリオン「――通れるもンならやってみなッ!!」
360:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 00:59:47.27:UDUSWVRAO
ラヴィアン「槍組後退、盾組前へ」
アリシア「弓組構え、一斉にいくわよ……放てッ!」バッ
ヒュヒュヒュヒュ―ッ
『ぐぁ!?』『ぎゃあッ!!』ドボーンッ
ラッド「城壁に取り付かせるな! 本城を崩してでも石を落とせ!」ブンッ
先行隊戦士「おうッ!」ブンッ
先行隊騎士「ラヴィアン殿、やはり西門に少し兵を回した方が……」
ラヴィアン「アグリアス様達の心配ならいりません」
アリシア「それより、アグリアス様がせてくれたこの門……命懸けで守り抜くわよ!」
『オオオオォォ――ッ!!』
362:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 01:25:04.00:UDUSWVRAO
ザルバッグ「……何故だ、何故攻めきれぬ!」
『 敵 襲 !! 』
ザルバッグ「な!?」
ダイスダーグ「何」
ダァーンッ バズッ
ダイスダーグ「ッぐぁぁ!?」ガクッ
ムスタディオ「ちッ! 頭を狙ったんだがな!」
ラムザ「兄さ――んッ!!」ドドドド
ダイスダーグ「ラムザ……この愚弟がァぁぁぁ!!」ビキビキ
363:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 01:37:18.15:UDUSWVRAO
ザルバッグ「ラムザ!? させるか」
ガキィンッ
ザルバッグ「……くッ」キチチ
ディリータ「あんたなら、ダイスダーグを止めてくれると思ってたんだけどな」ググッ
カシィンッ
ザルバッグ「民は新たな指導者を求めている! その役目をベオルブが担う時が来たのだ!」
ディリータ「確かに新たな指導者が必要かも知れないが、それはあんた等じゃないな」
ザルバッグ「父上が目にかけていたとはいえ、やはり平民か……」チャキッ
ディリータ「ほら、そういう所。やはりあんた等にはイヴァリースを任せられないな!」ダッ
――ガキャァンッ
369:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 21:29:39.63:UDUSWVRAO
北天騎士団騎兵「……おい、本陣が騒がしくないか?」
北天騎士団騎士「後ろを向くな! 我らには前進勝利しかないのだぞ!」
北天騎士団騎兵「……いや! 間違いない! 本陣が攻撃されている!」
北天騎士団騎士「なにッ!?」
カキィッ
アグリアス「はぁ……ッ、敵陣の動きに乱れが生まれた!」
ガフガリオン「チィッ! 利き腕さえ万全なら」
ギャィンッ
ガフガリオン「……ッ、一気にカタをつけてやるのによォ!」バシュッ
370:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 21:46:35.79:UDUSWVRAO
『本陣強襲! すぐに反転するんだッ!!』
『今さら後戻りなどできん! 本陣を信じて攻撃を続けるんだッ!!』
北天騎士団分隊長「落ち着け! 隊を整えよ! ええい、こうバラバラでは埒があかないッ!」
北天騎士団騎士長「混乱による被害が拡大している……このままではマズい!」
『普天率土に宿りし神々の』
北天騎士団分隊長「な、なんだ……!?」
『五行に宿りし神々の』
北天騎士団騎士長「祝詞……賛美歌……?」
『震天動地の力、暴威をふるえ!』『震天動地の霊威を借りて唱えん……』
北天騎士団分隊長「あ……ああッ!?」
裏 天 魔 鬼 神
天 魔 鬼 神
371:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 22:02:25.78:UDUSWVRAO
アグリアス「――ッ!? 一体何が……」
ガフガリオン「分からン……が、魔法ともつかン魔力暴走に見えた」
『暴走じゃない。あれは世界の摂理を使って生み出した、純然なる力だ』
ラファ「その力を行使する者を天道士、天冥士という」
マラーク「マラーク・ガルテナーハ、ラファ・ガルテナーハ、義により助太刀する!」
アグリアス「ここにきて援軍だと……」
ガフガリオン「ハハ……勝てる、勝てるぞ!」
372:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 22:09:41.56:UDUSWVRAO
……
ティータ「駄目ですミルウーダさん! まだ腕は治りきっていないんですよ!」ガッ
ミルウーダ「行かせてティータ! 感じる……どんどん強くなるの」
ミルウーダ「この先にジャギがいる! ジャギは今、ルカヴィと戦ってるわ!」ググ
ティータ「行かせません! 私はミルウーダさんを犬死にさせる為に守ったんじゃありませんッ!」グイッ
ミルウーダ「でも! ジャギは独りで……」
『独りじゃない……!』
ミルウーダ「……え!?」
373:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 22:16:29.17:UDUSWVRAO
ミルウーダ(今……ジャギの声が……)
ティータ「ジャギさんは独りじゃありません……!」
ミルウーダ「ティータ……」
ティータ「ジャギさんの心には、いつもミルウーダさんがいる」
『ティータが、ウィーグラフが、旅団のヤツらがいる』
――故に、俺に恐怖はない――
アルテマ「!」ピクッ
ジャギ「災厄の化身よ、天に帰る時が来たのだ……!」
378:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 22:56:31.26:UDUSWVRAO
――ガキィンッ
ダイスダーグ「ぐうッ!?」ドサッ
北天騎士団精鋭「はぁぁァァッ!!」バッ
ラムザ「でやあぁぁぁッッ!」
ザシュッ
北天騎士団精鋭「かは……っ!?」ブシャッ
北天騎士団親衛隊長「ダイスダーグ様、お逃げ下さい! ここは我々がッ」
ダイスダーグ「く……」
ラムザ「何故ラーグ公を殺した!? 兄さんなら、こんな方法じゃなくても世の中を変えれた筈だろ!?」
ダイスダーグ「……暫く見ない内に成長したかと思ったが、まだ甘さが抜けないなラムザ!」ザッ
379:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 23:12:37.42:UDUSWVRAO
ダイスダーグ「権力とは、それより弱い権力に対しては絶対的な力を持つ」
ダイスダーグ「だがそれは、自分より強い権力には全くの無力という事も意味している!」
ダイスダーグ「権力で世界を変えたくば、王になる外ないのだ! どれだけ平民に慕われようと、蟻の軍勢など何の価値も無いッ!」
ラムザ「だったら兄さんの騎士団は何だッ! 兄さんの言う権力に、何ができたって言うんだ!!」
ラムザ「多くを虐げ、多くを殺し……それこそ、何の価値も無いだろッッ!!」
『――――黙れッッ!!』
ラムザ「!!」
ピシャッ――――ドォォォオオォンッッ
憤怒の霊帝アドラメレク「貴様等に何が分かるッ! 綺麗事ばかり並べる屑共が! そんなに正しい行いができるというならやってみろッッ!!」
380:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/26(火) 23:15:55.53:qIvpmI6To
ピシャァ――――ドォォォォンッッ
ゴォォオ……ビュォォオォオウンッッ
北天騎士団親衛隊長「あ、ああ……!?」
ザルバッグ「な、なんだあれは!?」
ディリータ「……ルカヴィ」
ザルバッグ「なに……!? ルカヴィだと!?」
アドラメレク「愚かな人間共ッ!! 我に従え! 平伏せよッ!!」グァァッ
ラムザ「……兄さんッ」ギュッ
382:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 23:25:31.87:UDUSWVRAO
北天騎士団指揮官「なんだッ!? この嵐は……!?」
北天騎士団歩兵「指揮官殿! あれを!?」
北天騎士団指揮官「む……ッ、な!? 化け物!?」
『あれはルカヴィ……かつて、イヴァリースを滅ぼそうとした伝説の悪魔だ』
北天騎士団指揮官「なっ、貴様らは」
アグリアス「一時休戦だ。このままでは、貴殿も私も死ぬ事となる」
ガフガリオン「つまらン事考えるなよ? ……生き残りたきゃ、言うとおりにしろ」
北天騎士団指揮官「り、了解」
384:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 23:41:09.15:UDUSWVRAO
ゴゴゴゴゴゴ――――ッッ
アドラメレク「天よ荒れろッ!! 地よ割けろッ!! 脆弱な人間共に我が力を見せつけろッッ!!」ブゥンッ
――ゴウッッ
『ギャアアアアァァ――――――』
アドラメレク「クククッッ!! カカカカカカカッッ!!」
ザルバッグ「くッッ、何故兄上がルカヴィに……」
ラムザ「ルカヴィは人の心の隙につけ込む。ダイスダーグ兄さんは、権力に対する執念につけ込まれたんだ……!」
ザルバッグ「俺がついていながら……ッ」ギリッ
ディリータ「後悔は後だ! 生き残りたかったら、ダイスダーグを倒すしかない!」ザッ
ムスタディオ「行こうラムザ。ザルバッグも、あんたの手で決着をつけるんだ」
ザルバッグ「…………ああ!」ザッ
386:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 23:55:15.47:UDUSWVRAO
北天騎士団弓兵隊「撃てッ! 撃てぇーッ!!」
北天騎士団騎兵隊「突撃だッ!! 全騎ぶちかませぇッッ!!」
――ブォォオオゥンッッ
『ぐあああぁぁぁ――――』
アドラメレク「カカカカッッ!! 我が身に触れる事すらままならぬとは!! 滑稽なりッ!!」
アドラメレク「このまま権力の象徴……ルザリア城を叩き潰してやるわッ!!」
『止まれッッ』
アドラメレク「…………誰に向かって命令しておる」
ザルバッグ「兄上……いや、ルカヴィ!! 兄上を誑かしたこと、後悔させてやるッ!」
ラムザ「イヴァリースはお前達には渡さない! お前達の野望もここまでだッ!」
387:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/27(水) 00:23:29.81:tmniFUiAO
アドラメレク「あくまで私に逆らうというのだな! よかろう、お前達の言い分はわかった」
アドラメレク「英雄ごっこは終わりだ! 王位も、最早どうでもいいッ!!」ポウッ
アドラメレク「完全復活した我が力、受けるがいい!!」カッ
――ドガァァアアァンッッ
アドラメレク「!」
マラーク「させねぇ……よ!!」シュウウ…
ラファ「この世界にあなた達の居場所はないわ! 冥界に帰りなさいッ!!」
392:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/27(水) 22:41:31.18:tmniFUiAO
アドラメレク「バリンテンの奴隷風情が粋がるなッ!」
ラファ「私達は奴隷として生きたりしない!! 人として戦って、人として死ぬわ!」
マラーク「俺達は……もう恐怖に屈したりないッ!」
アドラメレク「ならばその身に刻まれた恐怖、我が呼び覚ましてやるわッ!!」グォォ
ザシュウ――ッ
アドラメレク「ッ!? 私の身体に……傷を!?」ブシュッ
ラムザ「悪魔の恐怖は僕が破る……!」チャキッ
393:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/27(水) 22:54:53.52:tmniFUiAO
ラファ「ラムザ!」
ディリータ「奴にも剣が通る! 俺達も続くぞ!」
アドラメレク「愚か者共が調子にのりおってえッッ!!」ゴォォッ
北天騎士団戦士「……ひッ!?」ビクッ
ガフガリオン「怯むなッ!! 俺達が道を開く!!」ドドドド
アグリアス「恐れずに続け! 我ら一迅の風とならん!」ドドドド
北天騎士団拳士「我らも行くぞ!」
北天騎士団竜騎士「一生に一度、命を懸ける時があるならば、今こそその時だ!」
北天騎士団戦士「……ああッ」
アドラメレク「オオオオオォォォ!!」
ガフガリオン『はァァぁぁああぁッッ!!』アグリアス
――――カッ
394:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/27(水) 23:07:00.68:tmniFUiAO
―ゴォォォンッ
ルーヴェリア「助けて……助けて……」ガタガタ
ウワァァンッ ウワァァァンッ
ルーヴェリア「オリナス……」ギュッ
『姉上様』
ルーヴェリア「!?」ビクッ
ルーヴェリア「な、何者だ!」
オヴェリア「お初にお目にかかります、姉上。オヴェリア・アトカーシャにございます」
ルーヴェリア「オヴェリア? ……そうか! 妾と息子オリナスを殺しに来たか!」
395:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/27(水) 23:16:11.26:tmniFUiAO
オヴェリア「何故、そのようにお思いになられたのですか?」
ルーヴェリア「白々しい! 此度の戦、そなたの差し金であろう!」
ルーヴェリア「ベオルブをけしかけ、兄上を殺し、オリナスの即位を妨げるつもりであろうが!」
チャキ…
ルーヴェリア「オ、オリナスは殺させはせぬ……! 妾の、たったひとりの子供なのだ……!」カタカタ
オヴェリア「姉上……!」
ルーヴェリア「うわあああああぁぁ!!!!」
――ズグッ
ウワァァンッ ウワァァァアンッ
396:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/27(水) 23:26:34.98:tmniFUiAO
ブシャァァァァ……
――グブウッ
アドラメレク「効かぬ! 効かぬぞぉォォ!!」ブシッ…
ラヴィアン「切り落とされた腕を……無理矢理くっつけた!?」
ガフガリオン「ば、化け物が……ッ」ググッ
ラッド「団長!」
アリシア「いけません! そのお身体ではもう……」
アグリアス「放してくれ! この身が砕けようと、奴だけは倒さねばならんのだ……!」ガクガク
398:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/27(水) 23:44:34.09:tmniFUiAO
アドラメレク「無駄だッ! 聖大天使アルテマが目覚めし今、我が肉体は不死身!」
アドラメレク「幾万幾億の兵を持ってしても、この肉体は砕けぬ! 折れぬ! 朽ちぬッ!!」
『ならばその天球の因縁……断ち切ってやろう!』
アドラメレク「む!?」
ラムザ「オーラン!!」
オーラン「天球の運命をこの手で断ち切る! 我は我、汝は虚なれば……星天停止!」カッ
401:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/27(水) 23:57:07.21:tmniFUiAO
アドラメレク「グ!? 貴様、何をしたァ……!!」ガクンッ
ラムザ「ルカヴィの再生が止まった!」
ムスタディオ「オーラン! 助かったぜ!」
オーラン「……」
ムスタディオ「……オーラン?」
――ブシャッ
ディリータ「!? オーランッ!」
オーラン「……長くはもたないッ、今のうちに……早くッ」ブシッ
402:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 00:06:54.12:kDd2A16AO
アドラメレク「貴様如きに抑えられる霊帝ではないわあッ!!」グギギッ
オーラン「ぐあ……ッ!?」ガハッ
ラムザ「オーラ――ンッッ!!」
オーラン「……構うなッ、早く奴を……」ボタボタ
オーラン(義父上、ウィーグラフ……俺に力を!!)
