1: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 22:56:20.96 :aCH1+UBJo
学校の帰りのバスの中で、ふとこの言葉を思い立って以来、言ってみたくてたまらなくなった。
善子(思い立ったが吉日)
そう思って一人でニヨニヨとしていると、隣の席に座っていた曜さんが私を訝しむように見つめてきた。
曜「どうしたの善子ちゃん、エッチなことでも考えてるの?」
善子「善子じゃなくて、ヨハネですよう!」
いつもの調子で軽口をたたいたあとで、ふと気がついた。
私がこのように訂正するということは、私は自分のことをヨハネであると自認しているわけだ。
してみると、「冗談は善子ちゃん」と言うことによって、私は自分を自己同一化しているところのヨハネを自己否定することによって自己矛盾に陥り自分を見失ってしまうわけだ。
アイデンティティの崩壊。
どこかのライトノベルで見たことのある言い回しが思い浮かび、私はガタガタと震えだした。
学校の帰りのバスの中で、ふとこの言葉を思い立って以来、言ってみたくてたまらなくなった。
善子(思い立ったが吉日)
そう思って一人でニヨニヨとしていると、隣の席に座っていた曜さんが私を訝しむように見つめてきた。
曜「どうしたの善子ちゃん、エッチなことでも考えてるの?」
善子「善子じゃなくて、ヨハネですよう!」
いつもの調子で軽口をたたいたあとで、ふと気がついた。
私がこのように訂正するということは、私は自分のことをヨハネであると自認しているわけだ。
してみると、「冗談は善子ちゃん」と言うことによって、私は自分を自己同一化しているところのヨハネを自己否定することによって自己矛盾に陥り自分を見失ってしまうわけだ。
アイデンティティの崩壊。
どこかのライトノベルで見たことのある言い回しが思い浮かび、私はガタガタと震えだした。
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2: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 22:57:36.19 :aCH1+UBJo
曜「どうしたの善子ちゃん、こんどはガタガタ震えだして」
善子「善子じゃなくてヨハ……うわあああ」
よくゲームで見たことがある。
アイデンティティが崩壊したラスボスは、急に旗色が悪くなって、主人公にすぐ負けたりするのだ。
きっと今頃、私のHPとMPもガンガン減りだして、隣にいる主人公気質のリア充に一刀両断ヨーソローされるに相違あるまい。
曜「どこか具合でも悪いの?」
善子「いやまさかそんなことはあるめえ」
曜「どうしたの善子ちゃん、こんどはガタガタ震えだして」
善子「善子じゃなくてヨハ……うわあああ」
よくゲームで見たことがある。
アイデンティティが崩壊したラスボスは、急に旗色が悪くなって、主人公にすぐ負けたりするのだ。
きっと今頃、私のHPとMPもガンガン減りだして、隣にいる主人公気質のリア充に一刀両断ヨーソローされるに相違あるまい。
曜「どこか具合でも悪いの?」
善子「いやまさかそんなことはあるめえ」
3: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 22:58:04.74 :aCH1+UBJo
混乱する私の様子を見ながら、曜さんが、いたずらっぽく笑って言った。
曜「オバケでも見たのかな?」
善子「冗談は……」
【脳内会議】
善子(チャンスよ善子、「冗談は善子ちゃん」って言うのよ、今!)
ヨハネ(いけません、あなたはヨハネなのです。気を確かに持ちなさい)
【脳内会議おわり】
善子「冗談は……いけませぬ」
【脳内会議】
善子(あーあ、せっかくの機会だったのにな)
ヨハネ(結局、テンパってわけのわからないことを口走ってしまいましたね)
【脳内会議おわり】
曜「あはは、「いけませぬ」って! 善子ちゃんは面白いなあ!」
リア充ヨーソロー先輩は、そんな私の葛藤は知る由もなく朗らかに笑っている。
知る由も善子ちゃんである。
【脳内会議】
ヨハネ(それもこれもみんな精霊結界の損壊のせいよ)
善子(冗談は善子ちゃん)
【脳内会議おわり】
混乱する私の様子を見ながら、曜さんが、いたずらっぽく笑って言った。
曜「オバケでも見たのかな?」
善子「冗談は……」
【脳内会議】
善子(チャンスよ善子、「冗談は善子ちゃん」って言うのよ、今!)
