224 名前:癒されたい名無しさん[sage] 投稿日:2005/07/19(火) 15:59:27 ID:Gi3AbKRA [1/3]
俺には4つ上の兄がいる。
それなりに出来が良い兄だ。(全く色恋沙汰に縁が無いのはどうかと思うが)
反面俺はあまり出来が良くないので、小さい頃からなにかと比較され苦い思いをしてきた。
兄はそんな事全く気づく様子も無く、飄々としてマイペースな人である。

はっきり言って大嫌いだった。
比較される側の立場なんて兄には分からないのだろうから。
兄の気遣いですら鬱陶しくて、何度も反抗した。

そんな兄が大学生になり一人暮らしを始めた。
元々家事もできる兄である。…これが俺だったらゴミ屋敷が一つ増えるところだ。
ただ、家に兄が居なくなってお小言の矛先が自分一人に向かってくるようになった。
もともと神経質な親だったが、今思えば兄が潤滑油の働きをしていたようである。
そんな事など考えもせず、この家から逃げやがって…といらぬ逆恨みまで考えるようになっていた。
…馬鹿だなあ俺。
(続く)


225 名前:224続き[sage] 投稿日:2005/07/19(火) 16:18:33 ID:Gi3AbKRA [2/3]
(続き)
兄が実家に帰ってきたある日のこと、母と兄が何か話をしていた。
ひねくれ最高潮だった阿保な俺はこっそり盗み聞きしていたのだが、
以下大体こんな感じだった。

兄「だからもう仕送りはいらないって。バイト代だけで生活するから」
母「でもあんた学校だって忙しいし、そんなにバイトやってる余裕無いんじゃない?」
兄「うちもそんなに裕福ってわけじゃないんだろ?まだアイツ(弟)だっているんだ。
  これ以上自分にはお金かけてくれなくてもいい。もう十分過ぎる程脛かじらせて貰ったよ」
母「でもあんたと違ってねえ、あの子は最近なんだか一層ひねくれちゃって…」
兄「そんな風に比較するからひねくれるんだよ!アイツは俺なんかと違って友達多いし
  世間に出たら高い評価を受けるのはああいう人間なんだ」

…兄貴、それは買いかぶり過ぎってもんだぞ?

兄「俺が金を使いすぎてアイツが好きなこと出来ない、ってことだけは絶対嫌なんだ。
  就職も決まったし、せめて自分の学費くらいは返してみせるからさ、
  だからもっとアイツの思うようにやらせてあげてよ」

…しばらく呆然としていた。体中に力が入らなかった。
とことん嫌っていた兄がまさかこんなことを考えていたなんて…。
その後押し入れに閉じこもってひたすら声を殺してな泣いた。まともに兄の顔が見られなかった。
ああ、俺はあんたに一生敵いそうに無いよ…。
(続く)


226 名前:225続き[sage] 投稿日:2005/07/19(火) 16:26:09 ID:Gi3AbKRA [3/3]
(続き)
以上文字だらけで見にくくて申し訳ない。

あれから兄はバイトと講義に明け暮れている。
…それでも留年せずにいるってえのは凄いと思うぞ。
あんたそこまで完璧超人かい。

ただ、明らかに無理をしている、というのは目に見えて分かる。
その原因が俺、と言うことを思うともうどうしたらよいか分からなくなってくる…。

兄よ、俺のことなどどうでもいいから、自分のことを大切にしろよ…。
それと早く彼女を見つけて幸せになってくれ、いや切実に。






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