アドラメレク「ぐぁぁぁああア……ッ!!」ブシッ
オーラン「カプリコーンは輝かぬ……!!」ブシャッ
403:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 00:25:43.61:kDd2A16AO
アドラメレク「人間がァ……人間風情が霊帝たる私をォ……ッ!!」ギギッ
ザッ
ザルバッグ「兄上……」
アドラメレク「……ザルバッグッ、貴様ァ!!」
ザルバッグ「兄上、もういいんだ。ベオルブの家名に縛られなくていいんだ」
アドラメレク「私が縛られているだと……? ふざけた事をぬかすなッ!!」グアッ
――バキィィッ
ザルバッグ「ぐがッ!?」ズザァァ
ラムザ「兄さん!?」
ググ…
ザルバッグ「家名なんかの為に魂まで汚さなくていいんだ……!」ザッ
ザルバッグ「王でなくとも、俺の兄さんは世界一偉大だったッ!」
404:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 00:57:18.53:kDd2A16AO
…………
ジャギ「……」ビリビリ…ッ
アルテマ「クカカカカカカ……!!」
ゴ……ォォォオオ…………ッッ
アルテマ「我、完成セリ……!」カッ
ジャギ「!」
――――ドガァァァッッ
アルテマ「究極……完全……! 力ノ化身トナリシコノ身体、如何ニ『オーディン』トテ傷一ツツケルコトハデキヌ!!」
ジャギ「……ペッ」
405:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 01:20:30.88:kDd2A16AO
ジャギ「魂だけの存在のクセに、身体身体騒ぐんじゃねぇよ」
アルテマ「コノ世界デノ肉体ハ、即チ魂ノ強サソノモノ!! 肉体ガ砕ケルトイウ事ハ、魂ガ消滅スルトイウ事ダ!!」
ジャギ「だりゃあッ!!」グオッ
アルテマ「ヌウンッ!!」ブォッ
――バキャッッ
ジャギ「ぐお……ッ」ドパッ
アルテマ「我ガ魂ハ傷付カヌ!! 我ニ敗北ハアリエヌッ!!」
『そいつは違うぜ』
――ピッ
アルテマ「!!」プシッ
ジャギ「魂に負った傷痕は生きた証。魂は傷付き磨かれ強くなる。そうやって人間は強くなるんだ」
ジャギ「貴様に見せてやろう! 哀しみを背負った人間の強さをッ!」ゴォッ
406:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 01:27:36.94:kDd2A16AO
アルテマ「! ヤツノ存在ガ……強ク!?」
ジャギ「ハァァァぁ……」ゴオオォ…
アルテマ「グ……ゴアアァァッッ!!」グァッッ
バチ……ッ バチバチッ
ジャギア『オオオォッッ!!』アルテマ
――グァギャッッン
ドガァァッッ――――
407:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 01:44:12.35:kDd2A16AO
バキィッッ ドギャァッッ
ジャギ「オラぁあ――ッッ!!」
――ベキャッッ
アルテマ「ガァッ!? 馬鹿ナッ、我ノ肉体ガ……ッ!!」ゴバッ
ジャギ「言った筈だッ! 心こそが力を生むと!」
ジャギ「心無き拳では、俺を砕く事はできない!!」
『認メヌッッ! 心ガ力ニ勝ルナド認メヌ!!』
アルテマ「我ハ聖大天使アルテマ!! 時空ヲ超エタ完全ナル存在デアル!!」
408:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 01:52:40.34:kDd2A16AO
ジャギ「ならば俺を倒して証明して見せろッ!」バッ
――震えろ、命つなぎ止める光
アルテマ「消シ去ル……!! 空間ゴトッッ!!」
力の塔となれ――
完 全 魔 法
ア ル テ マ
――――ッドオォォォォオオンッッッ―――――
ティータ「きゃあああ!?」ドサァッ
ミルウーダ「くうッ!? 魔法陣が!?」ビリビリッ
409:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 02:07:39.12:kDd2A16AO
――ブシャッ
オーラン「――――はぐッ!?」ドサァ
ムスタディオ「オーラン!?」
ギラッ
アドラメレク「グカカカカカッッ!!!! 兄弟ごっこも終わりだッ! 貴様ら全員皆殺しにしてやるわッ!!」ガシッ
ザルバッグ「がはっ!?」ミシッ
アドラメレク「魂を汚しただ!? どこまでも恥知らずな奴めッ!」ギリッ
ザルバッグ「――っっ」ギュウウ
アドラメレク「ん? どうした! さっきみたいに生意気な口をきいてみろッ!!」
『……こう』
アドラメレク「!」
ザルバッグ「おれも……ともにいく…………だから……ちちうえの……ところへいこう」
413:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 21:23:28.01:kDd2A16AO
アドラメレク「ク……ッ」ピクッ
ラムザ「…………兄さんの動きが」
アグリアス「止まった……?」
アドラメレク「父……上…………」
―――――ピキーンッ――――
アドラメレク「うぶぁ!?」ボコッ
414:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 21:55:12.07:kDd2A16AO
アルテマ「グオ!?」ボゴッ
――この世で最強のものは『無』
アルテマ「アッ……ガッ!?」ベキッベキャッ
されど、無はまた無力
アルテマ「ゴァァ……!?」ビキ…ビキッ
『無より転じて生を拾う』
アルテマ「ハ……ハ……」
アルテマ「ッグァ!?」グボッ
ジャギ「それが、北斗神拳究極奥義……」
―――――ピキーンッ―――――
無 想 転 生
415:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/07/28(木) 22:02:06.97:b0JhBq500
ブシャァァ……
アルテマ「バッ、馬鹿ナ……何故……何故我ハ負ケタ」ガクウッ
アルテマ「力カ……マダ力ガ足リヌト言ウノカ」
ジャギ「力ではない。心で負けたんだ」
アルテマ「マタ……心カ」
ジャギ「ああ。お前のように全てを拒絶する心では、空を掴む事はできない」
ジャギ「全てを受け入れろ。自身を空に捨て、宙に消し去り同化するんだ」
アルテマ「空ト……一ツニ…………」
パァァ……
アルテマ「……ァア……コレカ……コノ感覚」
アルテマ「心地良い……強張りが溶けてゆくようだ…………」
ジャギ「アルテマ……」
アルテマ「ようやくわかった。何故、私が負けたのか……」
『さらばだ……強敵よ…………』
ジャギ「ああ、地獄でまた逢おう」
――――カッ
ゴゴゴゴゴゴ――――――
グワァァアアアアアンッッ
418:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 22:23:33.62:kDd2A16AO
ブシュゥゥゥ……
アドラメレク「ぐ……ば……ッ」ガクゥンッ
ラファ「ルカヴィの身体に七つの傷が!」
『北斗七星……』
ムスタディオ「オーラン、喋るな! 死んじまう!」
オーラン「北斗七星は……死への道標…………ルカヴィには死あるのみ」ガクガク
ムスタディオ「わかった! わかったから!」
アドラメレク「身体が……動かぬ……ッ」グググ…
ザルバッグ「兄さん……」ヨタヨタ
ラムザ「兄さん、もう終わったんだ。もう、戦わなくていいんだ」
419:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 22:33:28.33:kDd2A16AO
アドラメレク「戦わなくていいだど……まだ私は負けてはいないッ!」グッ
ブシャァッ
ラムザ「兄さんッ!」
アドラメレク「ヌガアアアアァァッッ!!!!」ゴバァッッ
グオオオォォ――――ッッ
ズウウウウゥゥンッッ…………
『何故、私の拳が当たらぬとわかった……?』
ザルバッグ「……わかるさ」
ラムザ「その目は、僕らのダイスダーグ兄さんの目だ」
アドラメレク「……私の負けだ」
420:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 22:41:32.58:kDd2A16AO
アドラメレク「アルテマ亡き今、私の身体は間もなく消滅するだろう」
ザルバッグ「兄さん……」
アドラメレク「ザルバッグ、イヴァリースを頼んだぞ」
ザルバッグ「……はい!」
アドラメレク「ラムザ! やはりお前は父上似だ! 家名などなくとも、お前なら大成するだろう!」
ラムザ「に、兄さん……ッ」
アドラメレク「……アルマと仲良くな」ジジジ…
アドラメレク「さらばだ、弟達よ……!」パァァ
―――ドォォォオンッッ―――
421:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 23:04:48.82:kDd2A16AO
……
ルーヴェリア「オ、オヴェリア……貴女……」
オヴェリア「大丈夫です姉上。もう、怯えて暮らさなくてもいいんです」
オヴェリア「元老院も、諸侯達にも、姉上達を利用させません。私と、頼もしい仲間達が守ります」
オヴェリア「姉上はひとりではありません。だから……だから……」
カラーン
ルーヴェリア「あ……ああ……オヴェリア!」
ポタ…ポタ……
オヴェリア「共に……新しい国を…………」
ドサッ
422:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 23:32:01.30:kDd2A16AO
ルーヴェリア「オヴェリア! 何故抵抗しなかったの!?」
オヴェリア「ほ、ほら……震え、止まったじゃないですか」
ルーヴェリア「な、何を言って」
オヴェリア「人に信じてもらうって、すごく安心しますよね」
ルーヴェリア「馬鹿、こんな時に何を……」
オヴェリア「大丈夫です……この国は変わります……絶対に…………!」
ルーヴェリア「……」
ルーヴェリア「肩を貸すわ、立てる?」グッ
オヴェリア「はい。…………ありがとう、姉さん」ヨロ
424:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 23:45:19.27:kDd2A16AO
…シュゥゥ
ミルウーダ「魔法陣が消えた……」
ティータ「終わったんですね……」
アルマ「……ん」
ティータ「! アルマ! アルマよかった!」ギュウ
アルマ「てぃ、ティータ? ちょっと、苦しいよ……」
ミルウーダ「……」フッ
『見つけたぞ! 異端者ミルウーダ・フォルズ!』
ミルウーダ「異端審問官!?」バッ
ザルモゥ「今度は修道院荒らしか! 神をも怖れぬ殺人鬼共!」
426:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 23:59:52.62:kDd2A16AO
アルマ「思い出した……! 私は神殿騎士団に攫われて!」
ミルウーダ「アルマ、言っても無駄よ」
ティータ「異端審問官が釈明の余地を与えた事は、今まで無いらしいの」
ザルモゥ「デタラメをぬかすな! ……もっとも、貴様達のような凶悪犯なら話は別だがな!」サッ
ミルウーダ「15……16、キツいわね」
ザルモゥ「フハハ! 教会が誇る精鋭を連れてきた! 貴様とて勝ち目は無いぞ!」
ミルウーダ「く……利き腕さえ使えればッ」
『私抜きで精鋭とは、笑わせるわね』
――ドギャッ
ザルモゥ「あぐぇ!?」ドタッ
メリアドール「借りを返しに来たぞ! ミルウーダ・フォルズ!」
ミルウーダ「メリアドール!」
428:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 00:10:29.74:8fFlHmuAO
ザルモゥ「き、貴様! 自分が何をしているか分かっているのかッ!?」
メリアドール「分かっている。でなければ、教会に剣を向けたりしない」
スゥ……
メリアドール「貴殿こそ、誰を相手にしているか……分かっているのか?」チャキッ
ザルモゥ「ぐ……ぐぬぅ」
429:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/07/29(金) 00:15:20.18:74bXUQXjo
……
メリアドール「そう……父上はもう……」
ミルウーダ「これがヴォルマルフの聖石。これぐらいしか、形見になる物がなくて……」スッ
メリアドール「無理に形見を作らなくてもいいわ。それは貴女が持ってなさい」
ミルウーダ「メリアドール……」
メリアドール「いいことが、ひとつだけあったの」
ティータ「いいこと?」
431:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 00:35:49.78:8fFlHmuAO
キラッ
メリアドール「イズルードのネックレスがね、帰ってきたの」チャリ…
ティータ「それはいつ頃ですか?」
メリアドール「ミルウーダに負けた後にね、気が付いたら首に掛かっていたわ」
ティータ「きっと……きっとイズルードさんが『傍にいるよ』って言ってるんですよ」
メリアドール「……そうね」パカッ
メリアドール「あ……写真に……」
『メリアドール……不甲斐ない父を許してくれ』
メリアドール「お父さん……!」
『幸せにな……』
『姉さん……元気で…………』
432:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 00:47:14.24:8fFlHmuAO
極限状態で迎えた王都防衛戦8日目、
ルザリアには伝説の悪魔『ルカヴィ』が降臨し、
イヴァリースは、天変地異に見舞われた。
だが、北天騎士団と王国軍の決死の攻撃により、
人類は、ルカヴィの討伐に成功する。
このルカヴィとの戦いで総大将を失った北天騎士団が、
王国軍に降伏・帰属することにより、王都防衛戦は終結する。
そして……
433:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 01:03:41.85:8fFlHmuAO
ラムザ・ベオルブ
ディリータ・ハイラル
ムスタディオ・ブナンザ
アグリアス・オークス
ガフ・ガフガリオン
シドルファス・オルランドゥ
オーラン・デュライ
マラーク・ガルテナーハ
ラファ・ガルテナーハ
ウィーグラフ・フォルズ
ミルウーダ・フォルズ
ティータ・ハイラル
オヴェリア「そしてジャギ。この十二名を畏国王の名において、新生ゾディアックブレイブとする――!」
434:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/07/29(金) 01:07:55.80:Bv1PSJLoo
――戦士は剣を手に取り胸に一つの石を抱く
『ああ!? なんだてめぇは!』
消えゆく記憶をその剣に刻み
『……ッ、つ、強えぇ!?』
鍛えた技をその石に託す
『! あ、あれは……北斗七星の紋章!?』
物語は剣より語られ石に継がれる
骸騎士ミルウーダ「私の名を言ってみろッ!」
今、その物語を語ろう……
437:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 01:21:20.60:8fFlHmuAO
メットの男「おい、酒だ。酒を出せ!」ドカッ
酒場のマスター「ウチはガラの悪い奴はお断りだよ! 余所に行きな!」
メットの男「ぬぁに~?」
モヒカン「おいてめぇ! この方をどなたと思っていやがる!」
酒場のマスター「アンタらなんか知らないね! メットで顔隠してたら、誰かなんてわからないだろ」
メットの男「フッフッフ……」
バッ
酒場のマスター「そ、その傷は!?」
モヒカン「そうだ! この方こそ、死神と呼ばれた男、ジャギ様だ!」
450:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/29(金) 11:44:29.60:fsMCmaqIO
メットの男「この傷を見ても酒が出せねぇってのか!?」チャキッ
酒場のマスター「だ、出せます! 今すぐに!」
モヒカン「おいオヤジ! 酒だけで済むと思ってんのか!? ワビの金も持ってこい!」
酒場のマスター「そ、そんな……」
メットの男「お前、死にたいようだな!」グッ
酒場のマスター「ひ!?」
トクトク……
メットの男「!? なっ、冷てぇ!?」ビチョ
ミルウーダ「少し頭を冷やしなさい」
456:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 12:35:31.04:8fFlHmuAO
モヒカン「このアマ! ジャギ様に何しやがる!」
ミルウーダ「あらごめんなさい。あまりに小物だったから、あの死神とは気付かなかったわ」
メットの男「このクソアマ! 死にやがれ!」グッ
カシン
メットの男「……あ、あれ!?」カシカシッ
ミルウーダ「いくら引き金を引いても、撃鉄が無ければ弾は出ないわよ」シュッ
モヒカン「痛ッ」
ゴトッ
ミルウーダ「消えなさい。私の剣が貴方の喉笛を喰らう前に……!」
457:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 12:53:58.76:8fFlHmuAO
旅人「撃鉄だけ切り落とした……!?」
賞金稼ぎ「あの女……何者だ!」
酒場のマスター「ああ!? 北斗七星の紋章は!!」
メットの男「ほ、北斗七星って事は……まさかッ」
――私の名を言ってみろ――
モヒカン「ゾディアックブレイブの……骸騎士ミルウーダ!?」
458:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 13:08:43.88:8fFlHmuAO
……
ミルウーダ「……はぁ、期待した分落胆も大きいわね」
ミルウーダ「ジャギがもういないなんて……どうしても、認められない……」
ミルウーダ「世の中が忘れていっても……私は…………」
「おい、聞いたか? 隣街を荒らしてたマフィアが壊滅したんだと!」
「知ってる知ってる! 何でも、胸に七つの傷を持つ男が一人でやったとか!」
ミルウーダ「七つの傷……?」
ティータ「ミルウーダさーん! 隣街でジャギさんらしき人を見たって人が!」タタタ
ミルウーダ「……行くわよ! ティータ!」
THE END
464:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2011/07/30(土) 13:06:14.40:7eO3uKIo0
=ゼルテニア 酒場=
カランカラン
マスター「いらっしゃい、ゆっくりしてってくれ」
コツコツコツ…
ギ…
ガフガリオン「……お前さンから呼び出されるとは、思っても見なかったぞ」
「……」
ガフガリオン「どうせ仕事の話だろ? 忙しいンだ、手短に頼む」
「……」
「……ガフガリオン、もう一度、共に戦ってくれ」
ガフガリオン「……どのツラ下げて言ってンだ? オルランドゥ」
オルランドゥ「……」
ガフガリオン「お前らが俺にした事、忘れたとは言わせンぞ……!」
ガフガリオン「お前らから除隊処分を受けて以来、俺はイヴァリース中の騎士団に見放され、傭兵として生きる事を強いられた……!」ギリッ
ガフガリオン「それを今になって手を貸せだ? 虫が好すぎるだろがッ!」パリンッ
『ああ!? お客さん困るよ!』
カチャカチャ…
ガフガリオン「……次はどンな死地に送り込むつもりだ? ベスラ要塞か? それともラーグ公暗殺か?」
オルランドゥ「ガフガリオン、私は確かにお前に死地に赴く事を頼もうとしている……」
オルランドゥ「だが、お前一人を死地に送り込む真似だけは決してしない。必ず私が先陣を切ろう」
ガフガリオン「だからお前は俺の背中を守れってか? その手は食わねえよ」
オルランドゥ「私の背中は守らなくていい」
ガフガリオン「……ン?」
オルランドゥ「私が道を開く、お前はオヴェリア様の盾となれ」
ガフガリオン「オヴェリア王女だ……モガッ」
オルランドゥ「……」
ガフガリオン「……どういう事だ」
オルランドゥ「場所を変えよう……」
バルバネス・ベオルブ
シドルファス・オルランドゥ
五十年戦争時、戦力で優るオルダリーア軍を幾度となく退け、
戦況を覆し続けたイヴァリースの英雄である。
これは、私達が知っている歴史。
では、私達の知らない歴史……史実はどうだろう。
英雄は、本当に二人だったのだろうか……?
=オルランドゥ家=
オルランドゥ「あちらに居られる方が正真正銘、オヴェリア・アトカーシャ王女その方だ」
オヴェリア「ガフ・ガフガリオン殿ですね、お初にお目にかかります」
ガフガリオン「……」
アグリアス「ガフガリオン殿、王女の御前であるぞ」
オヴェリア「良いのです」スッ
ガフガリオン「オルランドゥ、お前正気か?」
オルランドゥ「……何がだ」
ガフガリオン「俺は傭兵、どこぞの間者とも限らンだろう。それを王女の前にほいほい通すとは……」
チャキッ
ガフガリオン「つくづく甘チャンだぜ!」
オルランドゥ「……」
アグリアス「……」
ガフガリオン「…………脅しは通用しない、か」
ガフガリオン「……いいだろう、要件を聞こう」
オヴェリア「ありがとうございます」ペコッ
ガフガリオン「と、その前に質問に答えてくれンか」
オヴェリア「何でしょうか?」
ガフガリオン「……何故、俺がアンタを斬らないと分かったんだ?」
オヴェリア「それは単純な話です」
オヴェリア「これから、私は貴方の命を預かります。だから、私の命も貴方に預ける事にしたのです」
ガフガリオン「!」
オヴェリア「私達は、これよりイヴァリースを建て直す為に立ち上がります」
オヴェリア「……ガフガリオン殿、共に戦って下さい」
ガフガリオン「……」
オヴェリア王女の話は『絵空事』だった。
ラーグ公の力を借りず、ゴルターナ公にもつかず、
教会の後ろ盾も無しに、イヴァリースの政治を変えると言う絵空事。
夢は美しい程叶わず、現実は憎たらしい程残酷である。
俺は知っている、『世の中の望まない英雄は生まれない』と。
ガフガリオン「アンタ、本当にその絵空事が実現できると思ってンのか……?」
世間知らずのお姫様は微笑んだ。
「貴方が共に戦って下さるなら、必ずイヴァリースは生まれ変わります」
……まったく
ガフガリオン「ガフガリオンだ、呼び捨てでいい」
=リオファネス城=
バリンテン「……つまり、異端者共の反撃を食らい、逃げ帰ってきたんだな?」
マラーク「……はい」
バリンテン「おまけに兵を一人捕らえられるとは……」
『この大馬鹿者がッ!!』
バチンッ
マラーク「……くッ」
ラファ「兄さん! この……!」キッ
バリンテン「なんだ? その反抗的な目は!」
バリンテン「わしに逆らうというのか!? ええ!?」
ラファ「……ッ」ギリッ
バリンテン「傭兵は忠誠心など持っておらん! 今頃、命惜しさに洗いざらい吐いておるわ!」
バリンテン「奴らはドラクロワを殺した根っからのテロリスト! 大公であるわしであろうと構う事なく襲いかかってくる!」
マラーク「殿下、私に今一度チャンスを……!」
バリンテン「寝ぼけた事をぬかすな愚か者! 敵前逃亡する者にチャンスなど……」
バリンテン「……」
マラーク「……殿下?」
バリンテン「よかろう、お前達にチャンスをやる」
マラーク「! 本当ですか!?」
バリンテン「ああ本当だ。奴らを仕留めさえすれば、今回の失敗も全て不問とする」
マラーク「ありがとうございます!」バッ
ラファ「……」
バリンテン「ラファよ、不服か?」
ラファ「……この戦い、必ずや死闘となります。もし生き延びたところで、ただお咎め無しだけでは割に合いません」
マラーク「こら、ラファ!」
バリンテン「……よい」
ツカ…ツカ…
バリンテン「お前は口癖のように言っていたな……私達を解放しろと」
バリンテン「育てた恩も忘れたかと、再教育を試みたりもしたが……」
ラファ「……」ブルッ
『まぁ……よいだろう』
ラファ「……え」
バリンテン「異端者共の撃退に成功した暁には、お前達兄妹がリオファネスを出る事を許そう」
マラーク「殿下!?」
ラファ「それは本当ね!?」
バリンテン「ああ、どこへなり行くがよい」
バリンテン(……ククク)
……
ラファ「……」
『ラファ』
ラファ「……兄さん」
マラーク「隣、座るぞ」
ラファ「うん」
ザッ
マラーク「……」
ラファ「……」
マラーク「……らしくないな」
ラファ「え……」
マラーク「俺の知ってるラファは、自分可愛さに誰かを殺したりしない」
ラファ「……」
ラファ「もう……限界なの」
ラファ「バリンテンに焼かれた痕が疼く度、私の中のを真っ黒なモノが駆け巡るの」
ラファ「このままじゃ、私……みんなを殺しちゃう」
マラーク「……ラファ」
ラファ「……でも、ミルウーダ達を倒せば私達は自由になれる」
マラーク「殿下は約束を守ってくれるかな……」
ラファ「……」
ラファ「ミルウーダとジャギは、世界中を敵に回す一級テロリスト。狙われて生き延びるのは難しい」
ラファ「多分、バリンテンは私達をぶつけて、その隙に行方を眩ますつもりなのよ」
マラーク「あの殿下が逃げると言うのか?」
ラファ「バリンテンは勝てない戦はしない。必ずリオファネス城を放棄するわ」
ラファ「その隙を突いて私達は自由になるッ! 異端者の首を取って、大公の手のとどかない処へ羽ばたくの!」グッ
ラファ「……くぅ」ズキッ
マラーク「ラファ、火傷が痛むのか?」
ラファ「少し……体を冷やしすぎたみたい」
ギュ…
ラファ「兄さん……」
マラーク「昔……孤児だった頃は、二人こうやって身を寄せ合ったっけな」
ラファ「……うん」
マラーク「あの頃の俺達と、今の俺達……どっちが幸せだっただろう」
ラファ「……」
ラファ「きっと、これからの私達よ」
マラーク「……そうだな」
ギュッ
ラファ「兄さん、暖かい……」
マラーク「……」
ギュ…
ラファ「……」
マラーク「……」
ラファ「今夜は星が綺麗ね」
マラーク「そうだな、本当に綺麗だ」
ラファ「あの星なんか、特に……」
マラーク「北斗七星の傍らの星か?」
ラファ「そう、蒼く強く輝いて……」
マラーク「蒼星よ、我ら兄妹を導きたまえ……」
ラファ「進むべき道を照らしたまえ……」
うわぁ…
それ見ちゃダメだよ…
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/24(金) 00:07:15.84:rF9QJmQAOそれ見ちゃダメだよ…
ガガガガガガガガッッ
ティータ「きゃっ!? なんなんです!? あの銃は!?」
ミルウーダ「弾倉を回転させる事で装填、発射、排莢を連続化させる……考えたわね」
リオファネス機工士「どうだ!! イヴァリースの勢力図さえ変える機関砲の威力はッ!!」
リオファネス砲術士「機関砲が量産されれば、魔術も剣術も無用になる! 兵器と数が戦局を支配する時代が来るのだ!!」
ガガガガガガガガガッッ
ティータ「きゃあ!?」
リオファネス砲術士「ウハハハハ!! バリンテン大公殿下万歳ー!!」グルグル
『確かにソイツが沢山ありゃあ戦局は傾くかもな』
リオファネス砲術士「あァ?」
ジャギ「だが、ソイツじゃ戦争は終わらない。何故か分かるか?」
リオファネス砲術士「なんだテメェ!」
リオファネス機工士「時代遅れのモンク風情が……死ねぇ!!」グッ
ガガガガガガガガガガガッ
ジャギ「ォォオオ……ッ!!」ゴウッ
アァ タタタタタ
タタタタタ タタタタタタタッッ
タタタタタタタ
ジャギ「アタァァッ!!」コツッ
――ィンッ
リオファネス機工士「はぐッ」ビズッ
ジャギ「北斗百裂拳……」
リオファネス砲術士「ぶぺ……」カラカラ…
ドチャッ
ミルウーダ「拳で弾丸を打ち返した……!」
ジャギ「その玩具には魂が無い。魂無き攻撃では人の心を砕く事はできん」
……
ジャギ「流石は『武器王』の居城、兵器や罠がわんさか有りやがる」
ティータ「侵入者を惑わす為でしょうか、似たような景色が続きますね……」
ミルウーダ「傭兵を雇ってるだけあって、異大陸の戦士も多いわ。長期戦は危険ね」
『いたぞ! こっちだーッ!!』
ジャギ「ちッ、少しは休ませてくれよ」
ミルウーダ「警備が厳重になってきたわ、バリンテンは近いわよ!」
=イグーロス ベオルブ家=
ザルバッグ「ラーグ公を!?」
ダイスダーグ「静かに、声が大きい」
ザルバッグ「……」
ザルバッグ「何故、閣下を暗殺するなどと言うのです?」
ダイスダーグ「閣下がオリナス王子の即位を急いでいるのは知っているな?」
ザルバッグ「はい。それが何か……」
ダイスダーグ「閣下には摂政という権威しか見えていない。今、王子を即位させれば、ゴルターナ公は必ず宣戦布告してくる」
ザルバッグ「馬鹿な!? 王家を敵に回すというのですか!?」
ダイスダーグ「王家にどれほどの権威が残っている? 摂政を立てる時点で、アトカーシャ家は名ばかりの王家だ」
ダイスダーグ「世は力ある者が支配する時代となったのだ。それは五十年戦争が終わった時から、皆が認めている事実だ」
ザルバッグ「しかし……それでは、ベオルブの正義はどこに……」
ツカ…ツカ…
ダイスダーグ「だからこそ、私達ベオルブが正義を示さねばならん」
ザルバッグ「ですが、兄上」
ダイスダーグ「聴け、ザルバッグッ!」
ザルバッグ「!」ビクッ
ダイスダーグ「摂政の座に就こうとするラーグ公と、それを止めようとするゴルターナ公、両者のどこに正義がある」
ダイスダーグ「戦場で傷付くのは戦士達で、戦争のしわ寄せを食らうのは民百姓だ」
ダイスダーグ「子供の喧嘩とは訳が違う。獅子が争えば、イヴァリース中の民が巻き込まれるのだ」
ザルバッグ「……」
ダイスダーグ「今こそ不正義を正す為、ベオルブが先頭に立つべきではないか……?」
ザルバッグ「……はい!」
……
『実の弟すら謀る……か。恐ろしい男よ』
ダイスダーグ「私を侮辱しに来たのか? ローファル」
スッ
ローファル「褒めたつもりだったのだがな、切れ者の考える事はわからんな」
ダイスダーグ「何用だ、私は忙しい」
ローファル「なに、一つ朗報をな」
ダイスダーグ「朗報だと……?」
ローファル「オルランドゥが謀反を企てているらしい」
ダイスダーグ「何!?」
ダイスダーグ「それは本当なのか!?」
ローファル「動機まではわからないが、ゴルターナに話を通さず兵を集めているようだ」
ダイスダーグ「まさか忠犬から動いてくれるとは……嬉しい誤算だ」
ダイスダーグ「これで王家の政治は終わる……! ベオルブの時代が幕を開けるのだッ!!」
ゴウ…ゴォォ…
ローファル(ククク……流石は稀代の奸臣、凄まじい魔闘気よ……)
=リオファネス城 中層階=
ジャギ「北斗飛衛拳!!」バッ
ガキィンッ
リオファネス竜騎士「たわばっ!?」ゴシャッ
ジャギ「ピョンピョン跳ね回りやがって……」スタッ
――カルラの猛炎、雲壌を埋め尽くす
怨敵調伏、金剛炎を出現させ――
ジャギ「!?」
邪
を
炎の滝となり地を焼かん
き
尽
く
さ
ん
ミルウーダ「詠唱!? 退避ーッ!!」
阿 修 羅
裏 阿 修 羅
思い切りズレた……死にたい
SS速だとスペースも使い勝手が違うんですね
ガルテナーハ兄妹の活躍の前にご飯食べてきます
64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/06/26(日) 20:24:31.21:GSjG+bZAOSS速だとスペースも使い勝手が違うんですね
ガルテナーハ兄妹の活躍の前にご飯食べてきます
乙です!