ヨハネ(いけません、あなたはヨハネなのです。気を確かに持ちなさい)
【脳内会議おわり】
善子「冗談は……いけませぬ」
【脳内会議】
善子(あーあ、せっかくの機会だったのにな)
ヨハネ(結局、テンパってわけのわからないことを口走ってしまいましたね)
【脳内会議おわり】
曜「あはは、「いけませぬ」って! 善子ちゃんは面白いなあ!」
リア充ヨーソロー先輩は、そんな私の葛藤は知る由もなく朗らかに笑っている。
知る由も善子ちゃんである。
【脳内会議】
ヨハネ(それもこれもみんな精霊結界の損壊のせいよ)
善子(冗談は善子ちゃん)
【脳内会議おわり】
4: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 22:58:31.71 :aCH1+UBJo
ああ、この悩みを誰に話せばよいものか。
そうだ、隣に座っている曜さんに相談してみようかな。
アホみたいに笑ってはいるが、何といっても年上なのだ。まさかモノホンのアホではあるまい。
善子「ねえ曜さん、アイデンティティって」
曜「ん、早口言葉?」
【脳内会議】
善子(ダメだこりゃ)
ヨハネ(リアルを充実させる引き換えにアタマを空虚にしたのですね)
【脳内会議おわり】
しかしそうは言ってもさすがは先輩、心配そうに私を見つめてきた。
曜「うーん、難しいことはよくわからないけど、何やら深刻そうだね」
ああ、この悩みを誰に話せばよいものか。
そうだ、隣に座っている曜さんに相談してみようかな。
アホみたいに笑ってはいるが、何といっても年上なのだ。まさかモノホンのアホではあるまい。
善子「ねえ曜さん、アイデンティティって」
曜「ん、早口言葉?」
【脳内会議】
善子(ダメだこりゃ)
ヨハネ(リアルを充実させる引き換えにアタマを空虚にしたのですね)
【脳内会議おわり】
しかしそうは言ってもさすがは先輩、心配そうに私を見つめてきた。
曜「うーん、難しいことはよくわからないけど、何やら深刻そうだね」
5: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 22:59:55.19 :aCH1+UBJo
善子「そうなんです、すごく大事なことなんです」
曜「難しいことは一つもわからないけど、笑ってしまって悪かったね」
善子「いえ、気にしないで下さい」
曜「それでは善子ちゃん、あなたの悩みをこの人生の先輩に相談ヨーソローだ、わはは」
【脳内会議】
善子(本当にこの先輩に話して大丈夫かしら)
ヨハネ(大丈夫でしょう。アタマがカラッポということは、邪心もないということですから)
善子(でもたぶんこれまでの人生を「ヨーソロー」の五文字だけで乗り切ってきた兵(つわもの)よ。きっと私なんかの繊細な悩みは……)
ヨハネ(しかし迷っていてはいつまでたっても埒が明きません、思いきって……)
【脳内会議おわり】
曜「大丈夫大丈夫、私こういう人生相談チョー得意だからさ!」
善子「うーん、それでは話してみます」
曜「全速前進、ヨーソローだよ!」
善子「そうなんです、すごく大事なことなんです」
曜「難しいことは一つもわからないけど、笑ってしまって悪かったね」
善子「いえ、気にしないで下さい」
曜「それでは善子ちゃん、あなたの悩みをこの人生の先輩に相談ヨーソローだ、わはは」
【脳内会議】
善子(本当にこの先輩に話して大丈夫かしら)
ヨハネ(大丈夫でしょう。アタマがカラッポということは、邪心もないということですから)
善子(でもたぶんこれまでの人生を「ヨーソロー」の五文字だけで乗り切ってきた兵(つわもの)よ。きっと私なんかの繊細な悩みは……)
ヨハネ(しかし迷っていてはいつまでたっても埒が明きません、思いきって……)
【脳内会議おわり】
曜「大丈夫大丈夫、私こういう人生相談チョー得意だからさ!」
善子「うーん、それでは話してみます」
曜「全速前進、ヨーソローだよ!」
6: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:00:23.85 :aCH1+UBJo
善子「私の悩みというのは、何を隠そう、ある言葉を口にすることができないという悩みなのです」
曜「むむむ、それはズバリ、愛の告白だね!」
善子「違うわよ!」
曜「ふふふ、照れなくてもいいんだよ?」
善子「堕天使は恋愛とは無縁なの!」
曜「もー、年頃の女の子が何言ってるの。冗談は善子ちゃん!」
善子「わああ、それ、それよ!」
曜「ん?」
善子「それが言いたいのに言えなくて悩んでたのよ! どうして先輩はヒョイと言えちゃうわけ?」
善子「私の悩みというのは、何を隠そう、ある言葉を口にすることができないという悩みなのです」
曜「むむむ、それはズバリ、愛の告白だね!」
善子「違うわよ!」
曜「ふふふ、照れなくてもいいんだよ?」
善子「堕天使は恋愛とは無縁なの!」
曜「もー、年頃の女の子が何言ってるの。冗談は善子ちゃん!」
善子「わああ、それ、それよ!」
曜「ん?」
善子「それが言いたいのに言えなくて悩んでたのよ! どうして先輩はヒョイと言えちゃうわけ?」
7: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:00:54.69 :aCH1+UBJo
曜「あれ、ほんとにそれが悩みなの?」
善子「そうよ! 私にとっては大事なことなのよ!」
曜「またまた、冗談は善子ちゃん……」
善子「ほらまたあ!」
曜「あれ、ほんとにそれが悩みなの?」
善子「そうよ! 私にとっては大事なことなのよ!」
曜「またまた、冗談は善子ちゃん……」
善子「ほらまたあ!」
8: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:01:44.53 :aCH1+UBJo
曜「ええ? ちょっと待ってよ、どうして言えないの?」
善子「だって私はヨハネですよね」
曜「その前提がまずおかしいけど、まあいいよ」
善子「つまり、
私=ヨハネ……①
です。ここまではいいですね」
曜「善子ちゃんは善子ちゃんだと思うけど、まあそういうことにしとくよ」
曜「ええ? ちょっと待ってよ、どうして言えないの?」
善子「だって私はヨハネですよね」
曜「その前提がまずおかしいけど、まあいいよ」
善子「つまり、
私=ヨハネ……①
です。ここまではいいですね」
曜「善子ちゃんは善子ちゃんだと思うけど、まあそういうことにしとくよ」
9: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:02:19.34 :aCH1+UBJo
善子「しかるに、「冗談は善子ちゃん」は善子ちゃんです」
曜「うむむ、言われてみるとたしかに善子ちゃんだ」
善子「ゆえに、「冗談は善子ちゃん」と口にする人は自分のことを善子ちゃんだと宣言しているわけです」
曜「そうだったのか……今まで考えてもみなかったけど、たしかにそのとおりだ」
善子「ということは、「冗談は善子ちゃん」と口にする人にとっては、
私=善子……②
です。これも納得してもらえますか」
曜「うん。めっちゃわかる。善子ちゃん説明チョーうまい」
善子「私はヨハネなんですけどね、あくまで」
曜「うむむ、なるほど、むずかしいな」
善子「しかるに、「冗談は善子ちゃん」は善子ちゃんです」
曜「うむむ、言われてみるとたしかに善子ちゃんだ」
善子「ゆえに、「冗談は善子ちゃん」と口にする人は自分のことを善子ちゃんだと宣言しているわけです」
曜「そうだったのか……今まで考えてもみなかったけど、たしかにそのとおりだ」
善子「ということは、「冗談は善子ちゃん」と口にする人にとっては、
私=善子……②
です。これも納得してもらえますか」
曜「うん。めっちゃわかる。善子ちゃん説明チョーうまい」
善子「私はヨハネなんですけどね、あくまで」
曜「うむむ、なるほど、むずかしいな」