今からご飯なのか ゆっくりどうぞ
65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/26(日) 22:03:24.96:nHZkMMEAO今からご飯なのか ゆっくりどうぞ
グワァァアアンッッ
ミルウーダ「……っく」パラッ
ティータ「うぅ……」
ジャギ「城ごと吹っ飛ばすつもりかよ!?」ガランッ
『黒竜王その哮りを嵐となせ……』
ミルウーダ「連続詠唱!?」
ジャギ「クソがッ!!」ボゴォッ
マラーク「破邪の印! 裏天鼓雷音!!」
カッ――ドォォオンッ
パラ…
ジャギ「グ……なんて威力だ……」バラッ
ラファ「異端者ジャギ、ミルウーダ」
マラーク「我ら兄妹の自由の為に……死んでもらうぞ!」
ザッ
ミルウーダ「自由? 私達の首と自由に何の関係があるの?」
マラーク「異端者の首と言えば、将軍の首と同等!」
ラファ「その手柄を持ってルザリアへいけば、バリンテンでも私達を虐げられなくなる!」
マラーク「俺達はお前達を倒して……人間らしく生きるんだッ!!」
『私達を倒して人間らしく……?』
ミルウーダ「その程度の覚悟で私達を倒すなんて、到底無理ね」
ラファ「あ、貴方たちに何が分かるの!?」
マラーク「俺達はバリンテン大公に……」
『言い訳なんて聞きたくないわ』
マラーク「!」
チャキッ
ミルウーダ「例えバリンテンから逃れても、貴方たちは一生飼い犬よ」
ラファ「ッッあああああああああ!!」
ティータ「ミルウーダさん!」
スッ
ティータ「……ジャギさん?」
ジャギ「よく見ておけ、あれが哀しみを知る戦士の背中だ」
『悪鬼羅刹、天水をゆるがし』
『天水の龍爪となりて引き裂かん』
ミルウーダ「……」
ティータ「! ミルウーダさんの背中に……」
ラファ「その爪で引き裂かんッ!!」
マラーク「塵なる身を知れッ!!」
水 磨 龍 穴
裏水磨龍穴
―――ッ パァンッッ
ティータ「ミルウーダ……さん?」
ラファ「死んだわね」
マラーク「首どころか跡形もなくなっちまったがな」
ティータ「そんな……ミルウーダさーんッ!!」
ラファ「次は貴方の番よ、ジャギ!」
マラーク「我が一族の秘術、受けるがいい!」
ジャギ「……やはりお前達では俺達に勝てん」
マラーク「何ッ」
『貴方たち兄妹の心は二人でありながら孤独……』
ミルウーダ「でも私には兄さんや骸旅団……皆への想いがある」スウッ
ラファ「!? 虚空から姿が」
夢 想 稲 妻 突 き
ブシャァ――
ラファ「かはぁッ」ガクッ
マラーク「ラファ……ゴフッ!」ベチャッ
ザッ
ミルウーダ「……」
マラーク「ここまで……か」
ギュゥッ
マラーク「無念だ……ッ! こんな……こんなところで死ぬなんて……!」
ラファ「兄さん……」グスッ
ペシッ
マラーク「っつう!?」ビクッ
ミルウーダ「何諦めムードになってんのよ」
ラファ「でも、私達は貴方を殺す気で……」
ミルウーダ「そうだったかしら?」
ラファ「……は」
ミルウーダ「もしそうだったとしても、今はどう? 私を殺したい?」
マラーク「それは……」
ミルウーダ「……なら、いいじゃない。人は生きている限り、何度でもやり直せるのよ」
マラーク「……」
ラファ「……」
ジャギ「勝負あったな」
……
ラファ「恐らく、バリンテンはこの城を既に脱出しているわ」
ジャギ「何ィ?」
マラーク「バリンテンは大公でありながら、ラーグ・ゴルターナ両公との権力争いを避ける程の慎重な男」
ラファ「エルムドア殺しの貴方たちに狙われるとなれば、居城を捨て行方を眩ますに決まってるわ」
ジャギ「じゃあ今頃は、王都にでも転がり込んでるって寸法か」
ミルウーダ「やられたわね……」
ジャギ「バリンテンが居ないなら、こんな所に用はねぇな」
ミルウーダ「そうね、援軍が来る前に退散しましょう」
ティータ「……」
ミルウーダ「……ティータ?」
ティータ「ちょっと引っかかるんです……」
ジャギ「何がだ」
ティータ「そんなに慎重な人が、逃げ隠れするだけなんて、不安要素を残す真似をするでしょうか……?」
ミルウーダ「……とはいえ、バリンテンの傭兵軍団も私達が」
――――ドォンッッ
ティータ「きゃあ!?」ドテッ
ジャギ「爆発音!?」グラッ
ドォンッ
グワァァンッッ
ラファ「バリンテンの奴、この城諸共私達を爆破する気だったのね……!」グラグラッ
ミルウーダ「急いで脱出を」
――ドゴォンッッ
ミルウーダ「……!?」
ジャギ「ッ……大丈夫か?」ダラッ
ミルウーダ「ええ……」
グラァ…
マラーク「城が……傾いて!?」
ジャギ「下から爆破するとは、つくづく嫌な奴だぜ……!」
ラファ「く……崩れるッ!?」
マラーク「とにかく上だ! 上に逃げるんだッ!!」ダッ
ミルウーダ「ティータ、さあ早く!」ギュ
ティータ「は、はい」タタ
ジャギ「……」
ミルウーダ「ジャギ!! 何してるの!?」
『ミルウーダ……俺はどうやらここまでみてぇだ』
ミルウーダ「……え」
ティータ「ジャギさん……何言って」
ジャギ「ティータ、ごめんな。俺……もう」
ティータ「止めて下さいッ!!」
ティータ「私の知ってるジャギさんは、どんな結果になっても最後まで戦う格好いい人です!」
ティータ「私の前では……ヒーローでいて下さい……!」
ジャギ「ティータ……」
『ありがとう…………そして……ごめんな』
ジャギ「北斗八悶九断……!」ガパッ
ジャギ「かつて弟に突かれた秘孔により、俺の体は徐々に蝕まれてきた」
ジャギ「そして……今まさに俺の頭上の死兆星が落ちようとしている!!」
ミルウーダ「死兆星……!?」
ジャギ「北斗七星の傍らの蒼星、死兆星。死期が近くなると見える星だ」
――北斗七星の傍らで輝く、一際明るいあの星だ――
ミルウーダ「じゃあジャギは、あの夜から……」
ジャギ「俺はバリンテンの仕掛けた火薬を取り除きに行く。お前らは最上階まで駆け上がれ」
ミルウーダ「い、嫌よッ!!」
ティータ「ずっと一緒だったのに、こんな所で別れるなんて……」
ジャギ「ッラぁ!!」バゴォッ
ジャギ「お前らと過ごした一年半、まんざらでもなかったぜ」
ミルウーダ「ジャギッ!! 私を守ってくれるんじゃないのッ!?」
『……生きろよ』
バッ
ミルウーダ「ジャギ――――ッ!!」
あァ……
痛てぇ……
左眼の涙腺は決壊しちまったし
アタマが弾けちまいそうだ……
『ジャギ……』
幻聴か……声が聞こえてくる……
『ジャギ、天に帰る時だ』
『愚弟が……死して何を成さんとする』
あれは……兄者達……
ジャギ「……まだ、まだ死ねねぇッ! もう少しだけ時間を……!」
ズキ…ズキ…
ジャギ「どこだ……どこに隠しやがったァー!!」
ジャギ(あれだけ爆発したにも関わらず、城が倒壊に至っていない……)
ズキッ ズキッ
ジャギ「痛ぇ……痛えッ!!」
ジャギ(城塞と化したリオファネス城が、バリンテンの想像を超えた強度だったのか……?)
ジャギ「! これは!?」
ボム「グァァ……!」
ボム「ググゥ……!」
ジャギ「そういう事か……バリンテンッ!!」
ボム「グガァッ!!」
ザシュッ
バシュッ
ブチャッ
『ぐぁぁああああッッ!?』
=リオファネス城 最上階=
ラファ「爆発が止んだ……?」
ティータ「ジャギさんが……止めてくれたのでしょうか」
――ゴゥ……ッ
ミルウーダ「!!」
マラーク「……大きな流れ星だったな」
ミルウーダ「……ジャギに死兆星が落ちた」
ラファ「え……」
ティータ「……ッくぅ」グシッ
…………
バリンテン「おかしい……爆発が止まりおった」
リオファネス兵「残党がボムにやられたのでしょうか?」
バリンテン「何の為にボムを投入したと思っている。奴らの事だ、ストップでも掛けたのだろう」
リオファネス砲撃士「閣下、準備が整いました」
バリンテン「うむ」
リオファネス兵「! まさか、城内にボムを放ったのは……」
バリンテン「フフ……これなら確実に木っ端微塵よ」
リオファネス砲撃士「大砲用意!」
バリンテン「よく狙えよ、着弾と同時に爆発させた者には褒美を遣わす」ニヤリ
リオファネス砲撃士「撃てぇッ!!」
ドンッ ドォンッッ
バゴォッ ドカァッ
ガラガラガラ…
バリンテン「何をしておる! 城に当ててもボム共が爆発せねば意味が無いであろう!」
バリンテン「馬鹿者が……さっさと次を放たんか」
バリンテン「何をモタモタしておる!」
メラメラ…
バリンテン「ん……? 火事か?」
メラメラ…ッ
リオファネス兵「こっちに近づいてきます!」
バリンテン「ボムが逃げ出しおったか!」
リオファネス兵「にしては……炎が大きすぎます!」
ダァーンッ
バリンテン「はぐっ!?」ビズッ
リオファネス兵「閣下!?」
リオファネス砲撃士「敵襲だ! 敵は銃を持っているぞ!」
リオファネス近衛兵「あの炎を狙え!」カチャ
ダーンッ ダーンッ
メラメラ……ッ
リオファネス兵「!? な……なんだあれは!!」
メラメラメラ……
ボム「グギギ……」ガジガジ
ズル…
ズル…
ジャギ「ォ……おれ……の…………名ヲ」ズル…
リオファネス兵「ボ、ボムに纏わりつかれたまま……ここまで来たのか!?」
バリンテン「ひぎっ!? こ、殺せ!!」
リオファネス近衛兵「撃て!! 撃てぇ!!」
ダァーン ダァーン
ジャギ「ッ、ッ」ビズッビズッ
リオファネス近衛兵「ふ、不死身か!?」
ジャギ「……」チャキッ
リオファネス兵「閣下をお守りしろッ」バッ
グワンッ
ジャギ「……」ブシャッ
リオファネス砲撃士「脳漿垂れ流しじゃ飽きたらず、右手までぶっ飛ばすとは……」
リオファネス騎士「その根性は認めるが、今更何もできまい」チャキッ
『……の…………ようニ……』
リオファネス騎士「な、なんだ……」
ジャギ「おれの顔のように醜く焼け爛れろ……!」
ボム「グギャ!?」ベキャッ
リオファネス兵「な!?」
バリンテン「やめ」
ジャギ「さらばだ」
――――ッ グワァァアアアアンッッッ――――
……
マラーク「俺達が願いを掛けた星が、死期を知らせる星だったとは……」
ラファ「……」
マラーク「……ラファ?」
ラファ「……兄さん、バリンテンを倒しましょう」
マラーク「! お前、バリンテンへの恐怖は?」
ラファ「体中に焼き付けられたバリンテンへの恐怖は消えない……」カタカタ
ギュウッ
ラファ「でも、その恐怖に立ち向かわない限り、死兆星は必ず私に落ちる……!」
ラファ「私、もう逃げない。必ず運命を変えてみせるわ!」
ラファ「兄さんは……どうなの?」
マラーク「……」
マラーク「まだ残っているんだ……あの時のぬくもりが」
ラファ「死体の山から救い出された時の?」
マラーク「……ああ」
マラーク「あの時の手は……俺にとって何にも代え難い『親のぬくもり』だった」
マラーク「俺とラファを拾ってくれた事への感謝は、何があっても消えはしないよ……」
ラファ「兄さん……」
ギュウッ
マラーク「だけど、だからこそ、俺は思い出にこの手で別れを告げるッ!」
マラーク「ラファ、遅くなったけど、俺はあの日から前に進むよ」
――ドカァッッ
ティータ「きゃあ!?」
ラファ「爆発!? じゃない!」
ドカァッ
マラーク「ぐうッ! リオファネス城が砲撃を食らっているのか!」
ミルウーダ「バリンテンはルザリアへ逃げたんじゃなく、大砲部隊を率いてどこかに潜んでいたのね……!」
マラーク「くッ」タタタッ
ミルウーダ「マラーク!?」
マラーク「今こそバリンテンを討つまたとないチャンス……! 俺はこの機に賭ける!」
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「私も行くわ。ジャギの分も……私らしく生き抜いてみせる!」
……
タタタタッ
マラーク「はッ! はぁ……ッ」タタタッ
ラファ「砲撃が……ッ」タタッ
ミルウーダ「止んでる……」タタタッ
ミルウーダ「!? この森の中で炎!?」ザッ
マラーク「はぁ、はぁ……新兵器か……?」
グワァァァアアアンッッ
ラファ「きゃッ!?」ビリビリ
ティータ「い、一体何が……」
ミルウーダ「……」
ゴォォ… メラメラ…
ティータ「ケホッ、ケホッ」
マラーク「火薬が手違いで爆発したのか……?」
ミルウーダ「いいえ、さっきの爆発はボムが死に際に見せる爆発よ。そこら中、油に近いボムの体液が飛び散ってるでしょう?」
ラファ「でも、ボムではあれほどの大爆発は……」
ミルウーダ「見た事無いかしら、人の血を啜ったボムが爆発するとどうなるか」
ミルウーダ「血を啜って魔物が力を得るように、ボムの炎もより勢いを増し、より強く炸裂する」
ミルウーダ「それに、さっきの爆発は複数のボムが密集して自爆したせいで、あれほどの大爆発になったみたいね」
マラーク「何故そんな事が分かる?」
ミルウーダ「バリンテンが城の爆破に使ったのが、火薬ではなくボムだからよ」
ミルウーダ「そうでしょ、バリンテン」
バリンテン「ひッ、ひひッ!?」ビクッビクッ
マラーク「バリンテン……!?」
バリンテン「ひ……ッ、ひいッ」ガクガク
ミルウーダ「そう、この焼け爛れた死に損ないがバリンテンよ……」
ラファ「ジャギが……」
ラファ「……ジャギがやったのね」
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「う……っ」ザッ
ミルウーダ「うあああああぁぁ……!!」
メラ…メラ…
ジャギさん…
113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/29(水) 00:12:03.70:lwka3z5AOバリンテンが息絶えると、ラファとマラークの死兆星は、
夜空に消えていったという……
私には、どんなに目を凝らしても、
見る事ができなかった。
貴方が私みたいだと言ってくれた死兆星が、
貴方の北斗七星に寄り添う姿を……
ドラクロワ枢機卿、エルムドア侯爵、バリンテン大公。
権利者の死が相次ぎ、二頭の獅子の均衡は、
今まさに崩れようとしていた。
だが、猛き獅子達は、己れの身を食い破らんとする
虫の存在に、まだ気付いていなかった……
そして稀代の謀略家ダイスダーグは、『獅子殺し』を実行に移す。
To be continued
乙!
誰ぞ、聖石をもてぃ!!
123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/06/30(木) 22:24:26.12:u+0uLZUAO誰ぞ、聖石をもてぃ!!
=ゼルテニア城=
ゴルターナ「何故、兵を出さん!」
オルランドゥ「閣下の為を思えばこそ、兵を動かす事はできませぬ」
ゴルターナ「今動かねば、ラーグの奴が摂政の座に就くのだぞ!? それを黙って見ていろというのか!」
オルランドゥ「お言葉ですが閣下、今挙兵するという事は、北天騎士団だけでなく王家をも敵に回す事になります」
オルランドゥ「そうなれば、ルザリア近衛騎士団はもちろん、神殿騎士団や各地諸侯が王家につく可能性は決して低くありません」
オルランドゥ「最悪の場合、我々の陣営から鞍替えする者も出ましょう」
ゴルターナ「ぐ……」
ゴルターナ「雷神の台詞とはとても思えんな……臆したかオルランドゥ」
オルランドゥ「戦は一人ではできませぬ。それに、先の大戦の傷はまだ癒えておりません。民達の為にも、今は力を合わせて」
ゴルターナ「その話は聞き飽きたわ! オルランドゥ、お前には失望した」
ガチャッ
南天騎士団兵「失礼致します」
ゴルターナ「この者を牢に」
南天騎士団兵「ハッ、お断り致します」
ゴルターナ「……なに!?」
ゴルターナ「これは命令であるぞ! さっさと連れて行かぬか!」
南天騎士団兵「聞けません。オルランドゥ様を投獄する事は、閣下の命に関わります」
ゴルターナ「なんだと?」
オルランドゥ「お忘れですか? エルムドア候に次いで、バリンテン大公が何者かに殺されたのです」
オルランドゥ「我々の手の者でないのであれば、ラーグ公側の者の可能性は十分にあります」
ゴルターナ「…………次は私、かもしれぬと」
ゴルターナ「……良いだろう、見事護ってみせよ」
オルランドゥ「ハッ!」バッ
ゴルターナ(このままでは終わらぬぞ……)
=フォボハム平原=
ミルウーダ「……」
『……生きろよ』
ミルウーダ「……」ギュウッ
ティータ「ミルウーダさん」
ミルウーダ「ティータ……」
ティータ「また……ジャギさんの事を考えてたんですか?」
ミルウーダ「……」
ティータ「私、ジャギさんが死んだなんて、どうしても思えないんです」
ミルウーダ「……ティータ」
ティータ「いつも一緒にいるのが当たり前だったからでしょうか、今でも振り返ればジャギさんが居る気がするんです」
ティータ「でも、不思議と振り返ってみようと思わないんです」
ミルウーダ「……」
ティータ「多分、そこには本当にジャギさんが居るんです。私達の傍に……」
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「ティータ、ありがとう。こんな情けない姿、ジャギに見せられないわよねっ」
ティータ「ミルウーダさん……!」
…
ミルウーダ「ゴルターナはオルランドゥ伯のおかげで、オリナス王子の即位を阻止しに今日まで動いていない。これは分かるわ」
ミルウーダ「でも、ラーグが未だに王子を即位させれていないのは引っかかるわね」
ラファ「ラーグ公も、ゴルターナ公らの攻撃を警戒しているのかしら?」
ミルウーダ「この局面まで来て、それはまず無いわ。一触即発の場面でも、ラーグは王子即位を強行していたもの」
ティータ「ラーグ公側にもオルランドゥ伯のように、戦争を止めようとする人物がいたのでしょうか?」
ミルウーダ「もしくは、ラーグに取って変わろうという獅子身中の虫かもね」
ミルウーダ「急ぎましょう。ティータの友達が危ないわ」
ティータ「アルマ……」
=イグーロス ベオルブ家=
ラムザ「兄さん達は城にいるんだな?」
使用人「はい」
ディリータ「街の人達の様子を見ると、ラーグ公はまだ無事みたいだ。急ごう」ヒソ
ラムザ「ありがとう、下がってくれ」
使用人「はい、失礼致します」ペコ
ムスタディオ「さ、イグーロス城へ」
『ラムザ兄さーん!』
ラムザ「この声は……」
アルマ「ラムザ兄さん!」タタタ
ラムザ「アルマ、久しぶ……おわ!?」
アルマ「突然姿を消して……心配したんだから!」ギュッ
ラムザ「……ごめん」ナデ
アルマ「……」ギュッ
ラムザ「……そろそろ放してくれないか?」
アルマ「……」ギュウッ
ディリータ「いや、お構いなく」
ムスタディオ「なんなら席を外すぜ?」
空気読むなwwww
142:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/04(月) 12:47:39.38:5Tjv0CtAO…
アルマ「じゃあ兄さん達は、ダイスダーグ兄さんがラーグ公を……暗殺するかも知れない、と?」
ラムザ「家族として、兄さんを信じたい気持ちは僕にもある。でも、ベオルブの家名を第一に考える兄さんが、この混乱期を見逃すとは思えないんだ」
アルマ「……」
アルマ「ダイスダーグ兄さんは、ラーグ公暗殺をザルバッグ兄さんに命じていたわ」
ラムザ「! ザルバッグ兄さんに!?」
ラムザ「それで、ザルバッグ兄さんは何て?」
アルマ「……」
ラムザ「……アルマ」ポン
アルマ「…………暗殺を承諾したわ」
ラムザ「!!」
アルマ「ダイスダーグ兄さんはラーグ公だけでなく、王家すら打倒する野望を持っているわ」
ディリータ「王家を!?」
ムスタディオ「おいおい、そりゃ無茶じゃねぇのか?」
ラムザ「……いや、今ならそれも不可能じゃない」
ムスタディオ「おいおい、何言って……」
ディリータ「オルランドゥ伯が、ゴルターナ公の暴走を止めてくれているだろ」
ムスタディオ「王子の即位を妨害する為に、ゴルターナ公が戦争を仕掛けるだろうって話か。それがどうしたんだ?」
ディリータ「ゴルターナ公は動かない。南天騎士団の妨害が無い今、北天騎士団のルザリア攻略を阻む物はなにも無い」
ムスタディオ「待て、いくらなんでも王都の危機となったらゴルターナ公も動くだろ。それに、イグーロスとゼルテニアじゃ距離が…………あ!」
ラムザ「北天騎士団と南天騎士団、どちらがルザリアに早く着くか。答えは北天騎士団の圧勝さ」
ディリータ「確かに距離だけで言えば、ゼルテニアの方が近い」
ディリータ「だが、その道程は砂漠や山岳地帯ととても険しく、兵の消耗も激しい」
ディリータ「対してイグーロスは多少森があるだけで、ほとんど平野が続く。どちらの進軍が速いかは明白だ」
ラムザ「それに、南天騎士団は北天騎士団出陣の報を受けてから動く。その頃には少なくとも、ユーグォの森を越えている筈だ」
アルマ「兄さんは、ダイスダーグ兄さん達を止めに行くのね」
ラムザ「ああ、アルマは」
アルマ「私も行く!」
ラムザ「アルマ!?」
ディリータ「駄目に決まってるだろ! 下手すりゃ死ぬんだぞ!」
アルマ「だったらなおのこと引き下がれないわ!」
ラムザ「アルマッ!」
アルマ「!」ビクッ
ディリータ「アルマ」
アルマ「ディリータさん……」
ディリータ「お前はティータの事を親友と呼んでくれた。だから、俺はお前を死なせる分けにはいかない」
ディリータ「頼む。俺とティータの為に、ここは退いてくれ」
アルマ「……」
アルマ「……わかりました」
ディリータ「ありがとう、アルマ」
アルマ「そのかわり、三人とも生きて帰ってください」
ラムザ「ああ、約束する」
アルマ「…………」
――――
……暗い
闇を燃やしたような、光の無い景色
耳に響く魔の者達の慟哭
ここは……どこだ……
ゴウン…ゴウン…
――――
=イグーロス城=
イグーロス兵士「何故……何故謀反など!」
ザルバッグ「何故? では逆に問うが、己が欲望の為に生まれて間もない王子を即位させようとするラーグ公の、どこに正義があるのだ」
イグーロス兵士「……っ」
ラーグ「ルーヴェリア王妃は政治に私情を持ち込みすぎた! 故に私がイヴァリースの政治を……」
ザルバッグ「ならば、ルーヴェリア王妃や元老院に意見すれば良いだけの事。何故、いち国士として王家を正そうとしないのです」
ラーグ「物事には手順がある! それを踏まなければ、国の秩序が乱れる!」
ラーグ「国を直すには力が必要だ。それも武と政、両方の力が!」
ザルバッグ「政の力とは何です! 大方、王家に取り入って得た摂政の地位の事でしょう!」
ラーグ「それの何が悪い! 古より政は優秀な王が行ってきた。今、王家に優秀な人間がいないなら、私が代わりに政を取り仕切るまでの事!」
ザルバッグ「それのどこに正義がある! あなたが本気で国を想っているのなら、革命を起こす事だって可能な筈!」
ザルバッグ「そうしないのは現状に甘んじているからだッ!」チャキッ
ラーグ「殺せッ! 国家に対する反逆だ!」
ザルバッグ「ラーグ、覚悟!!」
ザシュッ
『ぐぁぁぁあッ!?』
……
ディリータ「ちッ、遅かったか!」
ムスタディオ「北天騎士団が寝返ったんだ、衛兵なんかひとたまりもないぜ!」
ラムザ「ラーグ公は! 兄さんより先に見つけないと!」
『誰を探しているって……?』
ラムザ「!? 誰だ!」
ローファル「はじめまして、になるかな? ベオルブの末弟、ラムザよ」
ラムザ「神殿騎士団……! 何故ここに!?」
ディリータ「これではっきりしたな。オヴェリア王女誘拐の前から、ラーグ公とベオルブ家には教会が関与していたと!」
ローファル「……貴様ら、異端者ミルウーダの仲間か」
ラムザ「敵か味方かなら、味方だ」
ローファル「……フッ」
ローファル「まさか、オヴェリアを匿っていたのが別の人間だったとはな……!」ゴウッ
ムスタディオ「来るぞ!」
=ベオルブ家=
家政婦「ティータ! 今までどこに行っていたの!」
家政婦「せっかくバルバネス様が、ご好意で貴族学校に入れて下さったのに……」
ティータ「お説教は後でいくらでも聞きます。それより、アルマがどこにいるかしりませんか?」
家政婦「アルマ様? 先程までラムザ様達と話をしてらしたけど……」
ティータ「ラムザさんと?」
使用人「ええ、ディリータと久しぶりに戻ってらして……確かイグーロス城に行くとか」
ティータ(きっとアルマはラムザさん達を追ったんだわ!)
ティータ「ありがとう!」タタタ
家政婦「しばらく見ない間にいい顔になって……」
使用人「きっと、いい巡り合わせがあったんですよ」
…………
ムスタディオ「くそ……弾切れだッ」
ディリータ「はぁ……はぁ……」ジリッ
ローファル「クク……もう終わりか?」
ラムザ「まだだ! 僕達はダイスダーグ兄さんを止めなきゃならない!」チャキッ
ローファル「ラーグ公なら助からん。貴様らが来る前に、ザルバッグ率いる北天騎士団が、ラーグ公の執務室を包囲していた」
ローファル「それより自分達の心配をしたらどうだ? たった三人で我ら神殿騎士団を突破できるとでも?」
ローファル「命が惜しくば、オヴェリア王女の居場所を教えろ。断れば殺す。聖石を奪うだけでも、我々には十分な成果だからな」
ディリータ「ラムザ、言うなよ」
ムスタディオ「奴らはどちらにせよ、俺達を殺すつもりだ」
ラムザ「ああ、もちろんだ」
ローファル「……あくまでも逆らうか、いいだろう」
ローファル「望み通り殺してやれッ!」
神殿騎士団剣士「かかれッ!」
『オオオォォー!!』
ラムザ「くッ!?」
――大気満ち、翻る森羅万象
ムスタディオ「!」
ディリータ「この声は!?」
神殿騎士団兵「ひ、光が!?」
ローファル「聖魔法だと……!」
アルマ「小さき命を守りたまえ! マバリア!」
神殿騎士団剣士「怯むな! 数は我々が圧倒的」
ラムザ「やぁぁあッ!」
ガキィンッ
神殿騎士団剣士「は、速いッ」ギギッ
ザシュッッ
神殿騎士団剣士「がはっ……!?」ドサッ
ラムザ「ナイスディリータ!」ダッ
ディリータ「突っ込むぞラムザ!」ダッ
神殿騎士団兵「つ、強い!」
神殿騎士団戦士「魔法一つでここまで強化されるものなのか!?」
ラムザ「アルマ! あれほど待っていろと……」
アルマ「でも、私がいなかったら死んでたわ!」
ディリータ「ラムザ、アルマの言う通りだ。今はアルマの力を借りるほか、俺達に道はない」
ラムザ「…………僕から離れるなよ!」
アルマ「うん!」
――――
ゴウン…ゴウン…
深淵に響く無機質な音
緩慢に、しかし止まる事なく鳴り続ける
そうか……
あれはきっと回っているんだ……
ゴウン…ゴウン…
――――
……
ティータ「アルマー!!」
ラファ「ティータ、あまり大声を出さないの」
ティータ「でも、アルマを探しに来たんですから、何はともあれ見つけないと仕方ないですよ」
ラファ「それはそうだけど……」
マラーク「だが、兵士に見つかって戦闘になると面倒なのも事実だ」
マラーク「もっとも、イグーロス城は今まさに戦闘の真っ最中みたいだからな。兵士に出くわさないってのは無理な話か」
ミルウーダ「……」
ラファ「どうかした?」
ミルウーダ「……ちょっと、ライオネル城の事を思い出していたの」
ラファ「ライオネルというと、ドラクロワの居城?」
ミルウーダ「ええ。あの時、私達ははじめてルカヴィに遭遇したの」
マラーク「ルカヴィって、あの伝説の悪魔か?」
ティータ「はい。ドラクロワ枢機卿は聖石の力でルカヴィに転生し、私達に襲いかかってきました」
ラファ「でも、どうして急にそんな話を?」
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「この城に漂う空気がそっくりなの。恐らく、私達の進む先にルカヴィがいる……!」
……
アルマ「デスペナ!」パァァ
ディリータ「いいぞアルマ!」
ラムザ「お前の魔法は既に無力だ! 大人しく投降しろ!」
ローファル「……ふむ」
ローファル「やはりあの者が鍵のようです」
ムスタディオ「鍵……?」
『聖天使を倒した一族に転生するとは……見つからぬ訳だ』
ラムザ「誰だ!?」
ヌゥ…
ヴォルマルフ「ヴァルゴとの共鳴……間違いないようだな」
ディリータ「暗闇から現れた!?」
ムスタディオ「なんて濁った目をしているんだ……!」
ラムザ(この感覚……ドラクロワの時と同じだ)
ラムザ「気を付けろ! 奴は聖石の力に飲まれている!」
ヴォルマルフ「力に飲まれる? それは違うな」バチッ
ビリビリビリッッ
――――ッドォォォォオンッッ
ハシュマリム「私は聖石の力で蘇ったのさ、ククク!」
ラムザ「これが……ルカヴィ!」
ドォォォンッ
ティータ「!」ゾクッ
ラファ「どうしたの?」
ティータ「……きた」
ラファ「え……?」
ミルウーダ「ルカヴィ……!」タタッ
マラーク「お、おい! 一人で動くのは危険だ!」
タタタタタ…ッ
ミルウーダ「ここかッ!!」バンッ
ミルウーダ「……!」
『ミルウーダ・フォルズ……』
メリアドール「イズルードの仇……ッ」ギリッ
ミルウーダ「神殿騎士団……!?」チャキッ
マラーク「ミルウーダ!」タタタッ
ラファ「! 神殿騎士団が何故ここに!?」
ミルウーダ「大方、ダイスダーグの謀反がうまく行くよう、暗躍してたんでしょう」
ミルウーダ「今回は何? ラムザ・ベオルブや私達の介入の妨害?」
メリアドール「妨害……それは口実に過ぎない」
メリアドール「ミルウーダ・フォルズ! 貴女に決闘を申し込む!!」ビッ
メリたんきたー
189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/06(水) 00:36:36.71:fS6b+wcAOマラーク「馬鹿な!? 数の利を捨てて決闘だと!」
メリアドール「私が望むのはただ一つ、弟イズルードの仇討ちのみッ!」
メリアドール「さあ、舞台に上がるがいい! ミルウーダ・フォルズ!」
ミルウーダ「……貴女、それでいいの?」
メリアドール「……何がだ」
ミルウーダ「貴女が死んだら、そっちに控えている兵達も死ぬのよ。貴女の下らないエゴの所為で」
メリアドール「下らないだと……!」
メリアドール「肉親の仇を討つのが下らない事だと!? 貴様それでも人間かッ!」
ミルウーダ「仇討ちなんて、遺された人間が感情を整理する為の行為に過ぎないわ! その為に巻き込まれる人達の事も考えなさい!!」
メリアドール「綺麗事を……ッ」
メリアドール「……これを聞いてもまだそんな事が言えるかしら?」
ミルウーダ「……え」
メリアドール「貴女の兄を……ウィーグラフ・フォルズを殺したのは……」
『この私だ……!』
ミルウーダ「!!!」
メリアドール「わかったら剣を抜け! ミルウーダ・フォルズ! 兄の仇は目の前にいる!」
ミルウーダ「…………い」スラッ
メリアドール「ようやくその気に……」
チャキッ
ミルウーダ「仇討ちなんて誰も望んでいないッ!!」
北 斗 天 帰 掌
メリアドール「……!」ゾクッ
ミルウーダ「我が兄、ウィーグラフはオヴェリア王女と聖石の守護を立派に果たし、天に帰っていった……」
ミルウーダ「貴女に敗れようとも、男として誇り在る死を遂げた!」
ミルウーダ「志を貫いた生涯に、一片でも悔いが残るかッッ!!」
ティータ「……ミルウーダさん」
メリアドール「……では」
メリアドール「何故、貴女は泣いているの……?」
ミルウーダ「……ッ」グシッ
ティータ「ミルウーダさん」
ミルウーダ「……ティータ」
ティータ「それ以上、哀しみを背負わないで」
ミルウーダ「……」
――ミルウーダ
ミルウーダ「ティータ、ありがとう……」
ミルウーダ「でも、私は『この』哀しみも背負っていくわ……!」
ミルウーダ「それが……未来を託してくれた人達への手向けだから」
ツカ…ツカ…
メリアドール「……ようやく死合う気になったのね」
メリアドール「イズルードの為、そして私が先に進む為……貴女を討つッ!!」チャキッ
ツカ…ツカ…
ミルウーダ「……これ以上、貴女にかける言葉はないわ」ツカ…
ザッ
ミルウーダ「伝えるべき事は、この剣に込める!」チャキッ
メリアドール「ハァァァァ……」ゴゴゴ…
ミルウーダ「ァァァアアア……」ゴゴゴ…
ティータ「ミルウーダさ」
――ガキィッッン
ラファ「なッ!?」ビリビリッ
メリアドール「でやァッ!!」
ミルウーダ「はぁッッ」
――バキィィンッッ
ギィッッ ガキンッッ
メリアドール「ふッ! はッ! どうした! 防戦一方じゃないッ!」ギッ ガキッ
ミルウーダ「せッ! てッ!」ギンッ カシッ
メリアドール「我が剣の真髄は装備破壊! この剛剣……いつまで受けられるかしらッッ!!」
グオッッ――
――――ガキィンッ
マラーク「剛剣を……」
メリアドール「…………くっ!?」ギギッ
ミルウーダ「ふ……ッ」ギギッ
ティータ「受け止めた……!!」
ミルウーダ「ォォォォオオオオッッ!!」グァッ
カシィンッ
ミルウーダ「てやぁぁぁッッ!!」バッ
無 双 稲 妻 突 き
メリアドール「ぐぅぅ……!! この閃光は!?」ガキィィンッ
メリアドール「う……ウィーグラフ……!」
メリアドール「ハッ!?」バッ
――ゥゥウウウ ズドォォォンッッ――
メリアドール「これは……」
ミルウーダ「……」チャキッ
メリアドール「イズルードの急降下……!!」
メリアドール「く……っ!? イズルードの影が重なる……!」
ミルウーダ「……」ザッ
メリアドール「っ!」ジリッ
ラファ「剛剣のメリアドールが退いてる……!」
ティータ「ミルウーダさん……!」
メリアドール「私は……私は……ッ」
――姉さん
メリアドール「私はお前の分まで生き抜いてみせるッ!!」グォァッ
メリアドール「うああああああぁぁぁあああッッ!!」グォッッ
ミルウーダ「……」
マラーク「危ない! 避けろッ!」
――ザシュッ
――姉さん
なに、イズルード
姉さんは、なんで神殿騎士団になったんだい
……
前にも言ったでしょ――
メリアドール「……かはっ」ブシャッ
――貴方と同じで、大切な人達を守りたいから――
メリアドール「……私の……負けよっ、さぁ……とどめをっ」ガクッ
ミルウーダ「……」
メリアドール「はぁッ、情けを……かけ……るの?」
ミルウーダ「……ひとつ答えて」
メリアドール「……」
ミルウーダ「最後の一撃、何故加減をしたの?」
メリアドール「…………」
メリアドール「……」