10: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:02:45.48 :aCH1+UBJo
善子「ところで、善子はヨハネじゃありませんよね」
曜「いや、私の知ってるヨハネちゃんは善子ちゃんだけど」
善子「違うんです。ヨハネは善子じゃないんです。天界堕天条例にもそう書いてあるからウソじゃありません」
曜「そうか。その天界なんちゃら条例に書いてあるなら、きっとそうなんだね」
善子「すなわち、
ヨハネ≠善子……③
です。これも宜しいですね」
曜「宜候(ようそろ)」
善子「ところで、善子はヨハネじゃありませんよね」
曜「いや、私の知ってるヨハネちゃんは善子ちゃんだけど」
善子「違うんです。ヨハネは善子じゃないんです。天界堕天条例にもそう書いてあるからウソじゃありません」
曜「そうか。その天界なんちゃら条例に書いてあるなら、きっとそうなんだね」
善子「すなわち、
ヨハネ≠善子……③
です。これも宜しいですね」
曜「宜候(ようそろ)」
11: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:03:15.12 :aCH1+UBJo
善子「しかるに、先に得られた①と②を思い出してみてください。
①私=ヨハネ
②私=善子
ですね。
するとこれら二つの命題を併せると
ヨハネ=善子……④
となるではありませんか」
曜「先生、それがどうかしたのですか?」
善子「しかるに、先に得られた①と②を思い出してみてください。
①私=ヨハネ
②私=善子
ですね。
するとこれら二つの命題を併せると
ヨハネ=善子……④
となるではありませんか」
曜「先生、それがどうかしたのですか?」
12: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:03:49.54 :aCH1+UBJo
善子「ここで③と④を並べてみましょう。
③ヨハネ≠善子
④ヨハネ=善子
さあ、あることに気づきませんか」
曜「……私はこういう話が苦手だということに気がつきました、先生!」
善子「コミュニケーション能力と論理的思考能力を等価交換してしまったのですね」
善子「ここで③と④を並べてみましょう。
③ヨハネ≠善子
④ヨハネ=善子
さあ、あることに気づきませんか」
曜「……私はこういう話が苦手だということに気がつきました、先生!」
善子「コミュニケーション能力と論理的思考能力を等価交換してしまったのですね」
13: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:05:10.64 :aCH1+UBJo
曜「それで答えは?」
善子「③と④は矛盾しているのです」
曜「矛盾すると何かマズイことでもあるのですか?」
善子「アイデンティティが崩壊してしまうのです」
曜「いいじんじゃない? それでも海はキレイだし、ゴハンはおいしいし」
善子「でもこう、アイデンティティというのは、私たちの中心にある核みたいなものなの!」
曜「よく分からないから魚介類で喩えてくれるかな?」
善子「ええと、なんかこう……貝柱みたいなものなのよ!」
曜「ええ!? 貝柱が壊れちゃうの?」
善子「そうよ! ヨハネの貝柱がほどけてバラバラになってしまうのよ!」
曜「それって大変なことだよ!」
善子「そうよ、大変だからHPとかMPとかガンガン減っていくのよ!」
曜「ほんでもって、善子ちゃんは今そういう危険と戦ってるの?」
善子「そうよ! 貝柱(アイデンティティ)の確立はいつの時代も青少年の悩みなの!」
曜「そんな……冗談は善子ちゃん」
善子「のわあああ! あなた話きいてたの!?」
曜「まあ、一応」
曜「それで答えは?」
善子「③と④は矛盾しているのです」
曜「矛盾すると何かマズイことでもあるのですか?」
善子「アイデンティティが崩壊してしまうのです」
曜「いいじんじゃない? それでも海はキレイだし、ゴハンはおいしいし」