メリアドール「で……できなかったのよ……」グッ
メリアドール「イズルードの姿が浮かんで……斬る事ができなかった……ッ!」ボロボロ
スッ
ミルウーダ「それは、貴女の中にイズルードが息づいていたから……」
ミルウーダ「決別しようとしていた哀しみを、貴女はちゃんと背負う事ができたのよ」
メリアドール「ぁぁぁああああああ……っ!」
――――
ゴウン…ゴウン…
粘着質な大気を掻き分けて進む。
確かな事など何一つ無い中、
深く、より深い闇に溺れるように……
そうして、どこまでが自分なのかわからなくなった頃、
俺はそいつに出逢った……
ゴウン…ゴウン…
――――
……
ハシュマリム「地に眠る者達、大地の激震となれ! クエイク!!」ゴウッ
――ガゴォォォオオォォオッッ――
ディリータ「城がっ!?」グラッ
ムスタディオ「うわぁぁぁぁ!!」ガコッ
ヒュウ…
ラムザ「ディリータ! ムスタディオ!」
アルマ「そんな……!」
ハシュマリム「クク……レビテトも掛けておくべきだったな」
ラムザ「貴様……ッ!」
ローファル「ククク……仲間を失って、尚戦うつもりか?」
ラムザ「アルマ、逃げるんだ……」
アルマ「ダメ! 兄さんも逃げるのよ!」
ラムザ「言う事を聞くんだ! 早くッ!」
アルマ「……っ」
ハシュマリム「フン、家族愛……か」
ハシュマリム「それが人間の弱さ……命取りとなるのだッ!」
メ ル ト ン
ラムザ「マバリアが……!?」ピキッ
――――パリンッ
アルマ「兄さーんッ!!」
『あああああぁぁぁ…………』
ジュァァァ―――
アルマ「に……兄さん……」ガクッ
シュウゥゥ…
ハシュマリム「ククク……やはり人間は弱い、脆い」
アルマ「…………っ」グスッ
ローファル「さて、その聖石を渡してもらおう」
アルマ「う……ッ」ギュッ
ローファル「強情なのは兄弟そっくりだな。まだ心が折れぬか」
アルマ「こ、これは渡さない……!」ググッ
ローファル「腰が抜けているというのに、まだそんな口を利くか」
パァァ
アルマ「え……っ」キラッ
ハシュマリム「聖石との共鳴が強くなってきているな。やはり器だったか」
アルマ「う、器?」
ローファル「クク、一緒に来てもらうぞ!」グイッ
アルマ「きゃあ!? 兄さん! 兄さーん!!」
……
ミルウーダ「……邪悪な気配が消えた」
ラファ「誰かがルカヴィを倒したって事?」
ミルウーダ「いえ、消滅したというより、どこか遠くに……」
マラーク「! 誰かいるぞ!」
ティータ「! 兄さん!!」タタッ
ティータ「兄さん! 大丈夫!?」
ディリータ「う……俺は……」
ラムザ「うう……ここは?」
ミルウーダ「気が付いた? ラムザ・ベオルブ」
ラムザ「ミルウーダ…………ルカヴィは!?」バッ
ミルウーダ「部屋が滅茶苦茶なのはやはりルカヴィの仕業だったのね。一体何があったの?」
ラムザ「アルマ……そうだ! 妹のアルマが神殿騎士団に攫われたんだ!」
ティータ「アルマが!? 一体なんの為に?」
ラムザ「わからない……聖石と関係があるらしいけど……」
ムスタディオ「イテテ……あれ、俺は地割れに落ちたんじゃ」
ラムザ「僕もヴォルマルフに焼かれて死んだ筈だったんだけど……」
ラファ「まさか、聖石の力で転生したんじゃ……」
ディリータ「ルカヴィになったつもりは無いが、奇跡が起きたとしか考えられないな」
ラムザ(……アルマ)
ミルウーダ「妹が心配なのはわかるけど、貴方には目の前のやるべき事があるんじゃない?」
ディリータ「ラムザ、ミルウーダの言う通りだ」
ラムザ「ああ……兄さん達を止めよう!」
ヴォルマルフ達に敗れ死んだ筈の僕達は、
気が付くと、戦いの爪痕の残る部屋に倒れていた。
ルカヴィは死者を眷属として復活させる事ができると
ミルウーダ達は言っていた。
だとすれば、僕達を蘇らせた奇跡も
聖石の持つ力の一面なのだろうか……
ラーグ「」
ラムザ「遅かったか……」
ラファ「ラーグ公を手に掛けるなんて……」
マラーク「ザルバッグも本気でダイスダーグの野望を成就させる気なんだろう」
ガチャ
ムスタディオ「駄目だ、ダイスダーグもザルバッグも見つからない」
ミルウーダ「既にルザリアを目指して出陣したという事?」
ムスタディオ「そうとしか考えられない。奴ら、本気で王家を潰す気だ!」
ラムザ「行こう! 近衛騎士団が崩れる前に兄さん達を止めなきゃ!」
ムスタディオ「ああ!」
ミルウーダ「じゃあ、ここでお別れね」
ティータ「ミルウーダさん!?」
マラーク「……それはどういう事だ?」
ミルウーダ「ヴォルマルフ達の行動……アルマを攫った事に、何か重大な意味がある気がするの」
ラムザ「重大な意味?」
ミルウーダ「ヴォルマルフ達の真の目的は、ルカヴィの完全復活」
ミルウーダ「ルカヴィの復活には聖石と、適合する身体が必要。だとすれば……」
ティータ「もしかして、アルマがルカヴィの適合者……?」
ディリータ「なるほど……アルマが聖石の力で俺達を復活させたとすれば、合点がいく」
ラムザ「ヴォルマルフを止めよう! アルマをルカヴィになんてさせないッ!」
ミルウーダ「落ち着きなさい。貴方には成すべき事があると言った筈よ」
ラムザ「く……でも」
ミルウーダ「安心して。私がヴォルマルフを追うわ」
ラムザ「……信じていいんだな?」
ミルウーダ「ルカヴィの野望を阻止してアルマを救い出す。北斗七星に誓うわ」
ミルウーダ「ラファ、マラーク、あなた達はラムザ達とルザリアへ」
マラーク「なに?」
ラファ「私達も行くわ! 一人なんて危険よ!」
ミルウーダ「ルザリア攻防戦は熾烈を極める筈よ。必ずあなた達の力が必要になる」
ラファ「……でも」
ミルウーダ「ラファ! マラーク!」
ラファ「!」 マラーク「!」
ミルウーダ「骸騎士団長ミルウーダが命ずる! 王都ルザリアを堅守せよ!」
ラファ「は、はい……!」 マラーク「了解っ!」
ミルウーダ「……それと、決して死なないでね」
ミルウーダ「マラークとラファの二人が繰り出す魔術は広範囲にして強力、必ず力になるわ」
ラムザ「よろしく、マラーク、ラファ」
ラファ「こちらこそ、よろしく」
マラーク「俺達が行くからには勝つのは当然、さっさと片付けてヴォルマルフを追うぞ!」
ムスタディオ「ミルウーダ、恩に着るぜ」
ミルウーダ「……そろそろ行くわ」ザッ
ティータ「待って下さい!」タタッ
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「ティータ、ジャギの言葉を覚えてる?」
ティータ「はい、しっかりと」
ミルウーダ「だったらディリータと一緒に行って、この戦いの結末をしっかり見届けなさい」
ミルウーダ「この国の夜明けには、貴女が必ず必要になるから……」
『だったら尚更、ミルウーダさんと行かなきゃなりませんね』
ミルウーダ「なっ、ティータ!」
ディリータ「ミルウーダ、俺からも頼む」
ミルウーダ「ディリータまで……」
ディリータ「最初、ティータがアンタについて行くと言った時は、正直反対しようと思ったよ」
ディリータ「でも、今は送り出して良かったと思っている。オーボンヌで見た時も思ったが……再会する度にティータは強くなっている」
ディリータ「でもそれは、この戦いの中に身を置いているからじゃなく、アンタと……ジャギの生き様を目に焼き付けているからじゃないのか?」
ミルウーダ「……!」
ティータ「兄さん……」
ディリータ「行ってこい、妹よ」
ミルウーダ「……」
ミルウーダ「いくわよ、ティータ」
ティータ「はい!」
タタタッ
ラムザ「……いいのかい?」
ディリータ「ティータは俺から離れた。自分の意志で生き、自分の意志で死んでいくだろう」
ラムザ「自分の……意志」グッ
=ゼルテニア オルランドゥ家=
オルランドゥ「オーランよ、王女を……この国を頼んだぞ」
オーラン「お任せ下さい。必ずや吉報を持ち帰ります」
アグリアス「オルランドゥ殿、どうしても残られるのですか?」
オルランドゥ「これでも私は閣下に剣を捧げた身。主の盾として傍に控えていたいこの心、アグリアス殿ならばわかる筈」
アグリアス「オルランドゥ殿……」
オルランドゥ「オヴェリア様、私は同行できませんが、南天騎士団より有志1100余名、貴女様の剣となり盾となりましょう」
有志騎士「オルランドゥ様の意志は、我々とオーラン殿が継ぎました。この剣で明日への道を拓きましょう」
オヴェリア「オルランドゥ伯、有志の皆さん、ありがとうございます。私の目指す新しい国の為に、力を貸してください」
『ハッ!』ザッ
アグリアス「では、そろそろ行きましょう」
オルランドゥ「待って下され」
オーラン「義父上?」
オルランドゥ「私の代わりと言ってはなんだが、頼りになる男を連れてきている」
『お前さンの代わりなンて言われると、やりづらくて仕方ないンだが?』
オーラン「が、ガフガリオン!?」
ガフガリオン「目上に対して呼び捨てとは……礼儀がなっとらンな!」
オルランドゥ「元・東天騎士団分隊長、ガフ・ガフガリオンだ。皆、力を合わせて勝利を掴んでくれ」
ザッザッザ…
オルランドゥ「……御武運を」
オルランドゥ「ゴホッ! ゴホッ!」
オルランドゥ「雷神シドが病気とは……年はとりたくないものだな」
オルランドゥ「……時は流れ、時代は新たな若い力を必要としている、という事か」
オルランドゥ「頼んだぞ……」
ガフガリオンが活躍しそうでうれしい!
245:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/07/20(水) 23:46:08.18:8bZ1e2yqo
ジャギさんいないと寂しい…
246:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 00:17:37.39:2OhvDczAO=王都ルザリア=
北天騎士団斥候「只今偵察より戻りました」ザッ
ザルバッグ「近衛騎士団の様子は」
北天騎士団斥候「はっ、我々の動きに気付いた様子もなく、城門は開け放たれ、見張りが数名いるだけです」
ザルバッグ「部隊を割ったとはいえ、かなりの規模の兵が動いたのだが……」
『王家の危機意識など、そんなものだ』
ザルバッグ「兄上……」
ダイスダーグ「よいか、此度の戦は腐りきったアカトーシャ王家との決別の戦いだ。今こそ、王家に私物化された政治を正す時!」
北天騎士団兵士「ザルバッグ様、夜明けです!」
ザルバッグ「……」
ザルバッグ「イヴァリースの夜明けだ! 進めッ!」
『オオオォォォオ――!!』
……
ルザリア近衛騎士団衛兵「……ん?」
ルザリア近衛騎士団兵士「どうした?」
ドドド…
ルザリア近衛騎士団衛兵「なんだか……地面が……」
ドドドドドド
ルザリア近衛騎士団兵士「地鳴り? いや、これは!」
ドドドドドドド――
北天騎士団騎兵「突撃だ!! 門の中に突っ込めッ!!」
ルザリア近衛騎士団衛兵「て、敵襲――!!」
ゴウンッッ
北天騎士団騎兵「閉門はされましたが、西門と北門より、多くの騎兵隊が突入に成功!」
北天騎士団騎兵隊長「まずは城壁を占拠だ! ルザリアの兵力などたかが知れて」
――ドチャァッッ
北天騎士団兵士「な、なんだ!?」
北天騎士団剣士「ペッ! なんだこれ!?」
『攻城戦の心構えがなっとらンな。それじゃあベヒーモスの口に飛び込むのと同じだぜ』
北天騎士団騎兵隊長「ま、まさか!?」
ガフガリオン「ここがお前さン達の墓場だ! まとめて焼けちまいな!」シュッ
北天騎士団騎兵隊長「東天の悪魔がなぜここにィ」
ボッ
『ギャァァァアアアアアァ……』
メラメラメラ……
ガフガリオン「今は悪魔が微笑む時代なンだよ」
=ドグーラ峠=
ガチャガチャ…
アグリアス「ペースが落ちているぞ! 何をしている!」
オーラン「連日の強行軍に皆疲弊している。ここまで脱落者が出ていないのが奇跡なぐらいだ」
アグリアス「王家の一大事なのだぞ! これぐらい」
オヴェリア「よしなさい、アグリアス」
アグリアス「ヴェリア様、しかし……」
オヴェリア「兵の皆さんは、イヴァリースの希望そのもの。ここでいたずらに消耗するわけにはいきません」
アグリアス「しかし、先行したガフガリオン殿がいつまで持ちこたえられるかわかりません。一刻も早く加勢を!」
オーラン「オヴェリア様のお心遣いは有り難いのですが、やはり間に合わなくてはすべてが無駄になります」
有志騎士「我らはオヴェリア様に命を預けた身。足手まといになるようならば、切り捨てて先に進んで下さい」
オヴェリア「なりません」
有志騎士「オヴェリア様!」
『くどい! 二度も言わせないで!』
アグリアス「!」
オヴェリア「そのような諦めの言葉……私は聞きたくありません」
オヴェリア「私は、有志1100余名の命を預かる身。誰一人として脱落はさせません」
有志騎士「オヴェリア様……」
オヴェリア「……大きな声を出してごめんなさい」
オーラン「……いえ、オヴェリア様のお考え、よくわかりました」
オヴェリア「ドグーラの中腹に開いた場所があると、オルランドゥ伯が仰ってました。今日はそこで早めの休息としましょう」
オーラン「わかりました。すぐに伝令を」ザッ
オヴェリア「……」
アグリアス「……オヴェリア様」
オヴェリア「アグリアスは、先を急いだ方がいいと思う?」
アグリアス「いえ、私も重責に気が焦って、冷静ではありませんでした。オヴェリア様の判断が的確でした」
オヴェリア「……間に合うと思う?」
アグリアス「オヴェリア様がそう信じるなら」
オヴェリア「……そうねっ」ザッ
アグリアス(オヴェリア様は変わられた。人の上に立つ者としての素質が輝き始めた!)
=ゼルテニア城=
カラーンッ
オルランドゥ「閣下……お逃げ下さい」ゼェゼェ
ゴルターナ「何故……何故貴様らが……」
ヴォルマルフ「何故? 簡単な事、貴様を生かしておくメリットがなくなったからだ」
ローファル「だが、オルランドゥの返答如何ではメリットが生まれるかもな」
オルランドゥ「私の返答だと……?」ゼェゼェ
ローファル「そうだ。ゴルターナの命が惜しくばゲルモニーク聖典を渡せ」
オルランドゥ「!」
ヴォルマルフ「やはり持っていたか。断れば……」クイッ
ゴルターナ「はっ!? はぐっ、ぐるじい!」フワッ
ヴォルマルフ「ククク……」グイッ
ゴルターナ「あが……っ」ミシミシッ
オルランドゥ「…………」チャキッ
『名も光も捨て、自分の意志で動くと!』
オルランドゥ「さらば公爵閣下!! 今約束を果たそうッ!!」グアッ
ゴルターナ「オルランドゥ……!?」
ヴォルマルフ「逆らうか! モスフングスの毒に蝕まれたその身体では、己の剣に耐えられまい!」
ローファル「まさか貴様、ゴルターナごと貫く気じゃ!」
ゴルターナ「やめて……くれぇ!」ググッ
オルランドゥ「時代は子供らに託しましょう閣下。私もすぐに逝きます……!」ゴゴゴ…
ゴルターナ「オルランドゥー!」
オルランドゥ「受けるがいい……我が全霊の剣を……!!」クアッ
オルランドゥは病気ではなくモスフングスの毒にやられてたか
261:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/21(木) 22:19:12.88:2OhvDczAOオルランドゥ「 乱 命 割 殺 打 !! 」
――ドゴォォッッ
オルランドゥ「…………ゴフッ!!」ベチャッ
オルランドゥ「は……はぁ……これで」
『これで雷神シドも終わりだな』
オルランドゥ「!? 馬鹿な! 我が剣を受けて立っていられるはずが」
ゴーレム「 グ ガ ァ ァ ァ ア ァ !!」ガラガラガラッ
オルランドゥ「!」
――ドシャァァアッ
オルランドゥ「か、変わり身だと……」ガクッ
ローファル「戦いは常に最悪の事態を想定するものだ。つまり、お前が死ぬまで絶対に油断をしないという事よ」スッ
神殿騎士団弓兵「……」ギリッ
神殿騎士団黒魔「……」ブツブツ
神殿騎士団召喚士「……」ザッ
神殿騎士団機工士「……」チャキッ
オルランドゥ「伏兵……か!」
ローファル「ククク……貴様は主人に毒を盛られ、ルカヴィ復活の要である聖典を奪われ、抵抗虚しく死んでゆくのだ!!」スラッ
オルランドゥ(い……今一度!!)
オルランドゥ「神よ一瞬の命を――!!」グゥッ
ローファル「死ねえ!!」バッ
ズバァッ――
カシーン
オルランドゥ「が……ぁ」ゴバッ
ドシャッ
ゴルターナ「あ……ああ!」ガクガク
ローファル「一人では寂しかろう。すぐに公爵閣下もそちらに送ろう」チャキッ
ゴルターナ「ひ、ひい!」
ヴォルマルフ「ローファル」
ローファル「はッ」
ヴォルマルフ「お前は一つしくじった」
ローファル「な、何がでございますか!?」
オルランドゥ「でやあああああ――――ッッ!!」
――ズシャァァッッ
ローファル「ごふぁ!?」ブシャァッ
ヴォルマルフ「その手の人間相手には、死んでも油断しない事だ」
ドサッ
オルランドゥ「る……カヴィ……」ブルブル
ヴォルマルフ「人間よ、何故抗う」
オルランドゥ「……ミ、らい……っ」ググ…
ドシャァ…
ヴォルマルフ「……」
ヴォルマルフ「ゴルターナを殺せ、オルランドゥの謀反だ」
神殿騎士団兵「……ハッ」
……
オーラン「!! 義父上の星が……」
オーラン「く……ッ、義父上……」グッ
『わかっている。閣下が私に毒を盛っている事は、承知の上。それでも私は閣下の騎士なのだ』
『例えどんな仕打ちを受けようと、その忠義は変わらない』
『だが……だがもし、死ぬ間際……最後の一太刀となったら……』
『私は……己の為にその剣を振るやも知れん』
オーラン「さぞ……苦しかったでしょう」
オーラン「安らかにお眠り下さい。義父上の魂は我らの心の中で生き続けます……!」
=王都ルザリア=
ガフガリオン「橋を落とせぇ!! 奴らの奇襲は失敗だ! 持久戦に持ち込むぞ!」
ガフガリオン「援軍が来るまでの辛抱だ! 何としても耐えるンだ!!」
『オオオォォォー!!』
ダイスダーグ「なにを苦戦している! 敵は寡兵だろう!」
北天騎士団騎士「し、しかし、騎兵隊への焼き討ち、堀への毒の散布、相次ぐ偽報と、前線の士気はがた落ちでして」
北天騎士団参謀「大将はガフガリオンとの情報もあります。強攻は危険かと」
ダイスダーグ「奴の狙いはこちらの戦意を失わせ、硬直状態に持ち込む事だ! 手を緩めては思うつぼだ! 愚か者!」
北天騎士団騎士「は、はいっ」
ダイスダーグ「騎士崩れが……ッ!」
ラーグ公が死に、ダイスダーグ卿率いる北天騎士団が、
突如として、王都ルザリアを攻撃した。
それは、王家の衰退が起こした人為的現象であり、
誰もが、ベオルブ家による国政が始まると思っていた。
だが、寡兵ながら驚異的な粘りを見せる王家軍に対し、
精鋭揃いの北天騎士団は激しく消耗していく。
それは正に『骸戦争』の再来であり、
人々に、戦うという事の意味を問う事となった……
=オーボンヌ修道院=
アルマ「……」
ヴォルマルフ「時は来た。今こそ我らが悲願、『血塗られた聖天使』復活の時!!」
バンッ
ドタドタ ザシュッ
ヴォルマルフ「……どこまでも邪魔をする。行け、ここへ通すな」
眷属騎士「アァ……!」ドタドタ
ヴォルマルフ「クク……」
――――
ゴウンゴウン…
繰り返し、繰り返し聞こえるプロペラの回る音
響き渡る亡霊共の叫び、嘆き、慟哭
死んだ世界……終わりの地
ここで俺は奴に出会った
聖天使アルテマ「血塗ラレタ扉ガ開ク……復活ノ時、世界ニ終末ヲモタラサン!!」
『ファルオス・ケオス・デ・バンダ! ゾーダ・ラムド・フェリオ……』
「……そうか、俺が天に帰らなかったのは、お前と会う為だったのか」
『我は時の神ゾマーラと契約せし者、悠久の時を経てここに時空を超えよ……』
ジャギ「終末をもたらすのは貴様ではない。俺が貴様に終末をもたらすのだ……!」
我 に そ の 扉 を 開 け
デ ジ ョ ン
ジャギ様ーー!!!!
272:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/07/22(金) 04:42:19.47:bxZ8JxWyo
ジャギ!!ジャギ!!
273:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/22(金) 11:39:43.75:cUNqg8mlo
熱い展開ッ!!
しかし終焉が近づく寂しさ
276:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/07/22(金) 12:46:12.13:YKLXEe1AOしかし終焉が近づく寂しさ
おお…なんという熱い展開…
愛にすべてを
281:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 16:34:10.41:bLTud1OAO愛にすべてを
バンッ
ミルウーダ「ヴォルマル……くっ!?」
――――ゴォォォォオウンッ
ヴォルマルフ「ククク……感じる、感じるぞ! 我が肉体に流れ込む強大な力を! 闇に蠢く同胞の声を!」
ティータ「アルマ! アルマを返しなさい!」
ヴォルマルフ「この小娘が欲しいか? ならば、力ずくで手に入れる事だな!!」パァァ
ヂチチ…
ドォォオオォンッッ――
ハシュマリム「死都への門は開かれた! この地よりルカヴィ恐怖の伝説は始まるのだ!!」
ゴウンゴウン…ッ
アルテマ「感ジル……水底ノ如キ深キ哀シミ……」
アルテマ「哀レナ魂ノ残滓ヨ、我ガ眷属トナレ。共ニ世界ニ光ヲモタラサン」
ジャギ「誰に命令してんだ! 貴様の力なんざ無くってもな、世界には光が溢れてんだよ!」
アルテマ「……オマエモマタ、穢レタ種ニ違イナカッタカ。」
バサァッ
アルテマ「我ガ名ハ聖天使アルテマ。地上ヘ降リ立チ、穢レタ種ヲ駆逐セン!」パァァ
ジャギ「貴様を地上になんざ行かせん! ここが貴様の墓場だッ!」バッ
ハイレグ天使きたあ
284:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/23(土) 19:01:03.32:bLTud1OAOアルテマ「滅ビヨ……グランドクロス!!」ピッ
――――パァッ
ズバァァァァァァアッッ――――
パラッ…
アルテマ「人間ノ何ト脆ク儚キ事……」
ブシャッ
アルテマ「ッ!?」
『どれだけ強大な力を持っていようと、殺しにおいては素人同然だな』
スゥ……
ジャギ「そんなスローでは俺は殺せん!!」ザッ
アルテマ「人間ガ……ワタシニ傷ヲ……?」
ジャギ「次は貴様のツラを八ツ裂きにしてやる」スッ
アルテマ「クク……」
ジャギ「何が可笑しい」
アルテマ「神ニ感謝セネバナルマイ。コレダケノ贄ヲ授ケテクダサッタノダカラナ!」
アルテマ「人間ヨ、我ニ血ヲ捧ゲヨ! ソノ煮エタギル灼熱ノ血ヲ……!!」ゴゴゴ
『渦ナス生命ノ色、七ツノ扉開キ、力ノ塔ノ天ニ至ラン』
ジャギ「南斗邪狼撃!!」
アルテマ「究極魔法……アルテマ!!」
イイィ…… ゴァァァアアァァアッッッ――――
ジャギ「ぐぁっ!?」ガシャァッ
アルテマ「クク……良イゾ、オマエノ血デ力ガ湧イテクル」
ジャギ「く……」ジャリッ
ジャギ(あのアマ、南斗邪狼撃を食らって、尚笑ってやがる……!)
アルテマ「心地ヨキ痛ミダ。続ケヨウゾ、人間!」パァッ
=ルザリア 城内=
王妃ルーヴェリア「い、嫌ぁ……死にたくない……」ガタガタ
ウァァァン ウワァァァン
ルーヴェリア「…………こ、この子だけでも……神様……」ギュウ
ドカンッ
ルーヴェリア「ひいっ!?」ビクッ
ルーヴェリア「はぁ……はぁ……」カタカタ
ルーヴェリア「誰か……」ブルブル
…………
ルザリア近衛騎士団剣士「兵糧も尽き、残ったのは我ら勇士二十余名……」
ルザリア近衛騎士団白魔「明朝には北天騎士団の連中が雪崩込むだろう」
ルザリア近衛騎士団闘士「援軍は……まだなのか」
ガフガリオン「……」
ザッ
ルザリア近衛騎士団弓兵「ガフガリオン殿、どこへ行かれる?」
バタンッ
ルザリア近衛騎士団拳士「ガフガリオン殿、何を……」
ガフガリオン「恐らく、援軍は決戦に備えて兵力を温存しつつルザリアへ向かっている」
ガフガリオン「ゼルテニアからの道程を考えれば、最低でもあと1日かかる!」
ルザリア近衛騎士団衛生兵「そ、そんな……」ガクッ
ルザリア近衛騎士団剣士「ここまで来て……ッ」ギリッ
ガフガリオン「……」
ガフガリオン「心配すンな。あと1日ぐらい、俺が時間を稼ぐ」
ルザリア近衛騎士団拳士「な、何を適当な事を!」
ルザリア近衛騎士団風水士「そんな事言って、その板を渡って逃げる気なんでしょ!」
『静まれ』
ルザリア近衛騎士団拳士・風水士「!」ビクッ
ガフガリオン「俺はこれから、ザルバッグの首を取りに行く……!」
ルザリア近衛騎士団剣士「なっ!?」
ルザリア近衛騎士団衛生兵「敵の大将首を!?」
ガフガリオン「最早、並大抵の事では戦局は動かン! 戦局が動かないという事は、俺達の敗北を意味する!」
ガフガリオン「俺達に明日の夜は無い! 行くなら……今夜しか無いンだ!」
ルザリア近衛騎士団白魔「ガフガリオンさん……!」
ギシッギシッギシッ… スタッ
ガフガリオン「この夜襲が成功しようと失敗しようと生還は無い。その上でお前達に命令する」
ガフガリオン「渡れッ! そして共に死ンでくれ!」
……
カサッ
北天騎士団見張り「ん……? 何」
ズギャッ
北天騎士団見張り「はがっ!?」
ルザリア近衛騎士団拳士「……ファーラム」
――ゴキリッ
北天騎士団見張り「」ビクッ
ドサッ
ルザリア近衛騎士団拳士「クリアーだ」
ガフガリオン「よし、服を奪って着替えろ。まずは灯りを落とすンだ」
『了解』
…………
ドカァッ
ミルウーダ「くぁっ!?」ドサッ
ハシュマリム「ククク……そうだ、この感覚……死などとは無縁のこの身体!」
ハシュマリム「主の復活を待つまでも無い! 私自ら地上に恐怖をもたらしてやるッ!」ゴウッ
ミルウーダ「!」
ハシュマリム「死ねぇッ!!」グァッ
――――フッ
ハシュマリム「むっ!? 消えた――」
夢 想
ミルウーダ「稲妻突きィッッ!!」ズガッッ
ティータ「やった! ミルウーダさ」
キチチ…
ミルウーダ「……っ」ググッ
ハシュマリム「無駄だ」
ドカァッ
ミルウーダ「かはぁッ!?」ガシャァッ
ティータ「ミルウーダさん!?」
ハシュマリム「そんなやわな剣では、この身体に傷ひとつ付ける事はできんッ!」ゴウッ
ミルウーダ「つ、強い……!」
ハシュマリム「この娘に反応して聖天使の魂が目覚めたのだ。聖天使さえ復活すれば、我らは本来の力を行使する事ができる」
ハシュマリム「もっとも、貴様程度なら今の状態で十分だがな。ククク……」
ミルウーダ「その言葉、すぐに後悔」グッ
ズキッ
ミルウーダ「あうっ!?」カラーンッ
ハシュマリム「ククク……」
ハシュマリム「ハーッハッハッ! 手首を負傷しては最早まともに戦えぬなあ!」
ハシュマリム「たっぷり痛めつけて殺してやる! 貴様には散々煮え湯を呑まされたからな!」ニィッ
ティータ「ミルウーダさん! 今手当てを」
ハシュマリム「ぬんッ」カッ
ドカァッ
ティータ「きゃああ!?」ドサァッ
ハシュマリム「ムシケラは引っ込んでいろ! 自分の仲間が死ぬ様を見ているがいい」ググッ
ボキッ
ミルウーダ「ぐあぁぁッ!?」
ティータ「み、ミルウーダさん……」
ハシュマリム「まずは右腕ぇ」ニヤッ
ハシュマリム「次は左腕ッ」グッ
ベキンッ
ミルウーダ「あああああああッッ!?」ガクガクッ
ハシュマリム「ククククク! 泣け! 喚け! もっと苦しんで見せろ!」
ティータ「やめなさいッ!!」タタタタッ
ボフッ
ティータ「ミルウーダさんをッ! 放しなさいッ!」ボフッボフッ
ハシュマリム「……」
ハシュマリム「……邪魔をするでないわッ!!」
バキィィッッ
ミルウーダ「ティータぁッ!!」
ティータ「……ぅ」ズルッ
ハシュマリム「興醒めだ。二人まとめて殺してやる」グイッ
ミルウーダ「あぐ……っ!?」
ブンッ ドサッ
ミルウーダ「っあぁ……!!」ガクガクッ
ティータ「み、ミル……」
ミルウーダ「ティータ……あなただけでも……」ゼェゼェ
ハシュマリム「……他人の心配をしている場合か? 不愉快な」
ググッ
ハシュマリム「……む」ピクッ
ティータ「ミルウーダさんは……私が守る!」
ハシュマリム「魔法も使えぬ屑が……鞄で私を倒せると思っているのかッ!!」クワッ
ティータ「……ッ」ビリビリビリッ
ミルウーダ「ティータ……逃げて」
ティータ「……兄さんがくれたエリクサーです。飲んで下さい」スッ
ミルウーダ「ティータ! んグッ!?」ゴクッ
ティータ「ジャギさんが帰ってくるその日まで、ミルウーダさんを死なせたりしません」
チャキッ
ティータ「ミルウーダさんは、私の大好きなジャギさんが愛したひとなんだから!」
ハシュマリム「そんな細腕では、まともに剣を振る事などできぬだろう」
ティータ「……っ」グッ
ミルウーダ「ティータ……くっ、エリクサーが効いて……」クラッ
ティータ「やああっ!」タタッ
ブウンッ
ハシュマリム「……遅い」
ティータ「くっ」ヨロッ
ガシィッ
ティータ「あぐッ!?」
ハシュマリム「駄目だな、愉しくない」
ミルウーダ「ティ……タ…………」ドクンドクン
ティータ「あ……頭がッ」ギリギリッ
ハシュマリム「最期ぐらい良い声で泣いてみせろッ」ググッ
ティータ「ああ……ッ!?」ミシミシッ
ティータ(ジャギ……さん…………)
バキィッッ
ジャギ「ぐあっ!?」ドガッ
アルテマ「ククク……ドウシタ、スローナノデハナイノカ?」
ジャギ(あいつ……段々力を増してきている!)
ジャギ「くッ、北斗千手殺ッ!!」ババッ
ドガガガガガッッ
アルテマ「今ノハ何ダ? 攻撃ノツモリカ?」
ジャギ「バカな!? 俺の拳をまともに食らって」
ゴキャ……ッッ
ジャギ「ギャッ!?」ドサッ
アルテマ「攻撃トハコウスルノダ」
ジャギ「ぬぅううあッ!!」グアッ
アルテマ「クク、ソウデナクテハ」
ジャギ「てめぇの攻撃なんぞ! ラオウ兄者に比べたら赤子同然だッッ!!」ブシッ
アルテマ「愉快!! 実ニ愉快ダ!!」
ジャギ「北斗羅漢撃――ッッ!!」ブォッ
アルテマ「コイ、人間ッ!」
ジャギ「ゴァァアアアぁぁぁああッッ!!」ババババッ
ガガガガガガガガガ――――ッッ
アルテマ「グキッ!? ギァッ!!」ベゴッ
ジャギ「ああああああああッ!!」バババッ
アルテマ「グッ!? ――ッシャア!!」ピッ
ジャギ「!」
――――ズバァァァアアァァッッ
ジャギ「ゴボァ――っ!?」ブシャァッ
アルテマ「クキキ……ククカカカ!!」ボタボタ
アルテマ「ガハッ!?」ブシャッ
ハシュマリム「!? ぐ……っ」グラッ
ティータ「っ!」ドサッ
ハシュマリム「か、身体が……聖天使の身に何がッ!?」ブルブル
ティータ「ルカヴィが弱ってる……!?」
ミルウーダ「……」ゼェゼェ
ティータ「私が……私がやらなきゃ!」グッ
ティータ「ミルウーダさんを……みんなの想いを守るんだッ!」チャキッ
――――カッ
ティータ「!? な、なに!?」
ハシュマリム「ぐっ!? 眩しい!」
ティータ「剣から光が……溢れて!?」
ミルウーダ「んっ、な、何が……」
『ミルウーダ』
ミルウーダ「え……?」
『ミルウーダさん』
ミルウーダ「その声は……」
『ミルウーダ』『ミルウーダ様』『ミルウーダさん』
『……妹よ』
ミルウーダ「みんな……!」
ティータ「これは……骸旅団の人達の声……」
『君のおかげだぜ』
ティータ「……え」
『剣に宿った私達の想いを、君が「引き出した」んだ』
『あたし達は、いつも傍にいる』
『どんなに離れていても、例え死に別れても』
『私達は骸騎士団だ。そうだろ? ミルウーダ』
ミルウーダ「兄さん……ッ」ポロポロ
侍ティータ・・・だと・・・
323:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/24(日) 00:48:52.14:v/RXV4mAOハシュマリム「想いを……引き出すだと!?」
『ティータ君、さあ、号令を』
ティータ「は、はい!」
ティータ「全軍、抜剣ッッ! 敵を殲滅せよッ!」
ハシュマリム「ぐうぅ……! 小娘がぁぁあッ!!」グォォッ
ティータ「骸騎士団、突撃――ッ!!」
『オオオォォォ――――ッ!!』
ハシュマリム「ぬぐぁぁぁぁあッ」グァッ
ドゴォ―――――ッッン
ハシュマリム「ば、馬鹿な……」ビッ…ジジッ
ティータ「私達の勝ちです……!」
ハシュマリム「み、認めぬぞォォー!」ジジジ…
ッドゴォォォォォォンッッ――
ティータ「……ふう」クタ
ミルウーダ「ティータ」
ティータ「ミルウーダさん……」
ミルウーダ「……ありがとう」ギュッ
ティータ「……」ギュッ
ギィンッ カシィンッ
『ぎゃああッ!?』
北天騎士団剣士「て、敵襲ッ!」
北天騎士団黒魔「敵は何人なんだよ!?」
ザルバッグ「チィッ! 灯りを落とされたか……」
『ぐぁあああ!!』『ぎぎゃっ!?』
ザルバッグ「敵の狙いは相討ちだ! 皆、静まれ! 灯りを点けるのだ!」
北天騎士団闘士「ザルバッグ様、お一人は危険です!」
北天騎士団騎士「我らがお守り致します!」
『まんまと尻尾を出したな。ザルバッグ、そいつらが敵兵だ!』
北天→近衛騎士団闘士「くッ!?」
北天→近衛騎士団騎士「その声はダイスダーグ!」
ダイスダーグ「貴様らが満身創痍なのは筒抜けだ。今日夜襲を仕掛けてくる事も、予想の範疇よ!」
ルザリア近衛騎士団闘士「囲まれたか……」ザッ
ルザリア近衛騎士団拳士「全員倒すつもりだったから、丁度良かったぜ」ポキポキ
ルザリア近衛騎士団弓兵「フ……そうだな」キリキリ…
ザルバッグ「あくまで抵抗するか……王妃は良い兵を持ったな」
ルザリア近衛騎士団騎士「我々だけなら1日も保たずに落城していた。いや、貴殿らが攻めてきた時、既に逃げ出していただろう」
ルザリア近衛騎士団白魔「私達はガフガリオン殿のおかげで、最期まで戦う決心がついた。この戦い……勝たせてもらいます!」チャキッ
ダイスダーグ「小癪な! 奇襲にも失敗し、どこに勝算があると言うのだ!」
『俺の奇襲作戦がいつ失敗したってンだ?』
ザルバッグ「! 兄上を守れぇッ!!」
『神に背きし剣の極意……その目で見るがいい……』
ザルバッグ「兄上――ッ!!」
――――ザシュッッ
ガフガリオン「総大将が面見せンじゃねぇ!」
ダイスダーグ「ぐぐ……ぅ」ブシュッ
ガフガリオン「チェックメイトだ! 大人しく投降してもらおう!」
ルザリア近衛騎士団闘士「ダイスダーグは我らの手に落ちた! 我々の勝ち」
ザグッ
ルザリア近衛騎士団闘士「だ……あ?」グラッ
ドサッ
ガフガリオン「な!? 何してンだてめぇ!」
ザッ
ダイスダーグ「ガフガリオン、お前程の者が影武者なぞに引っ掛かるとは……ヤキが回ったな」
ガフガリオン「!!」
ルザリア近衛騎士団騎士「か、影武者だと……」
ルザリア近衛騎士団衛生兵「じ、じゃあ、私達の捨て身の作戦は……」
ダイスダーグ「お前達は、私の掌で踊っていたに過ぎない」
ガフガリオン「ダイスダーグ――」
ダイスダーグ「やれ」
『ぐぁぁああ――ッ!?』
ザシュッ――――
ルザリア近衛騎士団剣士「――――え」
アグリアス「ルザリア近衛騎士団、アグリアス・オークス推参!」
ザルバッグ「新手だと!?」
ガフガリオン「な、何故ここに!?」
アグリアス「友軍の奮闘を黙って見ているのは、やはり性に合わくてな。無理を言って先行してきた」
ガフガリオン「……フン、遅ぇンだよ」
アグリアス「アリシア、ラヴィアン、遅れずについて来い! 今こそ正義を示す時だッ!!」
アグ様きたあああああああああああああああああああ
336:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 13:40:47.91:sVhoZX+AOグォングォン…ッ
アルテマ「ウオオオォォォォ――――ッ!!」
ジャギ「!」
アルテマ「ハシュマリムゥ……オマエモ逝ッテシマウノカ!?」
ジャギ「ヴォルマルフが死んだか……これで貴様らの野望も」
ゴゴゴゴゴゴ…………ッッ
アルテマ「感ジルゾ! オマエノ無念、怒リ、溢レ出ル哀シミヲ……!!」ジジッ
ジャギ「な、光が……!!」
ドゴォォォオオ――――ンッ
聖大天使アルテマ「殺ス……生キトシ生ケル穢レ共……全テッッ!!」バチチッ
盛り上ってきたあぁぁぁああぁぁぁあ!!!
343:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 20:49:54.74:sVhoZX+AOジャギ「哀れな……力を求めるあまり、俺より醜くなるとは」
アルテマ「力ダ……モット、モット力ヲ!!」ゴゴゴ…
ジャギ「! 空間が縮んでいく!?」
アルテマ「貴様ヲ殺シ、冥界ト地上ヲ繋グツモリダッタガ……モウヨイ!!」
アルテマ「冥界ノ全テヲ取リ込ミ、我ガ血肉トシテクレルッ!!」クワッ
ジャギ「……フ」
アルテマ「……ナニガ可笑シイ」
ジャギ「……なに、貴様を見ていると、昔の俺を見ている気分になってな」
スス……ピタッ
ジャギ「力とは己が内に眠っているもの! それを呼び覚まさずして強くなる事はできん!」カッ
アルテマ「己ノ内ニダト? 人間ノ力ナドタカガシレテイル!」
アルテマ「故ニ奴ラハ人間ヲヤメタ! アジョラトカイウ人間モナ!!」
ジャギ「ああ、その通りだ。貴様の言う通り人間は弱い! そうやって、俺も一度は魂を悪魔に売った!」
ジャギ「だがな、そういう弱い面も含めて人間なんだ! 強くなくったっていい!」
ジャギ「人間は独りじゃねぇ! 支えあえるんだ!」
アルテマ「ナニヲ戯ケタ事ヲ……貴様ハ独リデハナイカ!」
ジャギ「貴様にはそう見えるか?」ユラッ
アルテマ「ム!? コ、コレハ!?」
ジャギ「はぁぁぁ……!」スゥゥ…
アルテマ「奴ガ何人ニモ見エル……! 幻覚魔法カ!? ソノヨウナ虚仮威シッ!」グワッ
スゥ――ッ
ベキャァッ
アルテマ「!? グァァッ!?」
『激流を制するは静水……』
ジャギ「これはトキ兄者の拳」スゥッ
アルテマ「ググ……ッ! ナラバコレハ受ケキレルカッッ!!」カッ
ドゴォォォォ――――ッッ
ジャギ「ぬうぅぅぅんッッ!!」ゴアッッ
北 斗 剛 掌 波
シュウウ…………
アルテマ「バ、馬鹿ナ!?」
ジャギ「これがかつて目指した兄ラオウの拳だ」シュゥゥ…
ジャギ「俺は独りではない。この胸に兄弟への、仲間への……ミルウーダへの想いがある」
アルテマ「想イガ何ニナルトイウノダ!! 力ガ無ケレバ、想イナド何ノ役ニモ立タン!!」
ジャギ「まだわからないのか!! 心こそが力を生むという事が!!」
アルテマ「燃エヨ我ガ憎悪!! 力ノ噴流トナリテ全テヲ喰ライ尽セェ――ッ!!」ゴガガガ
……
ミルウーダ「……ん」パチ
ティータ「気がつきましたか?」
ミルウーダ「あれ……ここは?」
ティータ「オーボンヌ修道院です。ミルウーダさんはエリクサーが効いて眠っていたんです」
ティータ「アルマも無事です。が、まだ目が覚めなくて……」
ミルウーダ「そっか……」
ミルウーダ「! 魔法陣が!?」
ティータ「はい、時と共に輝きを増しているんです……」
ミルウーダ「なんて禍々しい光……」
ティータ「魔法陣を破壊する方法はないんでしょうか?」
ミルウーダ「わからない。わからない以上、私達にできるのは、ルカヴィの親玉を倒しに行く事ぐらいね……」
ドドドドドド……ッッ
アグリアス「道を開けよ! 聖光爆裂破ッ!!」カッ
『ぐあああぁ!?』
ルザリア近衛騎士団闘士「……うッ、ぐ!?」
アグリアス「衛生兵と白魔法使いは負傷者を連れて後退せよ! ラヴィアン、援護せよ!」バッ
ラヴィアン「お任せを!」タタッ
アグリアス「ハッハッ!! もっとだ! もっと迅くッ!」
チョコボ「グェーッッ!!」ダダダダ
ガシィンッ
ガフガリオン「ぐく……」ギリッ
北天騎士団重騎士「ぬううぁ……ッ!」ググッ
『滅びゆく肉体に暗黒神の名を刻め……』
ガフガリオン「! ッだあ!!」バッ
北天騎士団黒魔「始原の炎甦らん! フレア!」カッ
――ボゴァアッッ
ガフガリオン「ぐっはぁッ!?」ドサァッ
ダイスダーグ「追い詰めたぞ!! かかれッ!」
ガフガリオン「クソ――」
『ガフガリオン殿ォ――ッ!!』
ガフガリオン「!!」
アグリアス「掴まれぇ――――ッ!!」ダダダダ
ガフガリオン「あの馬鹿ッ!」バッ
――ガシッ
アグリアス「ぐぅ!?」ビキッ
ガフガリオン「ッあぁ!?」ビキッ
ダイスダーグ「愚かな! 鎧兜を装備した人間を、引っ張り上げれると思ったか!!」
北天騎士団兵長「バランスを崩したぞ! 撃て! 撃てぇ!」
ラッド「一人が駄目なら二人だぁぁあッッ!!」ドドドド
ガシィッ――
ガフガリオン「ら、ラッド!」
ラッド「迎えにきましたよ、団長!」ギュウッ
まさかのラッド活躍!!
熱いなぁ
354:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/25(月) 23:40:53.96:sVhoZX+AO熱いなぁ
ルザリアの夜が明けた。
アグリアスら先行隊によって、九死に一生を得た防衛軍だったが、
ザルバッグとダイスダーグを仕留め損なった事により、
苦境を打破できないまま、最後の籠城戦を迎える事となる。
勝敗は紙一重。
北天騎士団が攻めきるのが先か、オヴェリアの到着が先か、
最早勝負の行方は、誰にも予測できなかった……
……
ガフガリオン「何故俺を助けた」
アグリアス「……質問の意味がわからないな、何が言いたい」
ガフガリオン「何故ダイスダーグを殺しに行かなかった! あのタイミングで、アンタの腕なら、十分殺れたハズだ!」
アグリアス「それが助けてもらった人間の言葉かッ」
ガフガリオン「誰も頼んじゃいねぇ! 俺もアンタも利き腕をやっちまって最悪だ!!」
アグリアス「こ、このッ」
アリシア「アグリアス様、落ち着いて!」グイッ
ラッド「団長もです! 最悪なんて後ろ向きな言葉、団長らしくない」
ガフガリオン「俺は奇跡や偶然を信じない主義なンだ! 現実的に、今攻められたら凌ぎきれン……!」
アグリアス「……クッ」ギリッ
ラヴィアン「……でも」
ガフガリオン「……ン?」
ラヴィアン「でも、生きたいからアグリアス様の手を掴んだんでしょ?」
ガフガリオン「!」
アリシア「ラヴィアン、いいこと言った!」
ラヴィアン「ガフガリオン殿は自分の意志で生を選んだのです。それをひとの所為にするのは、お門違いでは?」
ガフガリオン「く……」
ラッド「団長」
ガフガリオン「なンだ!」
ラッド「俺は団長がいればこそ、この戦いに勝てると思って救援しました。団長なら、差し違えずとも勝てる方法を編み出せる筈です」
ガフガリオン「簡単に言うな! こんな状況、『死神』でも味方せン限りひっくり返せン!」
ガフガリオン「…………愚痴はこれぐらいにしとくか。死んだ連中の為にも、絶対に負けられンからな」
ラッド「団長……!」
……
ザルバッグ「よもや、これほど苦戦するとは思いませんでした」
ダイスダーグ「私もだ。かつて、ここまで読みが外れた事はない」
ダイスダーグ「……長かった戦いも今日で最後だ」サッ
ザルバッグ「……」コク
ザルバッグ「全軍に告ぐッ! これが最後の命令だ! 何としても城を落とせッ!!」
ザルバッグ「全軍ッ! 突撃ィッ!!」バッ
『オオオオオオォォォオッッ!!』
ドドドドド…
ガフガリオン「来たぞ……!」
アグリアス「覚悟を決めろ、後がないのは敵も同じだ」
ガフガリオン「……女のクセに、肝が座ってやがる」
アグリアス「褒め言葉として受けとろう」
北天騎士団騎士「見えた! ……二人だと!?」
北天騎士団戦士「がら空きじゃねぇか!! 一番乗りはもらったァ!!」
アグリアス「我らの守るこの城門――」
ガフガリオン「――通れるもンならやってみなッ!!」
ラヴィアン「槍組後退、盾組前へ」
アリシア「弓組構え、一斉にいくわよ……放てッ!」バッ
ヒュヒュヒュヒュ―ッ
『ぐぁ!?』『ぎゃあッ!!』ドボーンッ
ラッド「城壁に取り付かせるな! 本城を崩してでも石を落とせ!」ブンッ
先行隊戦士「おうッ!」ブンッ
先行隊騎士「ラヴィアン殿、やはり西門に少し兵を回した方が……」
ラヴィアン「アグリアス様達の心配ならいりません」
アリシア「それより、アグリアス様がせてくれたこの門……命懸けで守り抜くわよ!」
『オオオオォォ――ッ!!』
ザルバッグ「……何故だ、何故攻めきれぬ!」
『 敵 襲 !! 』
ザルバッグ「な!?」
ダイスダーグ「何」
ダァーンッ バズッ
ダイスダーグ「ッぐぁぁ!?」ガクッ
ムスタディオ「ちッ! 頭を狙ったんだがな!」
ラムザ「兄さ――んッ!!」ドドドド
ダイスダーグ「ラムザ……この愚弟がァぁぁぁ!!」ビキビキ
ザルバッグ「ラムザ!? させるか」
ガキィンッ
ザルバッグ「……くッ」キチチ
ディリータ「あんたなら、ダイスダーグを止めてくれると思ってたんだけどな」ググッ
カシィンッ
ザルバッグ「民は新たな指導者を求めている! その役目をベオルブが担う時が来たのだ!」
ディリータ「確かに新たな指導者が必要かも知れないが、それはあんた等じゃないな」
ザルバッグ「父上が目にかけていたとはいえ、やはり平民か……」チャキッ
ディリータ「ほら、そういう所。やはりあんた等にはイヴァリースを任せられないな!」ダッ
――ガキャァンッ
北天騎士団騎兵「……おい、本陣が騒がしくないか?」
北天騎士団騎士「後ろを向くな! 我らには前進勝利しかないのだぞ!」
北天騎士団騎兵「……いや! 間違いない! 本陣が攻撃されている!」
北天騎士団騎士「なにッ!?」
カキィッ
アグリアス「はぁ……ッ、敵陣の動きに乱れが生まれた!」
ガフガリオン「チィッ! 利き腕さえ万全なら」
ギャィンッ
ガフガリオン「……ッ、一気にカタをつけてやるのによォ!」バシュッ
『本陣強襲! すぐに反転するんだッ!!』
『今さら後戻りなどできん! 本陣を信じて攻撃を続けるんだッ!!』
北天騎士団分隊長「落ち着け! 隊を整えよ! ええい、こうバラバラでは埒があかないッ!」
北天騎士団騎士長「混乱による被害が拡大している……このままではマズい!」
『普天率土に宿りし神々の』
北天騎士団分隊長「な、なんだ……!?」
『五行に宿りし神々の』
北天騎士団騎士長「祝詞……賛美歌……?」
『震天動地の力、暴威をふるえ!』『震天動地の霊威を借りて唱えん……』
北天騎士団分隊長「あ……ああッ!?」
裏 天 魔 鬼 神
天 魔 鬼 神
アグリアス「――ッ!? 一体何が……」
ガフガリオン「分からン……が、魔法ともつかン魔力暴走に見えた」
『暴走じゃない。あれは世界の摂理を使って生み出した、純然なる力だ』
ラファ「その力を行使する者を天道士、天冥士という」
マラーク「マラーク・ガルテナーハ、ラファ・ガルテナーハ、義により助太刀する!」
アグリアス「ここにきて援軍だと……」
ガフガリオン「ハハ……勝てる、勝てるぞ!」
……
ティータ「駄目ですミルウーダさん! まだ腕は治りきっていないんですよ!」ガッ
ミルウーダ「行かせてティータ! 感じる……どんどん強くなるの」
ミルウーダ「この先にジャギがいる! ジャギは今、ルカヴィと戦ってるわ!」ググ
ティータ「行かせません! 私はミルウーダさんを犬死にさせる為に守ったんじゃありませんッ!」グイッ
ミルウーダ「でも! ジャギは独りで……」
『独りじゃない……!』
ミルウーダ「……え!?」
ミルウーダ(今……ジャギの声が……)
ティータ「ジャギさんは独りじゃありません……!」
ミルウーダ「ティータ……」
ティータ「ジャギさんの心には、いつもミルウーダさんがいる」
『ティータが、ウィーグラフが、旅団のヤツらがいる』
――故に、俺に恐怖はない――
アルテマ「!」ピクッ
ジャギ「災厄の化身よ、天に帰る時が来たのだ……!」
――ガキィンッ
ダイスダーグ「ぐうッ!?」ドサッ
北天騎士団精鋭「はぁぁァァッ!!」バッ
ラムザ「でやあぁぁぁッッ!」
ザシュッ
北天騎士団精鋭「かは……っ!?」ブシャッ
北天騎士団親衛隊長「ダイスダーグ様、お逃げ下さい! ここは我々がッ」
ダイスダーグ「く……」
ラムザ「何故ラーグ公を殺した!? 兄さんなら、こんな方法じゃなくても世の中を変えれた筈だろ!?」
ダイスダーグ「……暫く見ない内に成長したかと思ったが、まだ甘さが抜けないなラムザ!」ザッ
ダイスダーグ「権力とは、それより弱い権力に対しては絶対的な力を持つ」
ダイスダーグ「だがそれは、自分より強い権力には全くの無力という事も意味している!」
ダイスダーグ「権力で世界を変えたくば、王になる外ないのだ! どれだけ平民に慕われようと、蟻の軍勢など何の価値も無いッ!」
ラムザ「だったら兄さんの騎士団は何だッ! 兄さんの言う権力に、何ができたって言うんだ!!」
ラムザ「多くを虐げ、多くを殺し……それこそ、何の価値も無いだろッッ!!」
『――――黙れッッ!!』
ラムザ「!!」
ピシャッ――――ドォォォオオォンッッ
憤怒の霊帝アドラメレク「貴様等に何が分かるッ! 綺麗事ばかり並べる屑共が! そんなに正しい行いができるというならやってみろッッ!!」
ダイスダーグ敵だけど熱いな
381:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/26(火) 23:17:05.29:UDUSWVRAOピシャァ――――ドォォォォンッッ
ゴォォオ……ビュォォオォオウンッッ
北天騎士団親衛隊長「あ、ああ……!?」
ザルバッグ「な、なんだあれは!?」
ディリータ「……ルカヴィ」
ザルバッグ「なに……!? ルカヴィだと!?」
アドラメレク「愚かな人間共ッ!! 我に従え! 平伏せよッ!!」グァァッ
ラムザ「……兄さんッ」ギュッ
北天騎士団指揮官「なんだッ!? この嵐は……!?」
北天騎士団歩兵「指揮官殿! あれを!?」
北天騎士団指揮官「む……ッ、な!? 化け物!?」
『あれはルカヴィ……かつて、イヴァリースを滅ぼそうとした伝説の悪魔だ』
北天騎士団指揮官「なっ、貴様らは」
アグリアス「一時休戦だ。このままでは、貴殿も私も死ぬ事となる」
ガフガリオン「つまらン事考えるなよ? ……生き残りたきゃ、言うとおりにしろ」
北天騎士団指揮官「り、了解」
ゴゴゴゴゴゴ――――ッッ
アドラメレク「天よ荒れろッ!! 地よ割けろッ!! 脆弱な人間共に我が力を見せつけろッッ!!」ブゥンッ
――ゴウッッ
『ギャアアアアァァ――――――』
アドラメレク「クククッッ!! カカカカカカカッッ!!」
ザルバッグ「くッッ、何故兄上がルカヴィに……」
ラムザ「ルカヴィは人の心の隙につけ込む。ダイスダーグ兄さんは、権力に対する執念につけ込まれたんだ……!」
ザルバッグ「俺がついていながら……ッ」ギリッ
ディリータ「後悔は後だ! 生き残りたかったら、ダイスダーグを倒すしかない!」ザッ
ムスタディオ「行こうラムザ。ザルバッグも、あんたの手で決着をつけるんだ」
ザルバッグ「…………ああ!」ザッ
北天騎士団弓兵隊「撃てッ! 撃てぇーッ!!」
北天騎士団騎兵隊「突撃だッ!! 全騎ぶちかませぇッッ!!」
――ブォォオオゥンッッ
『ぐあああぁぁぁ――――』
アドラメレク「カカカカッッ!! 我が身に触れる事すらままならぬとは!! 滑稽なりッ!!」
アドラメレク「このまま権力の象徴……ルザリア城を叩き潰してやるわッ!!」
『止まれッッ』
アドラメレク「…………誰に向かって命令しておる」
ザルバッグ「兄上……いや、ルカヴィ!! 兄上を誑かしたこと、後悔させてやるッ!」
ラムザ「イヴァリースはお前達には渡さない! お前達の野望もここまでだッ!」
アドラメレク「あくまで私に逆らうというのだな! よかろう、お前達の言い分はわかった」
アドラメレク「英雄ごっこは終わりだ! 王位も、最早どうでもいいッ!!」ポウッ
アドラメレク「完全復活した我が力、受けるがいい!!」カッ
――ドガァァアアァンッッ
アドラメレク「!」
マラーク「させねぇ……よ!!」シュウウ…
ラファ「この世界にあなた達の居場所はないわ! 冥界に帰りなさいッ!!」
アドラメレク「バリンテンの奴隷風情が粋がるなッ!」
ラファ「私達は奴隷として生きたりしない!! 人として戦って、人として死ぬわ!」
マラーク「俺達は……もう恐怖に屈したりないッ!」
アドラメレク「ならばその身に刻まれた恐怖、我が呼び覚ましてやるわッ!!」グォォ
ザシュウ――ッ
アドラメレク「ッ!? 私の身体に……傷を!?」ブシュッ
ラムザ「悪魔の恐怖は僕が破る……!」チャキッ
ラファ「ラムザ!」
ディリータ「奴にも剣が通る! 俺達も続くぞ!」
アドラメレク「愚か者共が調子にのりおってえッッ!!」ゴォォッ
北天騎士団戦士「……ひッ!?」ビクッ
ガフガリオン「怯むなッ!! 俺達が道を開く!!」ドドドド
アグリアス「恐れずに続け! 我ら一迅の風とならん!」ドドドド
北天騎士団拳士「我らも行くぞ!」
北天騎士団竜騎士「一生に一度、命を懸ける時があるならば、今こそその時だ!」
北天騎士団戦士「……ああッ」
アドラメレク「オオオオオォォォ!!」
ガフガリオン『はァァぁぁああぁッッ!!』アグリアス
――――カッ
―ゴォォォンッ
ルーヴェリア「助けて……助けて……」ガタガタ
ウワァァンッ ウワァァァンッ
ルーヴェリア「オリナス……」ギュッ
『姉上様』
ルーヴェリア「!?」ビクッ
ルーヴェリア「な、何者だ!」
オヴェリア「お初にお目にかかります、姉上。オヴェリア・アトカーシャにございます」
ルーヴェリア「オヴェリア? ……そうか! 妾と息子オリナスを殺しに来たか!」
オヴェリア「何故、そのようにお思いになられたのですか?」
ルーヴェリア「白々しい! 此度の戦、そなたの差し金であろう!」
ルーヴェリア「ベオルブをけしかけ、兄上を殺し、オリナスの即位を妨げるつもりであろうが!」
チャキ…
ルーヴェリア「オ、オリナスは殺させはせぬ……! 妾の、たったひとりの子供なのだ……!」カタカタ
オヴェリア「姉上……!」
ルーヴェリア「うわあああああぁぁ!!!!」
――ズグッ
ウワァァンッ ウワァァァアンッ
ブシャァァァァ……
――グブウッ
アドラメレク「効かぬ! 効かぬぞぉォォ!!」ブシッ…
ラヴィアン「切り落とされた腕を……無理矢理くっつけた!?」
ガフガリオン「ば、化け物が……ッ」ググッ
ラッド「団長!」
アリシア「いけません! そのお身体ではもう……」
アグリアス「放してくれ! この身が砕けようと、奴だけは倒さねばならんのだ……!」ガクガク
アドラメレク「無駄だッ! 聖大天使アルテマが目覚めし今、我が肉体は不死身!」
アドラメレク「幾万幾億の兵を持ってしても、この肉体は砕けぬ! 折れぬ! 朽ちぬッ!!」
『ならばその天球の因縁……断ち切ってやろう!』
アドラメレク「む!?」
ラムザ「オーラン!!」
オーラン「天球の運命をこの手で断ち切る! 我は我、汝は虚なれば……星天停止!」カッ
アドラメレク「グ!? 貴様、何をしたァ……!!」ガクンッ
ラムザ「ルカヴィの再生が止まった!」
ムスタディオ「オーラン! 助かったぜ!」
オーラン「……」
ムスタディオ「……オーラン?」
――ブシャッ
ディリータ「!? オーランッ!」
オーラン「……長くはもたないッ、今のうちに……早くッ」ブシッ
アドラメレク「貴様如きに抑えられる霊帝ではないわあッ!!」グギギッ
オーラン「ぐあ……ッ!?」ガハッ
ラムザ「オーラ――ンッッ!!」
オーラン「……構うなッ、早く奴を……」ボタボタ
オーラン(義父上、ウィーグラフ……俺に力を!!)