善子「でもこう、アイデンティティというのは、私たちの中心にある核みたいなものなの!」
曜「よく分からないから魚介類で喩えてくれるかな?」
善子「ええと、なんかこう……貝柱みたいなものなのよ!」
曜「ええ!? 貝柱が壊れちゃうの?」
善子「そうよ! ヨハネの貝柱がほどけてバラバラになってしまうのよ!」
曜「それって大変なことだよ!」
善子「そうよ、大変だからHPとかMPとかガンガン減っていくのよ!」
曜「ほんでもって、善子ちゃんは今そういう危険と戦ってるの?」
善子「そうよ! 貝柱(アイデンティティ)の確立はいつの時代も青少年の悩みなの!」
曜「そんな……冗談は善子ちゃん」
善子「のわあああ! あなた話きいてたの!?」
曜「まあ、一応」
14: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:05:39.40 :aCH1+UBJo
善子「さっき話したでしょ! 「冗談は善子ちゃん」って言う人は、自分のことを善子ちゃんだと思ってるのよ!」
曜「うーん、そうなのかなあ」
善子「そうよ。自分のことを善子ちゃんだと認めてるからこそ、そんなことが言えるわけ」
曜「でも私は善子ちゃんじゃないよ」
善子「そうよ、だからあなたも私も、いくら語呂がよくても「冗談は善子ちゃん」とは言えないの」
曜「ホントにそうなのかな?」
善子「どういうこと?」
曜「「冗談は善子ちゃん」って言ってる人は、ホントに自分のことを善子ちゃんだと思ってるのかな?」
善子「何が言いたいのよ……」
善子「さっき話したでしょ! 「冗談は善子ちゃん」って言う人は、自分のことを善子ちゃんだと思ってるのよ!」
曜「うーん、そうなのかなあ」
善子「そうよ。自分のことを善子ちゃんだと認めてるからこそ、そんなことが言えるわけ」
曜「でも私は善子ちゃんじゃないよ」
善子「そうよ、だからあなたも私も、いくら語呂がよくても「冗談は善子ちゃん」とは言えないの」
曜「ホントにそうなのかな?」
善子「どういうこと?」
曜「「冗談は善子ちゃん」って言ってる人は、ホントに自分のことを善子ちゃんだと思ってるのかな?」
善子「何が言いたいのよ……」
15: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:06:06.69 :aCH1+UBJo
曜「だって善子ちゃん、考えてごらんよ。おんなじような言葉ってたくさんあるでしょ。
たとえばさ、「あっと驚く為五郎」とか「叫べ青春、桜内」とか」
善子「たしかにそうね」
曜「善子ちゃんのリロンでは、「あっと驚く為五郎」と口にしていいのは為五郎さんだけということになるよね」
善子「たしかにそうなるわね、私の理論では」
曜「でも「あっと驚く為五郎」というギャグを初めに口にしたのは、かの有名なクレージーキャッツのハナ肇なんだよ」
善子「た……為五郎じゃない!?」
曜「ふふふ、どうかな、今の気持ちは?」
善子「あっと驚く為五郎であると、あえてそう言わせてください」
曜「だって善子ちゃん、考えてごらんよ。おんなじような言葉ってたくさんあるでしょ。
たとえばさ、「あっと驚く為五郎」とか「叫べ青春、桜内」とか」
善子「たしかにそうね」
曜「善子ちゃんのリロンでは、「あっと驚く為五郎」と口にしていいのは為五郎さんだけということになるよね」
善子「たしかにそうなるわね、私の理論では」
曜「でも「あっと驚く為五郎」というギャグを初めに口にしたのは、かの有名なクレージーキャッツのハナ肇なんだよ」
善子「た……為五郎じゃない!?」
曜「ふふふ、どうかな、今の気持ちは?」
善子「あっと驚く為五郎であると、あえてそう言わせてください」
16: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:06:36.84 :aCH1+UBJo
曜「ということは、この手の言い回しを口にする人は自分の名前を名乗ってるわけじゃないんだよ」
善子「確かに反例が一つ挙げられてしまった以上、私の主張は撤回せざるをえないわ」
曜「だから自分のことをヨハネちゃんだと思っている善子ちゃんも「冗談は善子ちゃん」って言っていいんだよ」
善子「なるほど、これで一安心だわ」
曜「ふふふ、うまく解決したようで嬉しいよ」
善子「さすがは先輩なのね。ありがとうございました」
曜「礼には及ばずの為五郎」
曜「ということは、この手の言い回しを口にする人は自分の名前を名乗ってるわけじゃないんだよ」
善子「確かに反例が一つ挙げられてしまった以上、私の主張は撤回せざるをえないわ」
曜「だから自分のことをヨハネちゃんだと思っている善子ちゃんも「冗談は善子ちゃん」って言っていいんだよ」
善子「なるほど、これで一安心だわ」
曜「ふふふ、うまく解決したようで嬉しいよ」
善子「さすがは先輩なのね。ありがとうございました」
曜「礼には及ばずの為五郎」
17: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:07:06.86 :aCH1+UBJo
善子「あ……」
曜「どうしたのかな、善子ちゃん」
善子「また一つ気になることが」
曜「冗談は善子ちゃん……」
善子「それでは善子というのは一体何者なのでしょうか」
曜「キミのことだよ」
善子「冗談は善子ちゃん。私はヨハネよ」
曜「それを言われると、もう手がかりはなくなっちゃうなあ」
善子「あ、待ってください! 一つ気がついたことがあります!」
曜「何かな?」
善子「あ……」
曜「どうしたのかな、善子ちゃん」
善子「また一つ気になることが」
曜「冗談は善子ちゃん……」
善子「それでは善子というのは一体何者なのでしょうか」
曜「キミのことだよ」
善子「冗談は善子ちゃん。私はヨハネよ」
曜「それを言われると、もう手がかりはなくなっちゃうなあ」
善子「あ、待ってください! 一つ気がついたことがあります!」
曜「何かな?」
18: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:07:41.02 :aCH1+UBJo
善子「冗談は善子ちゃんなんですよね」
曜「そうだね」
善子「ということは、冗談=善子、となるわけですね」
曜「なるほど、今まで気づかなかったけど、よく考えてみればそうなるね」
善子「冗談は善子ちゃんなんですよね」
曜「そうだね」
善子「ということは、冗談=善子、となるわけですね」
曜「なるほど、今まで気づかなかったけど、よく考えてみればそうなるね」
19: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:08:34.59 :aCH1+UBJo
善子「なるほど、善子ちゃんは冗談だったのか、これで万事解決……」
曜「……冗談じゃない」
善子「あれ、どうしたんですか」
曜「……冗談じゃない! 善子ちゃんは断じて冗談ではない!」
善子「わああ、ちょっと落ち着いてください!」
曜「たしかにときどき「土って初めて見たわ」とか「堕天したからミカンは食べない」とか冗談みたいなことは言うけど、私は知ってるんだ!
君の中心は、つまり貝柱の部分は、すごく真面目で善い子なんだ!」
善子「曜さん……」
曜「その中心にどんな名前をつければいいのか、私は知ってるよ」
善子「……」
曜「きっとあなたのパパとママも、それを知ってたから、あなたにその名前をつけたんだよ」
善子「……よしk」
曜「名前をつけようか、そう、「スノー・ハレーション」と」
善子「善子じゃないのかよ!」
善子「なるほど、善子ちゃんは冗談だったのか、これで万事解決……」
曜「……冗談じゃない」
善子「あれ、どうしたんですか」
曜「……冗談じゃない! 善子ちゃんは断じて冗談ではない!」
善子「わああ、ちょっと落ち着いてください!」
曜「たしかにときどき「土って初めて見たわ」とか「堕天したからミカンは食べない」とか冗談みたいなことは言うけど、私は知ってるんだ!