アドラメレク「ぐぁぁぁああア……ッ!!」ブシッ
オーラン「カプリコーンは輝かぬ……!!」ブシャッ
アドラメレク「人間がァ……人間風情が霊帝たる私をォ……ッ!!」ギギッ
ザッ
ザルバッグ「兄上……」
アドラメレク「……ザルバッグッ、貴様ァ!!」
ザルバッグ「兄上、もういいんだ。ベオルブの家名に縛られなくていいんだ」
アドラメレク「私が縛られているだと……? ふざけた事をぬかすなッ!!」グアッ
――バキィィッ
ザルバッグ「ぐがッ!?」ズザァァ
ラムザ「兄さん!?」
ググ…
ザルバッグ「家名なんかの為に魂まで汚さなくていいんだ……!」ザッ
ザルバッグ「王でなくとも、俺の兄さんは世界一偉大だったッ!」
…………
ジャギ「……」ビリビリ…ッ
アルテマ「クカカカカカカ……!!」
ゴ……ォォォオオ…………ッッ
アルテマ「我、完成セリ……!」カッ
ジャギ「!」
――――ドガァァァッッ
アルテマ「究極……完全……! 力ノ化身トナリシコノ身体、如何ニ『オーディン』トテ傷一ツツケルコトハデキヌ!!」
ジャギ「……ペッ」
ジャギ「魂だけの存在のクセに、身体身体騒ぐんじゃねぇよ」
アルテマ「コノ世界デノ肉体ハ、即チ魂ノ強サソノモノ!! 肉体ガ砕ケルトイウ事ハ、魂ガ消滅スルトイウ事ダ!!」
ジャギ「だりゃあッ!!」グオッ
アルテマ「ヌウンッ!!」ブォッ
――バキャッッ
ジャギ「ぐお……ッ」ドパッ
アルテマ「我ガ魂ハ傷付カヌ!! 我ニ敗北ハアリエヌッ!!」
『そいつは違うぜ』
――ピッ
アルテマ「!!」プシッ
ジャギ「魂に負った傷痕は生きた証。魂は傷付き磨かれ強くなる。そうやって人間は強くなるんだ」
ジャギ「貴様に見せてやろう! 哀しみを背負った人間の強さをッ!」ゴォッ
アルテマ「! ヤツノ存在ガ……強ク!?」
ジャギ「ハァァァぁ……」ゴオオォ…
アルテマ「グ……ゴアアァァッッ!!」グァッッ
バチ……ッ バチバチッ
ジャギア『オオオォッッ!!』アルテマ
――グァギャッッン
ドガァァッッ――――
バキィッッ ドギャァッッ
ジャギ「オラぁあ――ッッ!!」
――ベキャッッ
アルテマ「ガァッ!? 馬鹿ナッ、我ノ肉体ガ……ッ!!」ゴバッ
ジャギ「言った筈だッ! 心こそが力を生むと!」
ジャギ「心無き拳では、俺を砕く事はできない!!」
『認メヌッッ! 心ガ力ニ勝ルナド認メヌ!!』
アルテマ「我ハ聖大天使アルテマ!! 時空ヲ超エタ完全ナル存在デアル!!」
ジャギ「ならば俺を倒して証明して見せろッ!」バッ
――震えろ、命つなぎ止める光
アルテマ「消シ去ル……!! 空間ゴトッッ!!」
力の塔となれ――
完 全 魔 法
ア ル テ マ
――――ッドオォォォォオオンッッッ―――――
ティータ「きゃあああ!?」ドサァッ
ミルウーダ「くうッ!? 魔法陣が!?」ビリビリッ
――ブシャッ
オーラン「――――はぐッ!?」ドサァ
ムスタディオ「オーラン!?」
ギラッ
アドラメレク「グカカカカカッッ!!!! 兄弟ごっこも終わりだッ! 貴様ら全員皆殺しにしてやるわッ!!」ガシッ
ザルバッグ「がはっ!?」ミシッ
アドラメレク「魂を汚しただ!? どこまでも恥知らずな奴めッ!」ギリッ
ザルバッグ「――っっ」ギュウウ
アドラメレク「ん? どうした! さっきみたいに生意気な口をきいてみろッ!!」
『……こう』
アドラメレク「!」
ザルバッグ「おれも……ともにいく…………だから……ちちうえの……ところへいこう」
アドラメレク「ク……ッ」ピクッ
ラムザ「…………兄さんの動きが」
アグリアス「止まった……?」
アドラメレク「父……上…………」
―――――ピキーンッ――――
アドラメレク「うぶぁ!?」ボコッ
アルテマ「グオ!?」ボゴッ
――この世で最強のものは『無』
アルテマ「アッ……ガッ!?」ベキッベキャッ
されど、無はまた無力
アルテマ「ゴァァ……!?」ビキ…ビキッ
『無より転じて生を拾う』
アルテマ「ハ……ハ……」
アルテマ「ッグァ!?」グボッ
ジャギ「それが、北斗神拳究極奥義……」
―――――ピキーンッ―――――
無 想 転 生
キタ─wwwwヘ√レvv~(゚∀゚)─wwwwヘ√レvv~─!!
416:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/28(木) 22:11:17.20:kDd2A16AOブシャァァ……
アルテマ「バッ、馬鹿ナ……何故……何故我ハ負ケタ」ガクウッ
アルテマ「力カ……マダ力ガ足リヌト言ウノカ」
ジャギ「力ではない。心で負けたんだ」
アルテマ「マタ……心カ」
ジャギ「ああ。お前のように全てを拒絶する心では、空を掴む事はできない」
ジャギ「全てを受け入れろ。自身を空に捨て、宙に消し去り同化するんだ」
アルテマ「空ト……一ツニ…………」
パァァ……
アルテマ「……ァア……コレカ……コノ感覚」
アルテマ「心地良い……強張りが溶けてゆくようだ…………」
ジャギ「アルテマ……」
アルテマ「ようやくわかった。何故、私が負けたのか……」
『さらばだ……強敵よ…………』
ジャギ「ああ、地獄でまた逢おう」
――――カッ
ゴゴゴゴゴゴ――――――
グワァァアアアアアンッッ
ブシュゥゥゥ……
アドラメレク「ぐ……ば……ッ」ガクゥンッ
ラファ「ルカヴィの身体に七つの傷が!」
『北斗七星……』
ムスタディオ「オーラン、喋るな! 死んじまう!」
オーラン「北斗七星は……死への道標…………ルカヴィには死あるのみ」ガクガク
ムスタディオ「わかった! わかったから!」
アドラメレク「身体が……動かぬ……ッ」グググ…
ザルバッグ「兄さん……」ヨタヨタ
ラムザ「兄さん、もう終わったんだ。もう、戦わなくていいんだ」
アドラメレク「戦わなくていいだど……まだ私は負けてはいないッ!」グッ
ブシャァッ
ラムザ「兄さんッ!」
アドラメレク「ヌガアアアアァァッッ!!!!」ゴバァッッ
グオオオォォ――――ッッ
ズウウウウゥゥンッッ…………
『何故、私の拳が当たらぬとわかった……?』
ザルバッグ「……わかるさ」
ラムザ「その目は、僕らのダイスダーグ兄さんの目だ」
アドラメレク「……私の負けだ」
アドラメレク「アルテマ亡き今、私の身体は間もなく消滅するだろう」
ザルバッグ「兄さん……」
アドラメレク「ザルバッグ、イヴァリースを頼んだぞ」
ザルバッグ「……はい!」
アドラメレク「ラムザ! やはりお前は父上似だ! 家名などなくとも、お前なら大成するだろう!」
ラムザ「に、兄さん……ッ」
アドラメレク「……アルマと仲良くな」ジジジ…
アドラメレク「さらばだ、弟達よ……!」パァァ
―――ドォォォオンッッ―――
……
ルーヴェリア「オ、オヴェリア……貴女……」
オヴェリア「大丈夫です姉上。もう、怯えて暮らさなくてもいいんです」
オヴェリア「元老院も、諸侯達にも、姉上達を利用させません。私と、頼もしい仲間達が守ります」
オヴェリア「姉上はひとりではありません。だから……だから……」
カラーン
ルーヴェリア「あ……ああ……オヴェリア!」
ポタ…ポタ……
オヴェリア「共に……新しい国を…………」
ドサッ
ルーヴェリア「オヴェリア! 何故抵抗しなかったの!?」
オヴェリア「ほ、ほら……震え、止まったじゃないですか」
ルーヴェリア「な、何を言って」
オヴェリア「人に信じてもらうって、すごく安心しますよね」
ルーヴェリア「馬鹿、こんな時に何を……」
オヴェリア「大丈夫です……この国は変わります……絶対に…………!」
ルーヴェリア「……」
ルーヴェリア「肩を貸すわ、立てる?」グッ
オヴェリア「はい。…………ありがとう、姉さん」ヨロ
…シュゥゥ
ミルウーダ「魔法陣が消えた……」
ティータ「終わったんですね……」
アルマ「……ん」
ティータ「! アルマ! アルマよかった!」ギュウ
アルマ「てぃ、ティータ? ちょっと、苦しいよ……」
ミルウーダ「……」フッ
『見つけたぞ! 異端者ミルウーダ・フォルズ!』
ミルウーダ「異端審問官!?」バッ
ザルモゥ「今度は修道院荒らしか! 神をも怖れぬ殺人鬼共!」
アルマ「思い出した……! 私は神殿騎士団に攫われて!」
ミルウーダ「アルマ、言っても無駄よ」
ティータ「異端審問官が釈明の余地を与えた事は、今まで無いらしいの」
ザルモゥ「デタラメをぬかすな! ……もっとも、貴様達のような凶悪犯なら話は別だがな!」サッ
ミルウーダ「15……16、キツいわね」
ザルモゥ「フハハ! 教会が誇る精鋭を連れてきた! 貴様とて勝ち目は無いぞ!」
ミルウーダ「く……利き腕さえ使えればッ」
『私抜きで精鋭とは、笑わせるわね』
――ドギャッ
ザルモゥ「あぐぇ!?」ドタッ
メリアドール「借りを返しに来たぞ! ミルウーダ・フォルズ!」
ミルウーダ「メリアドール!」
ザルモゥ「き、貴様! 自分が何をしているか分かっているのかッ!?」
メリアドール「分かっている。でなければ、教会に剣を向けたりしない」
スゥ……
メリアドール「貴殿こそ、誰を相手にしているか……分かっているのか?」チャキッ
ザルモゥ「ぐ……ぐぬぅ」
やはりザルモゥ。報われぬwwwwwwww
430:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 00:25:59.07:8fFlHmuAO……
メリアドール「そう……父上はもう……」
ミルウーダ「これがヴォルマルフの聖石。これぐらいしか、形見になる物がなくて……」スッ
メリアドール「無理に形見を作らなくてもいいわ。それは貴女が持ってなさい」
ミルウーダ「メリアドール……」
メリアドール「いいことが、ひとつだけあったの」
ティータ「いいこと?」
キラッ
メリアドール「イズルードのネックレスがね、帰ってきたの」チャリ…
ティータ「それはいつ頃ですか?」
メリアドール「ミルウーダに負けた後にね、気が付いたら首に掛かっていたわ」
ティータ「きっと……きっとイズルードさんが『傍にいるよ』って言ってるんですよ」
メリアドール「……そうね」パカッ
メリアドール「あ……写真に……」
『メリアドール……不甲斐ない父を許してくれ』
メリアドール「お父さん……!」
『幸せにな……』
『姉さん……元気で…………』
極限状態で迎えた王都防衛戦8日目、
ルザリアには伝説の悪魔『ルカヴィ』が降臨し、
イヴァリースは、天変地異に見舞われた。
だが、北天騎士団と王国軍の決死の攻撃により、
人類は、ルカヴィの討伐に成功する。
このルカヴィとの戦いで総大将を失った北天騎士団が、
王国軍に降伏・帰属することにより、王都防衛戦は終結する。
そして……
ラムザ・ベオルブ
ディリータ・ハイラル
ムスタディオ・ブナンザ
アグリアス・オークス
ガフ・ガフガリオン
シドルファス・オルランドゥ
オーラン・デュライ
マラーク・ガルテナーハ
ラファ・ガルテナーハ
ウィーグラフ・フォルズ
ミルウーダ・フォルズ
ティータ・ハイラル
オヴェリア「そしてジャギ。この十二名を畏国王の名において、新生ゾディアックブレイブとする――!」
おおおおおおおおお
435:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 01:16:13.03:8fFlHmuAO――戦士は剣を手に取り胸に一つの石を抱く
『ああ!? なんだてめぇは!』
消えゆく記憶をその剣に刻み
『……ッ、つ、強えぇ!?』
鍛えた技をその石に託す
『! あ、あれは……北斗七星の紋章!?』
物語は剣より語られ石に継がれる
骸騎士ミルウーダ「私の名を言ってみろッ!」
今、その物語を語ろう……
以上です
VIPから数えて約2ヶ月の長きに渡るご愛読、
ご支援、ご助力、本当にありがとうございました
寝落ちや脱線、ありがちな内容だったりと、期待に応えられたかわかりませんが
私なりの全力を出し切ったつもりです
ここまでこれたのは、間違いなくみなさまのおかげです
愛にすべてを!
438:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/07/29(金) 01:23:08.14:6hHpo0u80VIPから数えて約2ヶ月の長きに渡るご愛読、
ご支援、ご助力、本当にありがとうございました
寝落ちや脱線、ありがちな内容だったりと、期待に応えられたかわかりませんが
私なりの全力を出し切ったつもりです
ここまでこれたのは、間違いなくみなさまのおかげです
愛にすべてを!
乙
愛にすべてを
442:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/29(金) 02:51:00.67:elZ2YatIO愛にすべてを
長い間お疲れ様!
面白かったぜ
愛にすべてを
445:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/29(金) 08:35:48.52:1QdLz70oo面白かったぜ
愛にすべてを
乙!凄く面白かった
愛に全てを
447:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/07/29(金) 09:11:44.33:hI1QeGiXo愛に全てを
乙!怒濤の神展開
FFTがまたやりたくなった
ザルモゥさん出番あって良かったね(´・ω・`)
448:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/29(金) 09:52:21.41:iI+DEry00FFTがまたやりたくなった
ザルモゥさん出番あって良かったね(´・ω・`)
乙 FFTプレイした事ないが北斗好きとして楽しませてもらったぜ
それじゃエンディングテーマ置いておきますね
449:epilog:2011/07/29(金) 11:42:02.81:8fFlHmuAOそれじゃエンディングテーマ置いておきますね
メットの男「おい、酒だ。酒を出せ!」ドカッ
酒場のマスター「ウチはガラの悪い奴はお断りだよ! 余所に行きな!」
メットの男「ぬぁに~?」
モヒカン「おいてめぇ! この方をどなたと思っていやがる!」
酒場のマスター「アンタらなんか知らないね! メットで顔隠してたら、誰かなんてわからないだろ」
メットの男「フッフッフ……」
バッ
酒場のマスター「そ、その傷は!?」
モヒカン「そうだ! この方こそ、死神と呼ばれた男、ジャギ様だ!」
エピローグ来てる!
451:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/29(金) 11:53:13.23:fJjCvXGD0
まさかこの流れは…
452:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/07/29(金) 11:54:06.41:8fFlHmuAOメットの男「この傷を見ても酒が出せねぇってのか!?」チャキッ
酒場のマスター「だ、出せます! 今すぐに!」
モヒカン「おいオヤジ! 酒だけで済むと思ってんのか!? ワビの金も持ってこい!」
酒場のマスター「そ、そんな……」
メットの男「お前、死にたいようだな!」グッ
酒場のマスター「ひ!?」
トクトク……
メットの男「!? なっ、冷てぇ!?」ビチョ
ミルウーダ「少し頭を冷やしなさい」
モヒカン「このアマ! ジャギ様に何しやがる!」
ミルウーダ「あらごめんなさい。あまりに小物だったから、あの死神とは気付かなかったわ」
メットの男「このクソアマ! 死にやがれ!」グッ
カシン
メットの男「……あ、あれ!?」カシカシッ
ミルウーダ「いくら引き金を引いても、撃鉄が無ければ弾は出ないわよ」シュッ
モヒカン「痛ッ」
ゴトッ
ミルウーダ「消えなさい。私の剣が貴方の喉笛を喰らう前に……!」
旅人「撃鉄だけ切り落とした……!?」
賞金稼ぎ「あの女……何者だ!」
酒場のマスター「ああ!? 北斗七星の紋章は!!」
メットの男「ほ、北斗七星って事は……まさかッ」
――私の名を言ってみろ――
モヒカン「ゾディアックブレイブの……骸騎士ミルウーダ!?」
……
ミルウーダ「……はぁ、期待した分落胆も大きいわね」
ミルウーダ「ジャギがもういないなんて……どうしても、認められない……」
ミルウーダ「世の中が忘れていっても……私は…………」
「おい、聞いたか? 隣街を荒らしてたマフィアが壊滅したんだと!」
「知ってる知ってる! 何でも、胸に七つの傷を持つ男が一人でやったとか!」
ミルウーダ「七つの傷……?」
ティータ「ミルウーダさーん! 隣街でジャギさんらしき人を見たって人が!」タタタ
ミルウーダ「……行くわよ! ティータ!」
THE END
乙!
愛にすべてを
468:1:2011/08/06(土) 21:41:56.56:0514IdQAO愛にすべてを
北斗地裂斬ってあってもおかしくないですよね
一週間以上経ったので依頼出してきます
後でWikiにブレイブストーリーを作成しておくので、興味のある方は覗いて下さい
それでは、またどこかで
470:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/08/07(日) 23:38:31.75:dtSIPEr1o一週間以上経ったので依頼出してきます
後でWikiにブレイブストーリーを作成しておくので、興味のある方は覗いて下さい
それでは、またどこかで
>>468
またな!
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471:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/08/08(月) 00:54:45.65:BrPV0Kg3oまたな!
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iT、ll;.l.:.... l l /:./:/ li i'゛ ゛""'''''''==='" l
乙でした
コメント 12
コメント一覧 (12)
何言ってるか分からないけど、一か八か…僕の好きな食べ物はカツカレーです
ジャギ格好良すぎ濡れた
ジャギ様最後まで最強だった…これが北斗の漢の生きざまか!
これから実習だってのに
無双稲妻突き ○
でもどっちも悪くないと思ってしまう。
恐らく誰も見ないだろうけど、本スレで>>1が
「敢えて【夢想】稲妻突きにした」と仰ってたよ
しかし名作。
っもうね、ミルウーダたんかわいすぎジャギ様かっこよすぎ死にそう
非常に素晴らしい出来だった。これはAC北斗の拳でもジャギ使って対トキバスケマスターする人増えるな!