君の中心は、つまり貝柱の部分は、すごく真面目で善い子なんだ!」
善子「曜さん……」
曜「その中心にどんな名前をつければいいのか、私は知ってるよ」
善子「……」
曜「きっとあなたのパパとママも、それを知ってたから、あなたにその名前をつけたんだよ」
善子「……よしk」
曜「名前をつけようか、そう、「スノー・ハレーション」と」
善子「善子じゃないのかよ!」
20: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:10:44.57 :aCH1+UBJo
曜「ふふふ、やっと認めてくれたね、善子ちゃん」
善子「あ」
曜さんが、バスの窓の外に映る景色を見ながら、つぶやいた。
曜「私はね、ヨハネちゃんも好きだけど、それと同じくらい善子ちゃんも好きだよ」
善子「曜さん……」
窓の向こうは、いつのまにかきれいな夕焼けだ。
曜「善子ちゃんはヨハネちゃんだよ」
夕日が海にくっついて、水平線がきらきらと輝いた。
曜「それとおなじくらい、ヨハネちゃんは善子ちゃんだよ」
善子「……」
曜「私、むずかしいことは何もわからないけどさ、それだけはちゃんと分かるよ」
曜さんが私の方を向いて、にっこり笑って言った。
曜「ちゃんと承知の、為五郎なんだよ」
曜「ふふふ、やっと認めてくれたね、善子ちゃん」
善子「あ」
曜さんが、バスの窓の外に映る景色を見ながら、つぶやいた。
曜「私はね、ヨハネちゃんも好きだけど、それと同じくらい善子ちゃんも好きだよ」
善子「曜さん……」
窓の向こうは、いつのまにかきれいな夕焼けだ。
曜「善子ちゃんはヨハネちゃんだよ」
夕日が海にくっついて、水平線がきらきらと輝いた。
曜「それとおなじくらい、ヨハネちゃんは善子ちゃんだよ」
善子「……」
曜「私、むずかしいことは何もわからないけどさ、それだけはちゃんと分かるよ」
曜さんが私の方を向いて、にっこり笑って言った。
曜「ちゃんと承知の、為五郎なんだよ」
21: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:13:40.72 :aCH1+UBJo
善子「曜さん、ありがとう」
曜「礼には及ばずの渡辺曜」
善子「それと、大事なことが」
曜(お、愛の告白かな?)
善子「ずっと思ってたんですけど……」
曜(やはり愛の告白だな、モテる女はつらいヨーソロー)
善子「バス停、過ぎてます……」
曜「冗談は善子ちゃん」
善子「曜さん、ありがとう」
曜「礼には及ばずの渡辺曜」
善子「それと、大事なことが」
曜(お、愛の告白かな?)
善子「ずっと思ってたんですけど……」
曜(やはり愛の告白だな、モテる女はつらいヨーソロー)
善子「バス停、過ぎてます……」
曜「冗談は善子ちゃん」
22: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:14:33.34 :aCH1+UBJo
【次の日、帰りのバスの中】
善子「ねえねえ曜さん、私、きょう梨子さんと話しててふと思ったんですけど」
曜「うん、何かな?」
善子「「冗談は善子ちゃん」と「余裕のよっちゃん」というのは、同一人物なんですかね」
曜「知らんがな」
【次の日、帰りのバスの中】
善子「ねえねえ曜さん、私、きょう梨子さんと話しててふと思ったんですけど」
曜「うん、何かな?」
善子「「冗談は善子ちゃん」と「余裕のよっちゃん」というのは、同一人物なんですかね」
曜「知らんがな」
23: ◆hxGgtPv0f.:2017/04/23(日) 23:22:12.50 :aCH1+UBJo
次回 「ドキドキ! うっかりバスを降り過ごした先輩がウチに泊まりに来た!
冗談は善子ちゃん、余裕の曜ちゃん、気になる恋のヨーソロー」
脚本:You Watanabe
を、お送りしません。
――――
おわり
次回 「ドキドキ! うっかりバスを降り過ごした先輩がウチに泊まりに来た!
冗談は善子ちゃん、余裕の曜ちゃん、気になる恋のヨーソロー」
脚本:You Watanabe
を、お送りしません。
――――
おわり
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